プレスリリース
No.1993
2018/11/15
ITサービス市場におけるUX貢献額に関する調査を実施(2018年)

ITサービス市場における2018年のUX貢献額は1.55兆円の見込
~今後もCAGR24.2%で伸長する見通し~

株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、ITサービス市場におけるUX貢献額(情報通信業に属するIT人材がUX(User Experience)を踏まえて創出した年間売上高)を調査し、現況、および将来展望を明らかにした。

図1. ITサービス市場におけるUX貢献額推移
図1. ITサービス市場におけるUX貢献額推移
図2. UX認知状況と今後のUX学習意欲
図2. UX認知状況と今後のUX学習意欲

1.市場概況

近年、市場の成熟化に伴い、製品の機能や仕様の差別化は困難となりつつある。現下、ユーザー(顧客)体験が重要視される動きがあり、UX(User Experience)という概念が注目されている。UXとは、ユーザー体験を第一義に、インターフェイスやシステム全般を設計しようとする考え方である。

​UXの影響度合いを把握し、価値を算出するため、情報通信業に従事するIT人材がUX(User Experience)を踏まえて創出した年間売上高をUX貢献額とした。2017年のUX貢献額は1.21兆円、2018年は1.55兆円(前年比127.3%)の見込である。

2.注目トピック

UXへの取組み意欲を有するIT人材は全体の64.3%

本調査に関連し、2018年8月に情報通信業に従事するIT人材858名に対してUXに関するアンケートを実施し、UXの認知状況について聞いたところ、全体の32.5%がUXを認知しているという結果であった。一方、UXを認知していないと回答した層に対して今後のUXの学習意欲を聞いたところ、全体の31.8%が積極的に学習したいと回答した。

​本アンケート調査結果から、UXの認知状況と今後のUX学習意欲について考察すると、全体の64.3%が今後UXに対して取組み意欲を有することが示唆される(図2参照)。

3.将来展望

今後も、ITサービス市場におけるUX貢献額は拡大を続けると見込まれる。背景には、大手企業が相次いでデザインファームを買収していることやUXデザイン関連部署を開設していることなど、UXの重要性の高まりが挙げられる。また、本アンケート調査より、現在UXを認知していないIT人材であってもUXに対し高い学習意欲をもつこともUX貢献額の拡大に貢献するものと考える。

​こうしたことから、ITサービス市場におけるUX貢献額は、2019年は2.01兆円、2020年は2.47兆円、2021年は2.89兆円を予測する。また2017年から2021年のCAGR(年平均成長率)は24.2%である。

調査要綱

1.調査期間: 2018年6月~8月
2.調査対象: 情報通信業に従事するIT人材
3.調査方法: インターネットアンケート調査および文献調査併用

<ITサービス市場におけるUX貢献額とは>

本調査におけるUX(User Experience)貢献額とは情報通信業に従事するIT人材がUXを踏まえて創出した年間売上高をITサービス市場におけるUX貢献額として算出した。

​ITサービス市場には、経済産業省の特定サービス産業実態調査におけるソフトウェア業、情報処理・提供サービス業、インターネット附随サービス業が該当する。

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