2023年度の国内M2M市場は前年度比10.4%増の2,660億円
~コロナ禍以降、社会全般で広まった「遠隔・リモート志向」に加えて、「人手不足」や「働き方改革志向」なども相まって、M2M市場は市場環境が好転~
1.市場概況
本調査では、人が介在せずに、主に携帯電話 / PHS通信規格に準じた通信モジュールを内蔵した機器・デバイス間で情報のやり取りをするM2M(Machine to Machine:機器間通信)を対象とし、ネットワークを用いたシステム構築やプラットフォーム利用動向を調べた。
2023年度の国内M2M市場規模は、事業者売上高ベースでは前年度比10.4%増の2,660億円と推計した。2023年度は2020~2021年度の低位推移から完全に脱却し、2022年度の勢いが継続した。コロナ禍以降、社会全般で広まった「遠隔・リモート志向」に加えて、「人手不足」や「働き方改革志向」なども相まって、M2Mビジネスの市場環境は完全に好転したといえる。
2.注目トピック
ローカル5G動向
2024年度からローカル5G利活用の検討・検証が本格化している。そして、ローカル5Gは2025年度以降には普及期に入ると考える。
短期的なローカル5Gビジネスとしては、ターゲットは「リアルタイム対応/遠隔モニタリング、業務最適化、意思決定支援、自動化・自動制御、(データ活用を基にした)予知・予測・予防、価値向上」といったテーマになる見込みである。
中・長期的に見ると、産業分野での5G型IoTは徐々に浸透する見通しである。2030年頃になると、既存のIoTシステムでのセルラー回線分(4G/LTE、3G、セルラーLPWA)や有線ネットワークなどを代替する形で、5G型IoTマーケットが形成されると予測する。そしてこの段階では、ローカル5G型とセルラー5G型のIoTネットワークが並列すると考える。
※参考資料
「ローカル5Gソリューション市場に関する調査を実施(2024年)」(2024年2月28日発表)
https://www.yano.co.jp/press-release/show/press_id/3473
3.将来展望
国内M2M市場は2025年度以降も引き続き堅調で年率10%前後の伸長を継続し、2030年度は5,300億円に成長すると予測する。
要因としては、まずは5G対応通信モジュールの登場により、カメラ・画像系ソリューション等での新たなM2M需要の創出がある。さらに、新車販売のうち、今後は通信機能を持った「コネクテッドカー」の比率が高まり、このカテゴリーでの需要底上げ効果も大きい。加えて近年では、LPWAや920MHz帯を中心とした新たなIoTネットワークの普及も進んでおり、この影響も新たなM2M需要の創出に奏功している。
以上のようなことを勘案すると、2030年度に向けて、国内M2Mマーケットは高い成長を遂げる見通しである。
オリジナル情報が掲載された ショートレポート を1,000円でご利用いただけます!
【ショートレポートに掲載されているオリジナル情報】Aパターン
自動車関連
エネルギー関連
産業分野での「AI ✕ IoT」活用
調査要綱
2.調査対象: ITベンダー、SIer(システムインテグレータ)、プラットフォームベンダー、ITベンチャー、海外事業者等
3.調査方法: 当社専門研究員による直接面談(オンライン含む)、電話による調査、アンケート調査、ならびに文献調査併用
<M2M市場とは>
M2M(Machine to Machine:機器間通信)とは、人が介在せずに、主に携帯電話 / PHS通信規格に準じた通信モジュールを内蔵した機器・デバイス間で情報のやり取りをする仕組みを指す。
また本調査におけるM2M市場規模とは、M2Mを実現するためのネットワーク(ネットワーク機器、通信モジュール、センサー/デバイス)、プラットフォーム(クラウド)、システム(アプリケーション、ミドルウェアなど)等を対象として、各事業者の売上高ベースで算出した。
<IoT市場とは>
IoT(Internet of Things)は、既存のM2M通信領域に加えて、家電製品や家具、パソコン、 スマートフォン、タブレット端末、人(SNSなどの情報)、畜産・ペット、運輸・物流、防犯・セキュリティ、見守りサービスなど、ネットワーク接続環境下にある全てのモノやコトを対象とする。そのためマーケット構造として、IoTは本調査におけるM2Mを包括する上位概念に位置する。
<市場に含まれる商品・サービス>
ネットワーク・回線利用料/通信費、通信モジュール、センサー/デバイス、プラットフォーム/クラウド利用料、システム/アプリケーション開発費、パッケージ/ミドルウェア料、運用管理費など
出典資料について
お問い合わせ先
本資料における著作権やその他本資料にかかる一切の権利は、株式会社矢野経済研究所に帰属します。
報道目的以外での引用・転載については上記広報チームまでお問い合わせください。
利用目的によっては事前に文章内容を確認させていただく場合がございます。