2024年版 スピントロニクスデバイス市場の現状と将来展望

スピントロニクスデバイスとは、電子が持つスピンを利用して情報を処理するデバイスである。従来の電子デバイスでは、電荷を利用して情報を伝達するのに対して、スピントロニクスデバイスでは、電子のスピンの向きを利用して情報を伝達するが、スピントロニクスデバイスは、高速かつ低消費電力なデバイスであるため、消費電力に頭を悩ませている情報技術の将来に、大きく貢献することが期待されている。
通常、スピントロニクスデバイスに用いられるスピンは電子のスピンであるが、電子のみならず、原子核の核スピンに関する研究も進んでいる。原子核スピンの応用は、医療現場で磁気共鳴撮像法(MRI:Magnetic Resonance Imaging)として実用化されているが、電子スピンに比べて極めて大きな磁場が必要となる。一方、核スピンは、電子スピンに比べて、長いコヒーレンス時間を有していることから、長い時間、情報を維持できるというアドバンテージがある。
こうした分野を探求するスピントロニクスは、物質の電気特性と磁気特性の双方を制御することにより得られる新しい物理現象を利用して、エレクトロニクス、マグネティクス、フォトニクスといった電子・情報通信産業のイノベーションを創成する最新の学術分野である。同時に、基礎科学的イノベーションと産業イノベーションが協調的に発展を遂げる比較的稀な科学技術革新分野としても注目されている。

発刊日
2024/09/27
体裁
A4 / 159頁
資料コード
C66115100
PDFサイズ
25.7MB
PDFの基本仕様
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調査資料詳細データ

調査概要
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調査目的:スピントロニクスデバイス市場の事業化に向けた取り組みを進めている企業や研究機関の現在動向と今後の事業施策を調査することで、スピントロニクスデバイスの現状と今後の動向を把握することを目的とする。
調査対象
◆対象区分 〇スピンメモリ 〇スピン集積回路 〇スピン熱制御 〇量子スピントロニクス
◆対象企業、研究機関:上記対象品目関連の生産・販売・取り扱い企業、及び技術研究機関
調査方法:弊社専門調査員による直接面談取材による
調査・分析期間:2024年1月26日~2024年8月25日
※月刊誌「Yano E plus」(2024 年 2 月号~2024 年 9 月号)での関連特集をベースに編集、市場数値なども抜粋

資料ポイント
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情報を処理する電子回路と情報を記録する媒体の融合
デバイス構造が統一されることで新たな地平が拓ける

  • スピントロニクスデバイスは、消費電力に頭を悩ませている情報技術の将来に大きく貢献!
  • 磁気メモリ、磁気センサ、磁気トランジスタ、磁気トルクオシレーターなど、様々な分野での応用が期待できる
  • スピントロニクス技術を論理回路に導入すると、電子機器の待機電力ゼロが可能になり、消費電力を大幅に削減
  • 第三世代SOT-MRAMは、従来の製造プロセスを大きく変更せずに、トンネル酸化膜にかかる電圧をゼロにし、無制限の耐久性を実現!
  • 温度勾配のある系では熱流からスピン流が生じる、生成されたスピン流は電圧に変換され新たな熱電変換原理として注目!
  • 量子効果を取り入れ、長いコヒーレンス時間を持つスピンを光と電場によって制御する点が特徴

