プレスリリース
No.2479
2020/07/03
レジャー関連市場における動向調査を実施(2019年)

市場規模が縮小する旧来型のレジャー産業は、新たなサービス形態の開発、新たなターゲット層の取込みによって市場全体での活性化を模索する

株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、国内のレジャー関連産業を調査し、2019年のレジャー関連市場の動向を幅広くまとめた。

1.調査結果概要

 本調査では、インバウンド需要の高まりによって活況な旅行市場から外食市場までの全91市場の調査を実施した。一般的にレジャー産業といってもその対象は非常に幅広く、捉え方によっては世の中の全てがレジャーに関連すると言っても過言ではない。国内のレジャー関連産業の動向を幅広く取りまとめた。


 レジャー関連市場にはゴルフ、スキーと言った比較的歴史の長い旧来型のレジャーだけでなく、スマホゲーム・VRと言った新興市場までが含まれているが、前者のような旧来からのレジャーにおいては参加人口や市場規模が年々縮小するなか、新たなサービス形態の開発、新たなターゲット層の取込みを狙うことによって、市場全体での活性化を模索する動きが目立っている。
例えばゴルフ市場では旧来の〝接待ゴルフ〟の用途から脱却し、キャディを付けないセルフプレイでの低価格の利用を可能にしている。これによってライトなユーザー層、早朝や平日のアイドルタイムの利用が増加している。また、グランピングなどのアウトドア施設を隣接させてゴルフ以外の目的を付与することで、ファミリー層などの取込みも狙っている。一方、スキーでは近年のインバウンド需要の高まりを背景に長期滞在の外国人来訪者が増加しているが、需要のメインとなる国内のスキー人口は減少の一途を辿っている。それに対し、降雪の無いグリーンシーズンでの収益確保を狙ってマウンテンバイクコース、ジップライン、キャンプ・グランピング施設などを開設する動きが目立つ。折からのアウトドアブームを受けて、これらのようなグリーンシーズンのサービス展開はさらに拡大していくだろう。


 なお、本調査では2019年のレジャー関連市場の動向を対象としているため、2020年以降の日本国内での新型コロナウイルスの感染拡大の影響には言及していない。一義的には “不要不急” とされることが多いレジャー関連市場でのコロナ禍の影響は甚大なものであるが、レジャーの需要が消滅することはないため、取りまとめた各市場のトレンドはアフターコロナにあっても有効であると考えている。

2.注目トピック

成長する高額消費レジャー、こだわり消費・コト消費が鍵に

 低価格一辺倒によるデフレ傾向が長らく続いていたが、現在は、引き続き安売りによる薄利多売を志向する動きと、付加価値を高めて質で勝負しようという動きに分かれる。高付加価値商品・サービスが注目を集める背景には、景気の回復傾向が強まって消費者の購買意欲が高まってきていることに加え、単に安いだけでは顧客に訴求できなくなってきているという、低価格戦略の手詰まり感がある。


 特に観光産業においては高付加価値商品・サービスのラインナップが増加傾向にあり、主なターゲット層が若者世代やニューファミリー層からシニア層に移行してきたことにより、安さより品質を求める傾向が強まっている。国土交通省の発表によると、2018年のクルーズ参加人口は32万1,000人。過去最高の水準を更新している。日本船の場合、最低でも1人1泊当たり4万~5万円、世界一周クルーズなどでは400万円台などと非常に高額となるが、発売されたツアーはほぼ完売している。また、JR九州が2013年から運行を開始した豪華寝台列車「ななつ星in九州」は、1人当たりの料金は安くても35万円以上からと高額だが(旅程、客室によって金額は異なる)、抽選倍率は高倍率で、平均で20倍以上での推移が続いている。ななつ星の成功により、JR東日本や西日本などでもクルーズトレインに参入しており、いずれも申し込みは高倍率となっている。


 若年層や子育て世代に比べればお金と時間のあるシニア層では、「価値のあるものであればある程度の消費は惜しまない」という旺盛な消費マインドを持つ場合が散見されるが、その対象はモノを購入して所有する行為よりも、前述のクルーズや豪華寝台列車のような「体験」を重視する傾向が強くなっている。コロナ禍によってシニア層の消費が一時的に停滞する可能性は高いが、中長期的にはレジャー関連市場における同層の重要性の高さに変化はない。

調査要綱

1.調査期間: 2019年12月~2020年2月
2.調査対象: 国内のレジャー関連産業、運営事業者
3.調査方法: 文献調査ならびに当社専門研究員による直接面談調査

<レジャー関連市場とは>

本調査では、以下のレジャー関連91市場を対象とした。


旅行市場(旅行業者、旅行サイト)、旅客輸送市場(航空、鉄道、高速バス、観光・貸切バス、クルーズ、フェリー・旅客航路、レンタカー)、リゾートホテル・観光旅館、会員制リゾートクラブ、その他の宿泊施設[公営宿泊施設、民宿・ペンション、ユースホステル、カプセルホテル・ゲストハウス、民泊]、リゾートマンション・別荘、テーマパーク・遊園地、その他のレジャーパーク(ウォーターパーク、ファームパーク・観光農園、フラワーパーク・植物園、インドアプレイグラウンド)、ミュージアム(博物館・美術館・ミュージアム、動物園・水族館、フードテーマパーク)、温浴施設、スポーツ観戦・スポーツイベント、博覧会・文化イベント、家庭用・コンシューマゲーム、アミューズメント施設・業務用ゲーム、パチンコ市場、カラオケ市場、公営ギャンブル市場(中央競馬、地方競馬、競輪、ボートレース、オートレース、宝くじ、スポーツ振興くじ[toto])、ゴルフ場、スキー場、フィットネスクラブ・スポーツクラブ、その他のスポーツ施設(ボウリング場、テニスクラブ、フットサルコート、ビリヤード場、バッティングセンター、クライミングジム)、スポーツ用品市場(ゴルフ用品、スキー・スノーボード用品、テニス用品、野球・ソフトボール用品、サッカー・フットサル用品、アスレチックウエア、スポーツシューズ)、アウトドアスポーツ市場(登山・トレッキング、トレイルランニング、オートキャンプ場、ウォーキング、カヌー・カヤック、アドベンチャーパーク)、RV・SUV・ミニバン、マリンスポーツ市場(ヨット・モーターボート、サーフィン・ウインドサーフィン、水上オートバイ、スキューバダイビング・スキンダイビング)、釣り市場、モータースポーツ、自動二輪車市場 、スポーツ自転車、ランニング、その他のスポーツ市場(ダンス・バレエ、卓球、バドミントン、スケート、ヨガ、ダーツ、スカイスポーツ、ニュースポーツ)、映画市場 、劇場・ホール・興行、チケット流通市場、映像ソフト・配信市場、音楽ソフト・配信市場、放送市場、習い事教室市場、ガーデニング・家庭菜園市場、都市ホテル、ブライダル市場、外食産業(ファストフード、ファミリーレストラン、その他)

<市場に含まれる商品・サービス>

同上

出典資料について

資料名
発刊日
2020年03月11日
体裁
B5 989ページ
価格(税込)
132,000円 (本体価格 120,000円)

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