2012年版 環境・省エネ関連窓材市場の展望と戦略
窓材はこれまで、製品によって対象とするマーケットが異なり、住宅、非住宅、新築、リフォームなど、用途によって棲み分けられてきましたが、特需を経て一定の普及率に達したと見られます。もう一段の事業拡大のため新たな市場の開拓・攻略、新たな需要の掘り起こしが始まっています。市場を分けていた垣根も低くなりつつあり、消費者にとっては省エネ対策品の選択の幅が増えてきました。一方で、様々な製品があり、求める効果を得るにはどんな性能のどんな製品を使えば良いのかがわかりにくくなっています。
窓材メーカーには、消費者に製品の機能、性能、効果を正しく伝え、最適な選択肢を示す取組みが求められます。機能・性能を定義し、規格化、標準化していくことも必要でしょう。性能や効果は眼に見えるものではありませんが、だからこそできるだけ正確に、わかりやすく訴求し、業界と製品の信頼性を高めることは、窓材メーカーの責任といえるのではないでしょうか。
※紙媒体で資料をご利用される場合は、書籍版とのセット購入をご検討ください。書籍版が無い【PDF商品のみ】取り扱いの調査資料もございますので、何卒ご了承ください。
調査資料詳細データ
■本資料のポイント
- 「省エネと節電を売る」、付加価値と効果の訴求が課題
特需後の需要拡大には従来の垣根を越えた新市場の攻略、新たな販路開拓が不可欠 - ウィンドウフィルム
自動車用はエコカーの普及でフロントガラス対応の透明断熱品が成長
飛散防止フィルムは屋内ガラス、強化ガラス向けに拡大の余地あり
通年効果を発揮する低熱貫流フィルム市場が本格的に立ち上がる
住宅向け需要取り込みが課題、新販路開拓とプロモーションは必須 - 窓用遮熱塗料
スケッチ、フォーユーなどベンチャー企業が高シェア確保
塗料、インキ、無機微粒子の材料メーカー大手の参入も拡大 - Low-E複層ガラス
エコポイント終了後のリフォーム需要取り込みが課題
オフィスビルなど非住宅分野でさらなる拡大の可能性 - 中間膜
自動車用は市場規模の20%を機能膜が占める
各社ともアジア、新興国地域での能力増強に注力
■本資料の概要
第1章 環境・省エネ関連窓材市場の展望と戦略
第2章 環境・省エネ関連窓材市場の動向
第3章 個別メーカーの動向と展望
■掲載内容
第1章 環境・省エネ関連窓材市場の展望と戦略
特需後の需要拡大には従来の棲み分けの垣根を越えた新市場の開拓・攻略が不可欠
「省エネと節電を売る」責任、付加価値と効果をいかに訴求できるかが課題
第2章 環境・省エネ関連窓材市場の動向
1.ウィンドウフィルム市場の展望
2012年は自動車用が補助金の後押しで堅調も建築用が特需の反動で大幅
1-1.自動車用
リンテックと住友スリーエムで90%以上のシェアを押える寡占市場
エコカーの普及でフロントガラス対応の高透明高遮熱グレードが成長
1-2.建築用
特需とその反動で2011年、2012年の需要は乱高下
省エネフィルムでは通年で効果を発揮する低熱貫流グレードに期待
1-2-1.飛散防止フィルム
屋内ガラス、強化ガラスなどで今後も拡大の余地あり
安全性のアピールで海外市場の開拓にも期待
1-2-2.省エネフィルム
2012年は前年比73.8%と大幅減も2010年比で見ると堅調
特需の影響が収まる2013年以降はコンスタントに2ケタの拡大が見込まれる
1-2-3.低熱貫流フィルム
新規開発品の投入や新規参入企業の増加で俄かに活況を呈す
住宅向け需要取り込みが課題、新たな販路整備とプロモーションは必須
2.窓ガラス用遮熱塗料
手軽さと幅広い種類のガラスへの対応力を強みとして採用実績を拡大
さらなる成長のためには業界全体での性能、品質、信頼性のアピールが求められる
トップのスケッチ、2位のフォーユーとベンチャー企業が高いシェアを確保
塗料・インキ、無機微粒子などで展開する大手材料メーカーの参入も拡大
3.Low-E複層ガラス
住宅エコポイントの試行で新築住宅向けに急速に普及
ポイント終了後のリフォーム需要の取り込みが課題に
オフィスビルなど非住宅向けにさらなる拡大の可能性
4.ガラス中間膜
PVB大手3社合計生産能力は3億1,700万㎡/年に
自動車、建築用ともに需要拡大が見込めるアジア新興国地域での能力増強が進展
2012年見込みの地域別シェアは欧州38.8%、北米11.3%、その他49.5%
主要メーカーによる用途別棲み分け崩れ競争激化が予想される
自動車用では機能膜で先行する積水化学が50%のシェアを確保
エコカーの普及で機能膜需要が拡大、市場規模の20%を占めるまでに成長
建築用では学校・自治体・官公庁への提案など業界を挙げた採用拡大への取組みが求められる
海外を中心に特殊用途向けにデュポンのアイオノマー系中間膜が注目される
第3章 個別メーカーの動向と展望
住友スリーエム株式会社
自動車用、建築用ともに幅広いニーズを満たす製品ラインナップに強み
建築用では新たなマーケット開拓を積極的に進める
自動車用 EV車の拡大でフロントガラス対応の高透明遮熱タイプが成長
後部座席向けも単なる着色品から高遮熱タイプへのシフトが進む
建築用 根強い耐震需要で飛散防止フィルムは特需後も成長を維持
施工性を改善したロータックタイプが好調