リサーチ内容

調査結果のポイント

第1章 総論

1.スピントロニクスデバイスとは
2.スピントロニクスデバイスの用途分野
  2-1.磁気メモリ
    (1)トンネル磁気抵抗(TMR:Tunnel MagnetoResistance)
    (2)スピン移行トルク(STT:Spin Transfer Torque)磁化反転
    (3)スピン軌道トルク(SOT:Spin Orbit Torque)磁化反転
  2-2.磁気読み取り素子
  2-3.スピンホール(Spin Hall)効果素子
  2-4.スピンFET
  2-5.スピン光メモリ
3.スピントロニクスデバイスに関する市場規模
  【図・表1.スピントロニクスデバイスの国内およびWW市場規模予測
  (金額:2025-2045年予測)】
  【図・表2.スピントロニクスデバイスのカテゴリー別国内市場規模予測
  (金額:2025-2045年予測)】
  【図・表3.スピントロニクスデバイスのカテゴリー別WW市場規模予測
  (金額:2025-2045年予測)】
4.スピントロニクスデバイスに関連する企業・研究機関の取組動向
  4-1.公立大学法人大阪大学
    【図1.αNPD分子薄膜のスピン輸送実証の概念図】
    【図2.強磁性共鳴で駆動するスピンポンピングによるスピン注入、
    スピン輸送とスピン検出の模式図】
    【図3.(a) Ni80Fe20/αNPD/Pd三層試料のFMR特性、
    (b)同試料のPdで検出される起電力特性】
  4-2.国立大学法人大阪大学
    (1)スピンエラストロニクスの提唱
    【図4.「スピンエラストロニクス」という新たな学術領域の提唱】
    (2)スピントロニクスによるひずみセンシング
    ①フレキシブルひずみスピンバルブ
    【図5.フレキシブルひずみ(GMR)スピンバルブの構造の模式図】
    【図6.フレキシブルひずみ(GMR)スピンバルブの特性】
    ②生体モーションセンシング
    【図7.各指を曲げた時に得られる出力測定のため、
    フレキシブルひずみ(GMR)スピンバルブを手の甲に貼り付けた】
    (2)別の開発事例
    ①集積スピンセンサパッド
    【図8.集積スピンセンサパッドの回路図(左)および試作品(右)】
    ②無電源センシング
    【図9.無電源センシングの構想と試作品】
    (3)ナノエラストロニクス創成に向けて
    【図10.ナノエラストロニクス創成に向けて】
  4-3.国立大学法人神戸大学
    (1)スピントロニクス向け強磁性合金材料と二次元物質間の
    異種結晶界面の状態を第一原理計算で予測(神戸大学プレスリリース 
    https://www.kobe-u.ac.jp/ja/news/article/2022_09_06_01/)
    【図11.FePd/Grのツイスト界面モデルの例】
    【図12.ツイスト界面におけるGr層の高さ分布。黒丸はC原子、
    色は高さを表わし、縞模様上の変形が発生していることがわかる】
    (2)波状Gr/L10-FePd界面における第一原理計算とXASおよびXMCDスペクトル観測
    (3) L10-FePd(001)/Grヘテロ接合の第一原理計算によるスピン輸送特性の予測
    【図13.FePd/1-Gr/FePdヘテロ接合のスピン輸送計算の模式図、
    (a)散乱領域と電極領域の計算モデル。
    (b)FePd(001)/Gr界面モデルの断面図。(c)磁気構成とスピン分解伝導成分。
    (d)接合のマイクロ磁気シミュレーションモデル】
  4-4.国立大学法人東京大学
    【図14.表面弾性波に伴うDC起電力測定の実験系模式図】
    【図15.重金属/強磁性ヘテロ構造に表面弾性波を伝搬させた際に発生する
    直流起電力の磁場角度依存性の測定結果】
    【図16.原子振動と電子スピンがスピン軌道相互作用を介して
    結合することによって発生するスピン流の概念図】
5.スピントロニクスデバイスの将来展望

