人手不足による過労と運営難を理由に時短営業に転じた加盟店オーナーとセブンイレブン・ジャパン(本部)の対立が収まらない。とりわけ、契約の解除と1700万円もの違約金請求を盾に24時間営業の再開を求めた本部側の強硬姿勢に批判が集まる。
本部サイドも「人員の一時派遣」や「時短営業の実験」といった改善に向けての対策を表明したが、その一方でコンビニ加盟店ユニオンとの団体交渉を「労使関係にない」ことを理由に拒否するなど、あくまでも“原則”を貫く。
2018年2月期、㈱セブン-イレブン・ジャパンは営業総収入849,862百万円に対して営業利益244,110百万円を稼ぎ出した。高収益の源泉は24時間営業を前提に構築された精緻なチェーンオペレーションシステムと店頭売上高から仕入れ原価を差し引いた粗利を本部と加盟店とで分配するビジネスモデルにある。この粗利分配方式では店舗スタッフの人件費は加盟店側の販管費として計上される。つまり、深夜営業は店舗にとっては赤字の営業時間帯であっても、分配された粗利が営業収入となる本部にとっては費用がかからない増収ということだ。
しかしながら、セブンイレブン本部の営業収入を支えるのは国内コンビニ売上の98%、4,575,931百万円もの店頭売上をつくる加盟店のオーナー達である。加重労働による彼らの疲弊は本部にとっても看過できまい。
今、4月1日から施行される「働き方改革法」を前に経産省は中小企業の「働き方改革を阻害する取引慣行」の是正を呼びかける。契約上、FC加盟店は“下請け”ではないし、ましてや加盟店オーナーは“従業員”ではない。
しかし、例え本部と加盟店との契約関係が法的に対等であっても実質的に加重労働や不公正な費用負担を強いるのであっては、本部の側にとっても潜在的な経営リスクとなり得る。そして、これはコンビニ業界だけの問題でなく、学習塾や外食などFC業界全体に共通する課題である。まずは加盟店の経営実態を正確に把握すること、そのうえで、持続可能性と不公正取引の排除という視点からビジネスモデル全体の再点検が必要であろう。