2020年の機械系CAE国内市場規模は860億円で伸び悩みを予測
新型コロナウイルスの影響で2021年には大幅な落ち込みに
1.市場概況
2019年の機械系CAE国内市場規模(事業者売上高ベース)は前年比6.9%増の837億1,600万円となった。2020年は前年比2.8%増の860億2,500万円となり、伸び率は低下すると予測する。
2019年は国内景況感が良く機械系CAE市場も堅調だったが、2020年に入り大きく市場環境が変化している。新型コロナウイルス感染症の影響により、経済活動の落ち込みが製造業に打撃を与えている。特に、これまで機械系CAE市場を牽引してきた自動車産業の業績の落ち込みが大きい。
一方で、日本企業の2020年度の予算決定時期は新型コロナウイルス感染症蔓延前であったため、マイナスの影響はまだ小幅に留まっている。
2.注目トピック
コロナ禍の経験によりクラウドの活用や働き方の変化が進む
今回の新型コロナウイルス感染拡大により、多くの国内製造業においてテレワークが導入され、多くの設計者たちが在宅勤務になった。遠隔でアクセスできるクラウドを活用し、その有効性を体感したことから、エンジニアリング領域においても、今後クラウドコンピューティングが一気に普及する見通しである。
また、CAD データのビューワ、VR(Virtual Reality) などを使いリモートデザインレビューを行うツールは、これまで対面のコミュニケーションを重視する日本では普及が進まなかったが、テレワークの定着とともに利用が拡大すると考える。
3.将来展望
2021年の機械系CAE国内市場規模(事業者売上高ベース)は前年比18.9%減の698億円を予測する。コロナ禍による経済活動の停滞・悪化により、企業の設備投資は2020年から2021年にかけて大きく減少すると考える。リーマンショック時と同様の大きな落ち込みが予想される。
その後、製造業の幅広い業種において設備投資が徐々に回復するとみており、これに伴い機械系CAE国内市場も好転に向かうものと考える。
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調査要綱
2.調査対象: 機械系CAEメーカー等
3.調査方法: 当社専門研究員による直接面談、電話・e-mailによるヒアリング、ならびに文献調査併用
<機械系CAE市場とは>
CAE(Computer Aided Engineering)とは、コンピュータにより製品の設計や開発工程を支援するという概念であり、それを実現するためのツールとして、機械系システムの強度や流体における抵抗などの特性を解析対象とする機械系CAEや、1D CAEなどのモデルベース開発ツール、数値計算を支援する数値解析などその他のCAEがある。
本調査における機械系CAE市場とは、構造解析や熱流体解析、樹脂成形解析、鋳造解析など、前者の機械系CAEを対象とし、事業者売上高ベースで算出した。
<市場に含まれる商品・サービス>
機械系CAE(構造解析や熱流体解析、樹脂成形解析、鋳造解析など)
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