第2章 スピン集積回路

1.スピン集積回路とは
2.スピン集積回路の特長
  2-1.高速動作
    (1)スピン転送による高速通信
    (2)スピン軌道相互作用の活用
    (3)スピン輸送の最適化
  2-2.低消費電力
    (1)スピン転送の効率化
    (2)スピン軌道相互作用の利用
    (3)スピンの長時間保持
  2-3.不揮発性
    (1)省スペース化
    (2)高速化
    (3)省エネルギー
    ①設計複雑性
    ②コスト
  2-4.スケーラビリティ
    (1)スピン転送の制御
    (2)スピン配置制御
    (3)エネルギー効率の最適化
3.スピン集積回路に関する市場規模
  【図・表1.スピン集積回路の国内およびWW市場規模予測(金額:2025-2045年予測)】
  【図・表2.スピン集積回路のカテゴリー別国内市場規模予測(金額:2025-2045年予測)】
  【図・表3.スピン集積回路のカテゴリー別WW市場規模予測(金額:2025-2045年予測)】
4.スピントロニクスデバイスに関連する企業・研究機関の取組動向
  4-1.国立大学法人大阪大学
    (1)オンチップ型ゲルマニウム電子・光・スピン集積回路に向けたスピントロニクス研究
    【図1.Geベースの電子・光・スピン集積回路の概念図】
    (2)革新的スピン注入を可能とする強磁性ホイスラー合金/Geヘテロ接合
    【図2.MBEで作製した強磁性ホイスラー合金/Fe/Ge接合の断面電子顕微鏡写真(左)。
    それを用いたスピン伝導評価デバイスの概念図(中央)。
    室温で観測された磁気抵抗効果(不揮発メモリ効果)の例(右)】
    (3)縦型Geスピンデバイスの開発
    【図3. 従来の常識を覆す縦型Ge半導体スピンデバイス構造の模式図(左)。
    試作デバイスの評価の様子(中央)。
    室温で観測された磁気抵抗効果(不揮発メモリ効果)の例(右)】
  4-2.国立大学法人九州大学
    (1)スピンゼーベック一様膜温度差発電で目指すエナジーハーベスト
    【図4.スピンゼーベック効果と逆スピンホール効果による熱起電力の可能性】
    (2)超低消費電力を目指す磁気メモリ(MRAM)
    【図5.既存デバイスの速度と容量】
    【図6.疑似反強磁性層の実現】
    (3)次世代に向けたサブテラヘルツ発振素子
    【図7.スピントルク発振の模式図】
  4-3.国立大学法人東北大学
    (1)エッジAIがもたらす不揮発性ロジックインメモリアーキテクチャ
    (2)不揮発性ロジック回路方式の特長
    【図8.従来の半導体LSI(上)と不揮発性ロジックLSI(下)の比較イメージ】
    【図9.従来方式と不揮発ロジックの方式の比較。
    従来の揮発メモリを用いた方式では電源OFFで記憶データが
    破壊されてしまうため、待機中も通電しておかなければならず、
    結果として無駄な電力を消費(下)。
    一方、不揮発メモリを用いると待機中に電源OFFしてもデータが保持される】
    (3)不揮発性ロジック回路の構成例
    【図10.スピントロニクス素子を用いた不揮発マイコンの事例】
    【図11.エッジ向けマイコンとしての性能比較】
    (4)不揮発性デバイスの更なる技術展開の可能性
  4-4.国立大学法人北陸先端科学技術大学院大学(JAIST)
    (1) GaAs(111)B上のMnAs/InAs系ヘテロ構造
    【図12.目標とするスピンFET】
    【図13.GaAs(111)B上のMnAs/InAs系ヘテロ構造】
    (2)シングルヘテロ構造:横型スピンバルブデバイス
    【図14.MnAs/InAsシングルヘテロ構造による横型スピンバルブデバイスの構造】
    【図15.横型スピンバルブデバイスの非局所スピンバルブ(NLSV、左)
    および局所スピンバルブ(LSV、中央)特性例と
    スピンバルブ信号の電極間隔依存性(右)】
    【表1.スピンバルブ信号より見積もられたスピン拡散長とスピン注入効率】
    (3)ダブルヘテロ構造:縦型スピンバルブデバイス期待
    【図16.ダブルヘテロ構造のSEM/EDS結果】
    【図17.ダブルヘテロ構造の磁気特性】
5.スピン集積回路の課題と将来展望
  5-1.課題
  5-2.将来展望

