調査目的：近年の生成 AI 等の新技術の成長と共に今後も急速な拡大が見込まれる世界半導体市場。一方、米中の貿易戦争等に起因する地政学的な緊張の高まりを背景に、世界の半導体サプライチェーンの二極化が急速に進行している。そのサプライチェーンのギャップの需要を満たす新エリアとして注目を集めつつあるのが東南アジア半導体市場であり、本レポートではその概要を調査し、市場の特性を把握することで、日本企業の新たな事業機会の探索、また今後の事業戦略の立案に資する情報を提供することを目的としている。
調査対象：本レポートでは、東南アジア半導体市場をリードするシンガポール及びマレーシア、また、近年成長が著しいベトナムを中心に、周辺国のタイ、インドネシア、フィリピンを含めた 6 カ国の半導体政策や投資の状況、参入する有力企業の動向の視点から東南アジアにおける半導体市場の今と今後の展望について分析を行った。
また、企業は、IDM（Integrated Device Manufacturer）、ファブレス（Fabless）、ファウンドリ（Foundry）及び OSAT（Outsourced Semiconductor Assembly and Test）を対象に取り纏めを行った。
調査方法：
（１）弊社研究員による直接面接取材（Web 会議含む）
（２）文献調査その他データ収集
調査期間：2024 年 10 月～2025 年 2 月

• 世界の分断を背景とした半導体のグローバルサプライチェーン再構築の流れが加速
  ・半導体の中国依存からの脱却の流れの中で半導体のグローバルサプライチェーンの再構築の流れが加速。地政学的な視点やインフラ環境の充実度からも優位性の高いマレーシアを中心に、周辺国も含めた東南アジアエリアが注目を集めている。
• 市場は今後「後工程」から先端技術が集積された「前工程」への進化を目指す
  ・マレーシアではOSATの後工程中心の半導体市場が、今後政府の半導体政策や外資参入による技術の供与によって半導体の設計、チップ製造の前工程への進化が期待され、新たな市場が形成されていくことが予想されている。
• 半導体市場成長株のベトナムの動向に注目が集まる
  ・政府の積極的な外資誘致政策によって、近年マレーシア、シンガポールに次ぐ半導体市場に成長しつつあるベトナム。今後、高度な人材の育成や確保が市場拡大の鍵を握る。