2011年版 機能性炭素材料市場の現状と将来展望
炭素繊維市場は、今後も高成長が見込める有望市場です。本調査レポートでは、幅広いアプリケーションで中核材料となりうるカーボンナノチューブ、フラーレン、グラフェンを対象に、主要メーカーの事業戦略を調査し、現状と今後の動向を把握するべく企画いたしました。
※紙媒体で資料をご利用される場合は、書籍版とのセット購入をご検討ください。書籍版が無い【PDF商品のみ】取り扱いの調査資料もございますので、何卒ご了承ください。
調査資料詳細データ
■本資料のポイント
- 求められる複数機能の付与と低価格
製品化フェーズまでを描いた事業展開が重要 - 炭素繊維市場は航空、風力で年率2ケタの成長軌道に戻る
次なるテーマは自動車用熱可塑性複合材料・成形法の開発に - スーパーグロース法によるSWNTの量産化で応用開発に弾み
構造材用途への展開がMWNTの本格普及の鍵を握る - 有機薄膜太陽電池への適用で、フラーレンは市場の立ち上がり期に突入
- グラフェンの量産化を睨んだ製造プロセスの改良が活発化
キャリア移動度の高さを活かしたITO代替の道を探る
■本資料の概要
第1章 機能性炭素材料市場の展望
第2章 機能性炭素材料市場の動向
第3章 機能性炭素材料メーカーの展望と戦略
■掲載内容
第1章 機能性炭素材料市場の展望
使いこなし技術の底上げがキラーアプリ確立のための第一フェーズとなる
求められる低価格化、「材料・製品化一体型」の開発体制整備が重要に
第2章 機能性炭素材料市場の動向
1. 炭素繊維市場
(1)PAN系炭素繊維
PAN系炭素繊維市場は航空、風力で年率2ケタの成長軌道に戻る
(図・表)PAN系炭素繊維 市場規模推移(世界)
(図・表)PAN系炭素繊維 メーカー出荷量及びシェア(世界)
海外メーカーの市場参入が活発化
迎え撃つ日系3 社はプリプレグやコンポジットといった川下展開を強化
(表)主要炭素繊維メーカーの事業形態
(表)PAN系炭素繊維 主要メーカー生産体制一覧
航空機分野ではボーイング、エアバスの新型機でCFRP化率が大幅に上昇
軽量化による燃費効率向上を図るためリージョナル機での採用も拡大傾向に
(図・表)PAN系炭素繊維 分野別需要推移(世界)
一般産業分野は風力発電ブレード、圧力容器向けが需要を牽引
炭素繊維強化熱可塑性複合材料と成形技術の開発により
自動車向けの炭素材料需要は2020年に3万t超えへ
(図・表)自動車向け炭素繊維の需要推移(世界)
メーカー各社による炭素繊維、プリプレグの高機能も進む
(2)ピッチ系炭素繊維
ピッチ系の市場規模は2011 年に2,500t まで拡大
(表)ピッチ系炭素繊維 主要メーカー生産体制一覧
異方性ピッチ系ではロボットハンドが需要を牽引
メーカー各社は高熱伝導率を活かした放熱用途の採用を狙う
等方性ピッチ系ではインゴット製造装置向けの断熱材需要がさらなる増加へ
2. カーボンナノチューブ市場
(図)CNTの合成方法
(表)CNTの主な合成法の比較
(1) 単層カーボンナノチューブ(SWNT)
スーパーグロース法によるSWNT の量産化で応用開発に弾み
分散剤の開発や分離精製技術は着実な進歩を遂げる
(表)CNT可溶化の類型
(2) 多層カーボンナノチューブ(MWNT)
MWNT 市場は20%前後の成長率が続き、2020 年には2010 年比およそ7 倍の市場規模へ
(図・表)MWNT 市場規模推移(世界)
(図・表)MWNT メーカー出荷量及びシェア(世界)
昭和電工、Bayer、Nanocyl が相次ぎ能力を増強、供給過剰の懸念が高まる