第3章 スピンメモリ

1.これまでのメモリのメインストリーム
2.次世代メモリに対する期待
3.代表的な次世代メモリである磁気抵抗メモリ(MRAM)
4.スピンメモリに関する市場規模
    【図・表1.スピンメモリの国内およびWW市場規模予測(金額:2025-2045年予測)】
    【図・表2.スピンメモリのカテゴリー別国内市場規模予測(金額:2025-2045年予測)】
    【図・表3.スピンメモリのカテゴリー別WW市場規模予測(金額:2025-2045年予測)】
5.スピントロニクスデバイスに関連する企業・研究機関の取組動向
  5-1.国立大学法人九州大学
    (1)MRAMトレンド:STTからSOTへ
    (2)注目が集まるTmIG
    【図1.オンアクシススパッタリングにより作製されたTmIGの特性。
    (a) 2θ -ω法により測定されたX線回折パターン。
    (b)超電導磁束量子計により27℃で測定された磁気特性】
    (3)磁性絶縁体TmIGの電気的検出および磁化反転
    【図2.TmIGのデバイス構造(a)と異常ホール効果による磁化測定結果(b)】
  5-2.国立大学法人東京工業大学
    (1)超高速・超低消費電力を特長とするSOT-MRAMの開発
    ①STT-MRAM
    ②SOT-MRAM
    【図3.STT-MRAM(上)とSOT-MRAM(下)の特徴】
    (2)トポロジカル絶縁体と磁気トンネル接合を集積した
    SOT-MRAMの原理動作実証に成功(東京工業大学 プレスリリース
    https://www.titech.ac.jp/news/2021/062339)
    【図4.BiSbのスピンホール性能】
    【図5.SOT-MRAMのベンチマークモデルの(a)書き込み電流と (b)書き込みエネルギー】
    【図6.(a)トポロジカル絶縁体とCoFeB/MgO/CoFeB磁気トンネル接合(MTJ)を集積した
    3端子SOT-MRAM素子の模型と(b)実際の素子の写真。
    (c)スパッタリング法のみで作製した
    BiSb-MTJ素子におけるトンネル磁気抵抗効果。
    (d)スピン軌道トルクによる書き込みの実証】
    (3)トポロジカル絶縁体を用いたSOT-MRAMの超高速磁化反転に成功
    (東京工業大学 プレスリリース https://www.titech.ac.jp/news/2022/063811)
    【図7.(a)超高速磁化反転を実証するための膜構造。
    (b)作製した素子の写真。(c)-(f) パルス幅1~4 nsの
    パルスナノ秒電流を掃引した時の磁化反転。
    (g) 3 nsの正負のパルス電流(1.3×107 A/cm2)をBiSbに連続的に
    印加した時の磁化反転。(h) 1 nsから1 msまで、
    様々なパルス電流を印加した時の磁化反転に必要な閾値電流密度】
  5-3.国立大学法人奈良先端科学技術大学院大学(NAIST)
    (1)デバイスの3次元立体加工
    【図8.2次元(左)および3次元(右)の磁性薄膜の模式図】
    (2)高精度で乱れのない原子サイズ立体表面の作製
    ①加工および評価技術の開発
    【図9.作製したSiのピラミッド構造(ウェットエッチング後)を示すSEM像】
    【図10.4回対称のSi{111}ファセット面からの
    LEEDパターン実験結果(a)とシミュレーション結果(b)】
    ②磁性ナノ薄膜の形成
    【図11.ピラミッド形状をもつ30 nm-Feナノ薄膜の磁化(縦軸)と
    印加磁場(横軸)の関係 (a, b)。(a)基板面内方向に磁場印加、
    (b)基板面垂直方向に磁場印加。(c)面内磁場印加の場合の各磁場
    ((a)の1~6)における磁化の模式図】
    ③下地をマスクすることによる特性改善
    【図12.8角形ピラミッド構造領域のみにFeをコーティングした試料のSEM像。
    ピラミッド構造の間に下地のSiが表面に現われている。】
    【図13.上記サンプルの磁化-磁場曲線】
6.スピンメモリの将来展望
  6-1.高速動作と低消費電力
  6-2.高耐久性と信頼性
  6-3.集積度の向上
  6-4.製造技術の進化
  6-5.新しいアーキテクチャへの対応
  6-6.エネルギー効率の向上

