中国、第1回輸入博、約束された成功ゆえの見えないリスク
9日、IMFは「世界経済見通し」を発表、世界経済の先行きに懸念を表明した。
同レポートは、米中貿易戦争による影響を5つのシナリオをもとに分析、最悪の場合、中国の成長率は1.6ポイント下振れし、年5%へ、米国も1.0ポイント低下し、年1.5%へ減速するという。日本への影響も避けられない。年0.9%と見込まれた成長率は年0.2%へ下方修正される。2つの経済大国の対立は世界経済にとっていよいよ大きなリスクとなりつつある。
その中国では、第1回の「中国国際輸入博覧会」が11月5日から10日にかけて上海で開催される。
中国側は、各省区市、中央政府直属の国営企業など38の取引チームを編成し、輸入促進をはかる。担当チームには目標数値(=ノルマ)もかけられているという。
日本からは自動車、商社など大手から中小企業まで「450社は参加するだろう」(JETRO上海)と見られる。ゼネラルモーターズやジョンソン・エンド・ジョンソンなど米企業も中国での販売拡大を目指す。来場者は16万人、バイヤーとしての中国企業は4万社、130カ国、2800社を越える企業が中国へ売り込みをかける。
輸入博初日には習主席も来場するという。5日と6日を休日にするとの通達もあった(民間企業は独自に判断)。11月6日は米中間選挙の当日である。つまり、輸入博は中国にとって最高レベルの政治的イベントということだ。
中国は国際社会に向けて、米の選挙結果を想定した高度に戦略的な2種類の声明を準備しているはずだ。そして、そのいずれかとともに“開かれた中国”と“巨大な購買力”をアピールするだろう。関税の引き下げ、知材保護の強化など中国の市場開放は進む。日本企業にとっては日中関係の急速な好転もチャンスである。しかし、そうした政治の振れ幅そのものがリスクであることは言うまでもない。政治を超えて市場に賭けるか、退くか、日本企業の戦略性が問われる。中途半端はこの国では通用しない。
今週の”ひらめき”視点 10.14 – 10.18
代表取締役社長 水越 孝
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