(表)MWNT 主要メーカー生産体制一覧
LIB 導電補助剤向けは需要拡大とともに低価格化が進行する
構造材用途への展開がMWNT の本格普及の鍵を握る
「MWNT を紡績する」新たなコンセプトで大学発ベンチャーが市場に参入
3. フラーレン市場
フラーレンの抗酸化作用を利用した化粧品成分向けが需要を牽引
有機薄膜太陽電池への適用でフラーレンは市場の立ち上がり期に突入
(表)有機薄膜太陽電池 セル構造
(図)太陽電池向けPCBM フラーレン 分子構造・化学名
(図・表)nanom® spectra Q100・Q400 分子構造・概要
高収率化・低コスト化を実現するフラーレン酸化物・誘導体の製造手法が確立
フラーレンのさまざまな特徴を活かした基礎研究も着実な進展をみせる
(表)フラーレンの応用分野
4. グラフェン市場
グラフェンの量産化を睨んだ製造プロセスの開発・改良が活発化
応用開発ではキャリア移動度の高さを活かしたITO代替が先行
グラフェンFETではHEMT並みの遮断周波数の達成が視野に入る
グラフェンレーザーは未踏の領域であるテラヘルツ波帯の開拓へ
(図)SiCの熱分解法によるグラフェン成長の模式図
(図)GOSにおけるグラフェン成長の概念図
(図)大面積基板へのグラフェン積層プロセス
(表)グラフェンの主な国内研究グループ
(図)グラフェンを適用した有機薄膜太陽電池の構造
第3章 機能性炭素材料メーカーの展望と戦略
東北大学
グラフェンの光デバイス分野への応用研究で世界をリード
グラフェンを用いたテラヘルツ電磁波の誘導放出に世界で初めて成功
グラフェンFETでは1THz以上の遮断周波数と超100GHzクロック動作の実現に取り組む
埼玉大学
グラフェン薄膜の塗布形成方法の開発とデバイスへの応用に取り組む
単層酸化グラフェン薄膜形成法により
高い電気伝導度と透明度を併せ持つグラフェン薄膜の形成に成功
有機薄膜太陽電池の透明電極ではキャリアドープ手法確立の必要性を指摘
正孔輸送層へのグラフェンの適用にも取り組む
有機EFT、透明有機EFT向けでも良好な動作特性を実証
九州大学
CNTの可溶化・機能化研究を世界に先駆けて展開
ピレン・ポルフィリン誘導体やピレンポリマーをはじめDNA、PBIど多様な分散剤を発見
CNTのカイラリティーの選択的認識・分離などの基礎的研究に加え
次世代燃料電池の電極触媒への適用などCNTの応用研究も推進
独立行政法人産業技術総合研究所(グラフェン)
グラフェンの産業応用開発支援を加速化
グラフェンの低温大面積合成技術を開発し、透明導電膜としての適用を図る
2011年度には単層CNT融合新材料研究開発機構にグラフェン事業部が開設され
民間企業との連携による応用開発体制の強化を図る
東レ株式会社
世界最大の炭素繊維複合材料メーカーとして
材料、成形方法、用途の開発をリード
需要の回復に伴い設備投資を積極化、2013年には韓国で炭素繊維新工場が稼動へ
航空機分野は「B787」向けの出荷が本格化
自動車向けではダイムラーAGと共同でCFRP製量産部品の適用を目指す
A-VaRTM、ハイサイクルRTM成形など独自の成形方法の開発に取り組む
東邦テナックス株式会社
プリプレグ・複合材ビジネスの展開を強化
2011年夏に米・TTEにAirbus社向け熱可塑性プリプレグの製造設備が稼動を開始
市場が活気を取り戻し、2011年3月期の炭素繊維事業は増収に転じる
2010年9月より燃料電池用の炭素繊維織物製GDL基材の販売を開始
三菱レイヨン株式会社
ANからコンポジットまでの一貫生産体制を活かした