第4章 スピン熱制御

1.スピン熱制御とは
2.スピン熱制御の理論
  2-1.スピンゼーベック効果
  2-2.スピンペルチェ効果
  2-3.スピンホール効果
3.スピン熱制御に関する市場規模
    【図・表1.スピン熱制御デバイスの国内およびWW市場規模予測
    (金額:2025-2045年予測)】
    【図・表2.スピン熱制御デバイスのカテゴリー別国内市場規模予測
    (金額:2025-2045年予測)】
    【図・表3.スピン熱制御デバイスのカテゴリー別WW市場規模予測
    (金額:2025-2045年予測)】
4.スピン熱制御に関連する企業・研究機関の取組動向
  4-1.国立大学法人九州大学
    【図1.スピン流生成機構を示す模式図。
    (a)電場によるスピン流生成(電気的スピン注入)機構。
    上向きスピンチャネルと下向きスピンチャネルの電気伝導度の差に依存。
    (b)熱勾配によるスピン流生成(熱スピン注入)機構。
    上向きスピンチャネルと下向きスピンチャネルのゼーベック係数の差に依存】
    (1)スピン依存ゼーベック効果
    【図2.スピン依存ゼーベック効果のバンド依存性。
    (a)従来材料(NiFe, Co等)における熱励起スピン拡散機構の模式図。
    (b)熱スピン注入に理想的な強磁性材料(CoFeAl, CoFeB等)における
    熱励起スピン拡散機構の模式図】
    (2) CoFeAl合金を用いた熱スピン注入の評価
    【図3.CoFeAl合金を用いたスピン依存ゼーベック効果(熱スピン注入)の検出。
    (a)作製した素子構造と測定回路。(b)検出した熱スピン信号】
    (3)間接的熱スピン注入の観測
    【図4.多端子横型スピンバルブ素子における電気的スピン注入と
    熱スピン注入の検出。(a)電気的スピン信号。(b)熱的スピン信号。
    (c) 3つのCFA/Cu界面における熱流の流れとCu非磁性体中への熱スピン注入の模式図。
    測定結果の右側に挿入した模式図は各測定における端子配置】
  4-2.国立大学法人埼玉大学
    【図5.ゼーベック効果の模式図】
    【図6.スピンホール効果(左)とスピンネルンスト効果(右)の模式図】
    【図7.横型熱スピン変換による発電の模式図(右)とスピンバルブ構造(右)】
    【図8.モジュール化する場合の接続方法の提案】
  4-3.国立大学法人東北大学
    (1)熱伝導を電気で制御する新手法を開発(東北大学プレスリリース 
    https://www.tohoku.ac.jp/japanese/2020/09/press20200903-01-netsu.html)
    【図9. (a)ラマン分光用試料の断面図。
    電圧印加下のマグノンの変化をレーザー光で調べるために
    透明導電膜ITOを上部電極に用いている。(b)印加電圧の時間依存性。
    (c)電圧印加及びショートによるラマンスペクトルの変化。
    A-Eの記号は(b)のそれに対応している】
    【図10.(a)熱伝導評価用試料の断面図。
    上部電極であるAuはサーモリフレクタンス用の加熱兼温度検出膜として機能する。
    (b)印加電圧の時間依存性。
    (c) LCCO 薄膜の熱コンダクタンスGLCCOの印加電圧依存性。
