18日、トランプ政権誕生後はじめてのG20が閉幕した。会議は「保護主義」をめぐり紛糾、これまで共同声明に盛り込まれてきた「あらゆる保護主義に対抗する」との文言は米国の圧力によって削除された。代わって盛り込まれたのは「公正で開かれた貿易」との表現であり、米国が求める“米国にとっての公正さ”に懸念が高まる。また、従来G20が表明してきた「パリ協定への支持」も削除、地球温暖化に関する言及は声明から消えた。
仏サパン財務相は「世界にとって本質的な2つの問題で合意できなかった」と語り、IMFラガルド専務理事も「誤った政策は成長を阻害する」との見解を表明した。一方、麻生財務相は「毎回同じことを言っているが、今回は言わなかっただけ」といった趣旨の発言で、過剰反応の必要がないことを強調した。
その前日、ワシントンでトランプ大統領と独メルケル首相が初の首脳会談に臨んだ。両者は貿易、移民、難民問題において対立、報道陣から握手を促されたトランプ氏はメルケル氏と目を交わすこともなくこれを拒否した。
20日、そのトランプ氏と19秒間もの握手をする間柄の安倍氏がドイツを訪問した。メルケル氏との日独首脳会談では「日米欧における自由貿易の推進で一致した」と声明した。
日本にとって決して譲れない理念、大義はどこにあるのか。世界が見ているのはそこだ。米国と欧州の単なる仲介が日本の役どころではない。