他社との戦略的提携を推進
2011年6月に大竹事業所でLT専用工場が稼動を開始、2015年までに13,800t/年の体制整備へ
順調な需要の回復を背景に、2011年3月期の炭素繊維事業売上高は大幅増収で着地
大型圧力容器、風力発電ブレード向けにLT「P330シリーズ」の拡販を進める
日本グラファイトファイバー株式会社
航空宇宙からスポーツまで幅広い分野に最適なピッチ系炭素繊維を供給
炭素繊維事業の売上高は好調推移
搬送用ロボットハンドや工業用ロール向けでさらなる需要増を見込む
ピッチ系の高熱伝導率を活かした放熱用途での展開を強化
株式会社名城ナノカーボン
高品質なCNT・グラフェンの開発により
革新的アプリケーションの創出をサポート
透明電極の研究開発マーケットで高効率分離精製技術を活かした金属型CNTの普及に弾み
MWNTでは植物由来原料である樟脳を炭素源とする熱CVD法を開発
2011年2月からは六員環を制御したグラフェンの販売を開始
本荘ケミカル株式会社
アーク放電法による大量・安価なCNT、フラーレン製造技術をベースに
キラーアプリケーションの創出に取り組む
シート抵抗値300Ω/□以下、透過率80%以上(at550nm)のSMNT透明電極の作製に成功
フラーレンは化粧品成分向けの需要が安定推移
昭和電工株式会社
幅広い製品ランナップと積極的な用途展開でCNT市場を牽引
大型LIB市場の本格的な立ち上がりを見据え
2012年初頭をめどに川崎事業所で従来比2倍となる200t/年への増強を計画
「VGCF®-X」では搬送容器に続く大型用途の開拓を急ぐ
保土谷化学工業株式会社
すり合わせ型の製品・用途開発でCNT事業の本格的な立ち上げに取り組む
色素材料の樹脂への均一分散化ノウハウを活かした、
CNTコンパウンド・マスターバッチに強み
高強度・軽量材料や電池電極添加材などへの用途展開を積極化
丸紅情報システムズ株式会社
CNTの販売を通じたユーザーへの新たなビジネス価値を提供
低価格、高品質、安定供給を実現したシーナノ社MWNTの国内販売は順調に拡大
2010年5月よりLIB正負極材向け導電性ペーストの販売を開始
浜松カーボニクス株式会社
革新的な長尺MWNTでアプリケーションの多様化を目指す
塩化鉄を触媒に用いた独自開発のCVD法により、長さ2mmのMWNTアレイの合成に成功
優れた紡糸性を活かし、CNTファイバーやCNTシートなどの加工品開発にも取り組む
株式会社マイクロフェーズ
CNTの製造装置から合成・量産技術まで幅広い領域で実用化開発を担う
ミリ~センチオーダーに対応できる長尺CNT量産技術の開発に取り組む
CNT研究者の裾野の広がりによって、卓上型CVD装置の売上高は堅調に推移
FLOX株式会社
フラーレン酸化物・誘導体に関する高度な知見・ノウハウをベースに
研究開発支援型ベンチャーとして企業成長を図る
混合フラーレン酸化物の分離精製効率を向上させ、
高純度フラーレン酸化物の低コスト化を実現
フラーレン酸化物から用途に応じた高純度フラーレン誘導体を得る製造方法を確立
ナノフロンティアテクノロジー株式会社
独自の分散・切断技術をベースとした高機能CNT複合材料の開発を推進
CNT濃度や溶媒、分散剤などの最適化を図りながら分散・切断の多様なユーザーニーズに対応
ナノAg担持CNTや配向・パターニング技術の研究開発に取り組む
TiO2との複合化による集熱効果の高い太陽光集熱板の開発に成功
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