    A-Eの記号は(b)のそれに対応している】
    (2)電子デバイスの排熱制御に向けた「スピン梯子系銅酸化物」の
    配向成膜技術を開発(東北大学プレスリリース
    https://www.tohoku.ac.jp/japanese/2022/08/press20220823-03-spin.html)
    【図11.スピン梯子系銅酸化物LCCOの構造。
    (a)単位構造、(b)梯子面を立てた状態】
    (3)スピン熱伝導物質のナノシート化に成功(東北大学プレスリリース 
    https://www.tohoku.ac.jp/japanese/2022/10/press20221013-01-spin.html)
    【図12.スピン熱伝導物質LCCOの層状構造(単位格子)】
    【図13.LCCOナノシートのTEM像】
    (4) EVの次世代熱管理を指向したマグノン熱伝導性ナノシート大量合成技術の開発
  4-4.国立大学法人福井大学
    (1)熱による高速・高効率な磁極制御(大阪大学プレスリリース
    https://resou.osaka-u.ac.jp/ja/research/2018/20181205_1)
    【図14.二重絶縁体型MTJの概念図】
    【図15. MTJに印加した直流電圧に対する自由層の磁極の磁気異方性】
    【図16.マイクロ波が増幅される現象の概念図(左)と
    マイクロ波パワー反射率スペクトルの磁場依存性(右)】
    (2)磁石でサブギガヘルツ帯の世界最高ダイオード感度を達成
    (大阪大学プレスリリース
    https://resou.osaka-u.ac.jp/ja/research/2021/20210126_1)
    【図17.ダイオード感度と周波数に対する本研究の位置づけ】
    【図18.磁石を使ったボロメーターの原理を示す概略図。
    (a)マイクロ波を印加しない時と、(b)印加した時の素子の様子】
    【図19.電力-55 dBmのマイクロ波を素子に印加した時に発生した
    直流電圧と印加マイクロ波の周波数の関係】
  4-4.国立研究開発法人物質・材料研究機構(NIMS)/東京大学
    (1)スピンカロリトロニクスの開拓と展開
    (2)JST 戦略的創造研究推進事業 ERATO「内田磁性熱動体プロジェクト」
    https://www.jst.go.jp/erato/uchida/about.html)
    【図20.JST ERATO「内田磁性熱動体プロジェクト」の概念図】
    (3)新材料「熱電永久磁石」が熱マネジメント技術の新たな可能性を切り拓く
    ~磁気によって横型熱電変換を高性能化~(NIMSプレスリリース
    https://www.jst.go.jp/pr/announce/20231130-3/pdf/20231130-3.pdf)
    【図21.縦型・横型熱電変換素子の比較と、
    今回開発した横型熱電変換素子の駆動原理の模式図】
    【図22.人工傾斜型多層積層体における横型熱電変換過程の可視化】
    【図23.永久磁石を組み込んだ人工傾斜型多層積層体
    (熱電永久磁石)における横型熱電変換】
5.スピン熱制御の課題と将来展望