省エネフィルムは特需の反動が大きく2012年の販売実績は前年比70%と大幅に縮小
通年で省エネ効果が得られる低熱貫流タイプの高透明グレードを投入
一般住宅用マーケットの取り込みに注力、カタログ通販など新規販路の拡大を進める
リンテック株式会社
国内外でウィンドーフィルムのブランドを「ウインコス」に統一
あらゆるニーズにきめ細かく対応できる体制で差別化
さらなるグローバル展開強化を目指す
自動車用では75~80%の圧倒的なシェアを確保
建築用は新たな販路・マーケットの開拓で特需に左右されない成長戦略を確立
透明性、電波透過性と高い遮熱機能を併せ持つ日射調整フィルムを富士フイルムと共同開発
通年使用に対応した低熱貫流タイプもラインナップ
三晶株式会社
商社としてのポジションを活かし付加価値の高い差別化品の仕入販売に注力
2012年は特需の反動で省エネフィルムが減少も飛散防止フィルムは継続して成長
高付加価値・高性能品への注力シフトで収益性の高い事業展開を目指す
飛散防止フィルムは耐震改修需要を取り込みコンスタントに成長
帝人フロンティア株式会社
震災特需後は通年で省エネ効果を発揮する低熱貫流グレードの提案に注力
特需収束により2012年の需要は前年比2ケタのマイナスを見込むも
省エネ法改修後の2013年後半~2014年にかけて低熱貫流タイプの拡大を予測
競合による低熱貫流グレード投入も市場認知度アップの好機と捉える
株式会社きもと
セルフクリーニング、外貼り遮熱など独自の製品ラインナップを拡充
2010年度よりWindow’sプロジェクトを継続、新製品投入や拡販に注力し
震災特需後にも事業成長を続ける
日照調整フィルムは遮熱機能を高めた改良グレードを投入
外貼りフィルム「ラクリーン」では遮熱性能を付与した「DUO」が急成長
セルフクリーニング+飛散防止の新グレードの開発も推進
東洋包材株式会社
ナノサイズの中空微粒子で断熱効果を付与した新製品を投入
既存の遮熱フィルム表面に擬似真空層を形成し断熱効果を付与
日東電工株式会社
熱線吸収の無いHC剤の開発で業界最高レベルの低熱貫流フィルムを実現
エネルギー関連の新製品開発の一環として窓用省エネフィルムを開発
エレクトロニクス、オプティクスで蓄積した知見・ノウハウを結集した製品に自信
株式会社スケッチ
独自の高密着バインダーを武器に窓用遮熱コート市場で圧倒的な強さ誇る
塗液に配合する微粒子の種類、配合を調整
用途や予算に合わせて最適化した製品を提案しニーズにきめ細かく対応
目的やユーザーの要望に合わせ複数の販売ルートを構築、最低20㎡分セットから販売
法人向け販路「節電ECOサポート」で企業の省エネ改修需要を取り込む
石原産業株式会社
ローラー施工タイプの投入でラインナップを拡充、拡販に向け本格始動
遮熱コート「ST-IR」シリーズは2012年夏に新製品を投入
ATOからの一貫体制でニーズに最適化した製品設計・開発を推進
代理店、施工店の拡充で販売力の強化を図る
AGCグラスプロダクツ株式会社
新築住宅、リフォーム住宅、オフィスビル・店舗と
全方位展開で幅広く需要を取り込む
LIXILとの共同展開で材料(ガラス)~加工(機能ガラス)~製品(窓)の一貫体制確立
鹿島工場の新ライン稼動により供給能力拡大と高付加価値化が実現
エコガラス「サンバランス®」は2012年に高性能タイプを投入
住宅リフォーム用に既存サッシを活かした製品群も充実
オフィスビルなどのFIX窓を後付でLow-Eペア化する「アトッチ®」を開発
高い省エネ効果のアピールでウィンドウフィルム市場の取り込みを図る
日本板硝子ビルディングプロダクツ株式会社
独自の真空断熱ガラス「スペーシア®」を武器に
リフォーム市場での需要取り込みを強化
住宅エコポイントによりエコガラス販売量は順調に成長
リフォーム需要の取り込みでさらなる事業拡大を目指す
リフォーム用に適した真空断熱ガラス「スペーシア®」で新製品の開発・投入が活発化
需要拡大に対応すべく竜ヶ崎センターに新規ラインを導入し生産能力を倍増
セントラル硝子株式会社
新築用、リフォーム用、防音、防犯、遮熱タイプなど
幅広い製品ラインナップに強み
エコガラスは新築戸建住宅で普及、共同住宅、リフォームでの需要取り込みに注力
幅広いニーズに対応した多様な性能・特性の製品を投入
ソルーシア・ジャパン業株式会社
親会社であるSolutiaがEastman Chemicalに吸収合併
中間膜のトップメーカーとして事業体制に変化なし
需要拡大に対応すべくPVB樹脂、PVBフィルムともアジア地区への投資を実施
2012年の中間膜販売量の20~30%を機能膜が占める
遮熱機能を付与した「Sシリーズ」を開発、日本市場でも2013年までに発売予定
積水化学工業株式会社
自動車用中間膜で50%を超えるシェアを確保
遮音、遮音遮熱など機能膜の開発・投入で差別化
セラニーズからのPVA事業買収で原料から製品までの一貫体制を確立
2009年には水口、蘇州で新ラインが稼動しアジア地区での需要拡大に対応
エコカーの拡大で車体の軽量化、低燃費化につながる機能膜が成長
さらなる拡販のため建築分野の需要取り込みを強化
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