2021年の住宅リフォーム市場規模は前年比5.7%増の6.9兆円に
1.市場概況
2021年(1~12月計)の住宅リフォーム市場規模は6兆9,011億円(速報値)、前年比で5.7%増と推計する。2020年から新型コロナウイルスの感染拡大に伴う緊急事態宣言やまん延防止等重点措置が度々発出されるなど、外出自粛がある意味「通常生活」となるなかで、2020年秋口以降のリフォーム関連支出が増加し、市場が拡大した。「withコロナ」のなかで家族との時間の充実を図ったり、テレワークなど在宅勤務への対応によりコロナ禍前と比べると在宅時間の長時間化に伴う「住環境」に対する関心の高まりが、リフォームをはじめとする住宅・住環境関連への再投資に寄与したことが市場拡大の要因と考えられる。
分野別にみると、2020年(1~12月計)と比較して「設備修繕・維持関連」分野が前年比8.6%増と大きく伸長した。一方、「家具・インテリア等」分野は昨年の大幅増の反動からか同8.3%減となった。また、「増改築工事(10㎡超+10㎡以下)」分野は同2.7%減であった。
2.注目トピック
2021年第4四半期の住宅リフォーム市場規模は前年同期比9.7%減の約1.9兆円
2021年第4四半期(10~12月)の住宅リフォーム市場規模は1兆9,009億円(速報値)、前年同期比で9.7%減と推計する。
2020年同期が過去20年で最も高い水準で推移していたことを考慮すると10%近い減少幅は致し方がないところである。2020年秋口からの好調な勢いはやや鈍化しているが、それでも、過去10年の第4四半期の市場規模を上回る水準であることから、引き続き好調を維持していると考えられる。
3.将来展望
2022年の住宅リフォーム市場規模は、約6.5~7.0兆円で推移するものと予測する。
コロナ禍が落ち着いた2021年10~11月はリフォーム関連支出が低迷した。その主な理由としては、リフォーム以外の支出(レジャー・旅行・飲食等)が増えたことが考えられる。
そのようなことを踏まえると、2022年が前年よりも感染状況が落ち着きを見せた場合、2022年の住宅リフォーム市場はボトムの6.5兆円で着地するものと予測する。
一方、プラス要因としては、団塊ジュニア世代の持ち家がリフォーム適齢期・需要期に差し掛かり、設備交換を中心とした住宅リフォームがベース需要として増加するものと予測すると、市場は6.5兆円からさらに拡大する可能性を秘めている。さらに、建材費・工事費の上昇も市場規模にはプラス要因として寄与するが、住宅リフォーム需要を鈍らせる要因ともなりかねないため、その動向には注意を要する。
調査要綱
2.調査対象: 各種統計データ及び住宅リフォーム事業者
3.調査方法: 当社専門研究員による市場規模算出、及び文献調査
<住宅リフォーム市場とは>
本調査における住宅リフォーム市場とは、「10㎡超の増改築工事」・「10㎡以下の増改築工事」・「設備修繕・維持関連」・「家具・インテリア等」の4分野を指す。
なお、市場規模は国土交通省「建築着工統計」、総務省「家計調査年報」、総務省「住民基本台帳」、国立社会保障・人口問題研究所「日本の世帯数の将来推計(全国推計)」を基に推計した。
<市場に含まれる商品・サービス>
住宅の躯体・設備等の修理・修繕・改装に関わる工事等
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