第5章 量子スピントロニクス

1.注目される量子スピントロニクス
2.量子スピントロニクスの応用分野例
  2-1.量子分子スピントロニクス
  2-2.スピン量子コンピュータ
3.量子スピントロニクスに関する市場規模
    【図・表1.量子スピントロニクスの国内およびWW市場規模予測
    (金額:2025-2045年予測)】
    【図・表2.量子スピントロニクスのカテゴリー別国内市場規模予測
    (金額:2025-2045年予測)】
    【図・表3.量子スピントロニクスのカテゴリー別WW市場規模予測
    (金額:2025-2045年予測)】
4.スピントロニクスデバイスに関連する企業・研究機関の取組動向
  4-1.国立大学法人大阪大学
    (1)スピン流を用いた高感度磁気センサの原理解明
    (東京大学/日本原子力研究開発機構 共同プレスリリース 
    https://www.issp.u-tokyo.ac.jp/issp_wms/DATA/OPTION/newsrelease20120912.pdf)
    【図1.スピン流が発生するメカニズム。強磁性体から
    非磁性体の左側に電流JCを流すと、強磁性体と非磁性体の
    電気化学ポテンシャル(μ)の違いから、
    非磁性体の右側には電流が流れていないにも関わらず、
    スピン流のみが誘起される】
    【図2.Pd92Ni8合金のスピンホール信号の温度依存性。
    強磁性体から常磁性体に転移する温度 T=21K 付近で
     ISHE に異常が現われている】
    【図3.スピンホール効果(SHE)の模式図。
    強磁性体スピン(ピンク球)がキュリー温度付近で揺らいでいるところに
    スピン流(JS)を注入すると電圧信号(JC)に異常が生じる】
    (2)スピン流を用いた磁気の揺らぎの高感度検出
    (東京大学/大阪大学/日本原子力研究開発機構 共同プレスリリース 
    https://www.u-tokyo.ac.jp/content/400038744.pdf)
    【図4.ISHEの信号が減少するメカニズム】
    (3)スピン流で観測されたフラストレート磁性体におけるスピン蜜領域
    【図5.異なる温度領域におけるCuMnBiのスピンホール角。
    スピンホール角はISHEを測定することで得られる】
  4-2.国立大学法人東京大学
    (1)スピントランジスタの実現に向けて、
    酸化物デバイスで巨大磁気抵抗と電流変調を実現
    (東京大学プレスリリース
    https://www.t.u-tokyo.ac.jp/press/pr2023-05-31-001)
    【図6.本研究の概要。(a)本研究で作製した2端子素子の構造。
    (b)従来の研究で使われてきた一般的な半導体と
    強磁性金属を組み合わせた素子構造の例。
    (c)今回作製したデバイスに用いた(La0.67,Sr0.33)MnO3薄膜の
    STEMによる断面格子像】
    (2)世界最高効率のスピン流電流変換を酸化物で実現
    (東京大学/KEK 共同プレスリリース
    https://www.t.u-tokyo.ac.jp/press/pr2022-10-04-001)
    【図7.従来の研究で使われてきた素子構造の例(左)と
    今回用いた(La,Sr)MnO3/LaTiO3/SrTiO3構造(右)】
    【図8.強相関電子系材料LaTiO3とSrTiO3界面のSTEM像】
    (3)磁場をかけるだけで電気抵抗が大きく変化する
    「巨大磁気抵抗スイッチ効果」を実現
    (東京大学プレスリリース
    https://www.t.u-tokyo.ac.jp/press/pr2024-03-13-001)
    【図9.今回作製したFe/MgOを電極とするホウ素(B)を添加した
    半導体Geのナノチャネル(チャネル長20nm程度)を有する
    二端子デバイスの模式図(左)。
    デバイスの断面STEM像(中)とデバイス上面から観測したSEM像(右)】
    【図10.Fe層(赤)とB添加Ge(青)の層に挟まれたMgO領域に形成された
    導電性フィラメント模式図。
    (a)印加された電圧が大きくMgO領域にフィラメントが形成されている場合。
    (b)磁場が印加され導電性フィラメントが切断された状態】
  4-3.国立大学法人東北大学(1) 
    (1)電子スピン歳差運動の回転方向の観測に成功
    (東北大学プレスリリース
    https://www.tohoku.ac.jp/japanese/2020/07/press20200703-02-spin.html)
    【図11.強磁性体、反強磁性体、フェリ磁性体における
    磁気モーメントの歳差運動】
    (2)磁性の微視的情報からスピン流の挙動を予測可能に
    (東北大学プレスリリース
    https://www.tohoku.ac.jp/japanese/2024/04/press20240409-03-spin.html)
    【図12.スピン流信号の温度依存性と偏極中性子散乱により
