プレスリリース
No.3565
2024/07/12
PCO・TCO・燻蒸サービスオペレーション市場に関する調査を実施(2024年)

2023年度のPCO・TCO・燻蒸サービスオペレーション市場は前年度比0.8%増の1,416億7,000万円の見込
~旅行や外食需要の回復、食品衛生法の改正等で、食品業界を中心に衛生管理強化の機運が高まる~

株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、国内のPCO・TCO・燻蒸サービスを調査し、その需要動向、参入企業の動向、および将来展望を明らかにした。
PCO・TCO・燻蒸サービスオペレーション市場規模推移・予測
PCO・TCO・燻蒸サービスオペレーション市場規模推移・予測

1.市場概況

2023年度のPCO(害虫駆除)・TCO(シロアリ駆除)・燻蒸サービスオペレーション市場(サービス事業者売上高ベース、薬剤等は含まない)は、前年度比100.8%の1,416億7,000万円を見込む。

改正食品衛生法が全面施行され、猶予期間が経過した2021年6月からはHACCPに沿った衛生管理が完全義務化された。PCOオペレーション市場では、これを受け、食品業界を中心に衛生管理強化の機運が高まりつつある。
一方、TCOオペレーション市場では、対象となる木造戸建て住宅が大半を占める国内においては、需要が無くなることのない分野ではあるものの、ベタ基礎やシート工法のようにシロアリ対策を必要としない工法が普及しているほか、業者間の価格競争の激化と訪販規制等が進み、市場は横ばいとなっている。
燻蒸サービス市場は、コロナ禍で物流が滞った時期があったものの、木材や穀物、青果物の輸出入量は回復しており、市場は横ばいの推移となっている。

2.注目トピック

トコジラミ被害の相談件数が急増~都市部における害虫獣の相談件数(東京都を例として)~

近年、日本国内におけるトコジラミ被害の相談件数が急増している。トコジラミは刺されると激しいかゆみや赤い発疹などが現れるほか、高い繁殖能力が特徴である。
東京都保健医療局の調査によると、2022年度のトコジラミ被害の相談件数は405件(前年度比144.1%)に急増している。インバウンド(訪日外国人客)が増加する中で、トコジラミが旅行者を介して国内に持ち運ばれることが被害拡大の一因と考えられる。ホテルや旅館など宿泊施設のほか、病院や一般家庭からもPCOサービス事業者への駆除相談・依頼件数が増加している。
トコジラミの駆除方法には、薬剤使用の他に高熱や凍結処理が用いられている。例えば、トコジラミが潜伏している場所に100℃以上の高温スチームを噴射して駆除するケースや、電化製品やコンセント周辺のスチーム処理が難しい箇所には、スノードライアイスを使って凍結処理を実施し、駆除している。トコジラミは薬剤への抵抗性が強いため、新しい薬剤が商品化されても繰り返し使用されれば、次第に駆除が難しくなる。今後もトコジラミ被害の相談件数は増加を続ける可能性が高く、PCOサービス事業者ではさまざまな駆除方法が試されることとなる。

3.将来展望

PCOオペレーション市場では、食品メーカーをはじめ外食産業や食品小売業が衛生管理を強化しつつあることに加え、異物混入防止の改善諸施策の推進や、病害虫駆除施工の徹底、環境負荷の軽減、防除対策がなされており、市場規模は微増での推移を予測する。
一方、TCOオペレーション市場は住宅等の長寿命化と防災面も含めた保全意識の高まりなどの下支えもあり、市場は底打ち感をみせているが、空き家の増加等により住宅メンテナンスの機会は減少傾向にあり、市場は微減で推移すると予測する。
また、燻蒸サービス市場では輸出木材関連の燻蒸サービス需要が好調に推移する見込みである。
2030年度のPCO・TCO・燻蒸サービスオペレーション市場規模は1,413億円となり、市場は横ばいから微増で推移していくと予測する。

オリジナル情報が掲載された ショートレポート を1,000円でご利用いただけます!

【ショートレポートに掲載されているオリジナル情報】
Aパターン
  • セグメント別の動向
  •  ~食品衛生法の改正もあり、サービス需要分野としては、食品工場領域が引き続き拡大~
  • 注目トピックの追加情報
  • 将来展望の追加情報

  • 以下の 利用方法を確認する ボタン↓から詳細をご確認ください

    調査要綱

    1.調査期間: 2024年1月~5月
    2.調査対象: PCO・TCO・燻蒸サービス企業、PCO・TCO・燻蒸用薬剤・資材卸企業、PCO・TCO・燻蒸用薬剤・資材メーカー、業界団体・業界誌・関連官公庁他
    3.調査方法: 当社専門研究員による直接面談(オンライン含む)、および電話による間接調査

    <PCO(害虫駆除)・TCO(シロアリ駆除)・燻蒸サービス市場とは>

    PCO(Pest Control Operator)サービスとはゴキブリ、ネズミ、ハエ、カ、ダニなどの公衆衛生害虫予防・防除・駆除をさし、TCO(Termite Control Operator)サービスとはシロアリ予防・防除・駆除をさす。また、燻蒸サービスとは植物防疫法に基づく輸出入農産物燻蒸、文化財燻蒸、穀物倉庫・食糧品倉庫燻蒸を対象とする。
    いずれも、オペレーション市場規模はサービス事業者売上高ベースで算出しており、薬剤等は含まない。なお、TCOサービスには、床下換気扇や調湿剤、耐震補強施工等は含まない。

    <市場に含まれる商品・サービス>

    PCOサービス、TCOサービス、燻蒸サービス

    出典資料について

    資料名
    発刊日
    2024年05月31日
    体裁
    A4 308ページ
    価格(税込)
    165,000円 (本体価格 150,000円)

    お問い合わせ先

    部署
    マーケティング本部 広報チーム
    住所
    〒164-8620 東京都中野区本町2-46-2
    電話番号
    03-5371-6912
    メールアドレス
    press@yano.co.jp
    ©2024 Yano Research Institute Ltd. All Rights Reserved.
      本資料における著作権やその他本資料にかかる一切の権利は、株式会社矢野経済研究所に帰属します。
      報道目的以外での引用・転載については上記広報チームまでお問い合わせください。
      利用目的によっては事前に文章内容を確認させていただく場合がございます。