    観測されたTb3Fe5O12の310 Kと160 Kにおける磁気励起分散のマグノン極性】
  4-4.国立大学法人東北大学(2) 
    (1)室温動作スピントロニクス素子を用いて
    量子アニーリングマシンの機能を実現(東北大学プレスリリース
    https://www.tohoku.ac.jp/japanese/2019/09/press20190918-01-spin.html)
    ①qビットとpビット
    ②スピントロニクス素子
    ③スピントロニクスpビット
    【図13.スピントロニクス素子(MTJ素子)。
    磁気トンネル接合の構造の模式図(上)。従来の不揮発性磁気メモリ用途と
    今回のpビット用途のMTJ素子の違いを説明した図(下)】
    (2)スピントロニクス疑似量子ビットを従来比100倍超に
    高速化することに成功(東北大学プレスリリース
    https://www.tohoku.ac.jp/japanese/2021/03/press20210318-02-bit.html)
    【図14. (左上)作製したMTJ素子の構造:数字はnm。
    (右上)楕円形の素子を上から撮影したSEM像。
    (左下)素子抵抗の外部磁場依存性。(右下)対応する状態の模式図】
    (3)確率動作スピン素子を用いた高性能・省電力Pコンピュータを実証
    (東北大学プレスリリース
    https://www.tohoku.ac.jp/japanese/2022/12/press20221207-02-spin.html)
    【図15.構築した確率動作スピントロニクス素子からなる確率ビットと
    FPGAからなるPコンピュータの実物写真】
    (4)製造容易性に優れた確率論的(P)コンピュータを開発
    (東北大学プレスリリース
    https://www.tohoku.ac.jp/japanese/2024/04/press20240405-01-com.html)
    【図16.本研究の位置付けを整理した模式図。
    既存技術である決定論的に動作する半導体回路からなるコンピュータ(上)。
    本研究にて動作実証した半導体回路と少数の確率動作スピン素子からなる
    近未来版のPコンピュータ(中)。
    本研究にて性能を予測した多数の確率動作スピン素子からなる
    最終形態のPコンピュータ(下)】
  4-5.国立研究開発法人日本原子力研究開発機構(JAEA)
    (1)グラフェンと金の化学結合形成メカニズムを解明
    ~スピントロニクス素子への応用期待~(JAEAプレスリリース
    https://www.jaea.go.jp/02/press2022/p23013001/)
    【図17.グラフェンとHex-Au(001)の原子配置と電子状態】
    【図18.Hex-Au(001)凹凸表面上にグラフェンを作製してARPESで計測】
    【図19.Hex-Au(001)上グラフェンのARPES計測結果】
    【図20.金表面とグラフェンとの化学結合の比較。
    (左)平坦な金表面、 (右)凹凸のある金表面】
    (2)「スピン波の量子真空に潜むエネルギー」を理論的に解明
    ~磁気デバイスの小型化に貢献~
    (JAEAプレスリリース https://www.jaea.go.jp/02/press2022/p23022801/)
    【図21.磁石の中を伝わる磁気の波とその真空】
    【図22.YIGと酸化クロム(III)におけるスピン波】
    【図23.磁気の波のカシミアエネルギーの膜厚依存性】
    (3)インダクタのサイズを1/10,000に超小型化・省電力化できる新原理を考案
    (JAEAプレスリリース https://www.jaea.go.jp/02/press2023/p23061602/)
    【図24.絶縁体インダクタの構成(上)と基本動作(下)】
    【図25.絶縁体インダクタと、従来型インダクタ、及び創発インダクタの特性比較】
    【図26.本研究の成果の概要図】
  4-6.国立大学法人広島大学
    (1)レーザーを用いた光スピン制御
    (東京大学/お茶の水女子大学 共同プレスリリース
    https://www.issp.u-tokyo.ac.jp/issp_wms/DATA/OPTION/release20170224.pdf)
    【図27.光照射による電子放出の概念図】
    【図28.電子スピンの光制御の概念図】
    (2)電子・スピンの運動を可視化する走査型SARPES顕微鏡装置の開発
    (広島大学プレスリリース https://www.hiroshima-u.ac.jp/news/81141)
    【図29.本研究チームが広島大学放射光科学研究センター(HiSOR)で
    開発した走査型SARPES顕微鏡の概略図】
    【図30.研究チームが観測することに成功したトポロジカル絶縁体の
    微小な表面で異なるスピン流が発生している様子】
5.量子スピントロニクスの将来展望

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