2021年の国内印刷通販市場規模は前年比102.3%の1,237億円、2022年は同108.3%の1,340億円の見込
~一般印刷市場全体は低迷するも印刷通販市場は継続伸長~
調査結果概要
2021年の国内印刷通販市場規模は前年比102.3%の1,237億円であった。DX(デジタルトランスフォーメーション)化の浸透と共に好調に推移する国内の印刷通販市場は、縮小基調の一般印刷市場を支えている。
日本では90年代後半に初めて印刷通販サイトが誕生し、インターネット環境が劇的に進化した2000年以降に本格的に市場が形成された。以降、印刷通販事業者各社が積極的にTVCMを打ち出したこともあり、印刷通販の認知は格段に上がり市場も拡大基調にある。印刷通販は従来の業務プロセスを簡素化させただけでなく、データ作成時に仕上がりイメージを確認できるプレビュー機能を実装したことで印刷トラブルの削減にも貢献した。これにより、名刺や封筒など印刷面積の小さい物に限られていた取扱い品目も、うちわやポスターなどにまで拡大することとなった。加えて少量発注に対応する事業者が出てきたことで、個人事業者の需要も取り込むようになった。
印刷通販を手掛けるウェブサイトは多数存在するが、同市場は上位企業3社が市場の半分以上を占める寡占化が続く。昨今は様々なユーザーがウェブサイトを利用するため、納品物の品質や納期に加え、ウェブサイトの使いやすさや入稿後の調整作業などのアフターフォローなど、様々な角度でサービス向上が図られている。特にコロナ禍では、少量発注での都度印刷や納品先の指定、即日配達など、印刷通販だからこそできる柔軟な対応が奏功し、一般印刷市場において印刷通販は堅調である。
法人企業の販促用途が大部分を占めるため、コロナ禍では成長率こそ鈍化した印刷通販市場だが、今後は法人企業各社の販促需要の回復が期待される。加えて様々な産業で進む更なるDX化も追い風となり、同市場は引き続き好調に推移するとみる。
※調査要綱
調査期間:2022年10月~12月
調査対象:印刷通販事業者等
調査方法:当社専門研究員による直接面談(オンライン含む)、電話・e-mail等によるヒアリング調査および文献調査併用
<印刷通販とは>
本調査における印刷通販とは、下記の印刷通販サイトを運営する事業者が形成する市場を指す。
・購入価格をウェブ上に明示している
・商品の発注をインターネットを介して実施できる(入稿方法は必ずしもオンライン入稿を問わない)
・自社サイトとして独立運営している
※「同人誌」、「名入れ」に特化したサイトだけを運営する専門事業者および、「年賀状」等、特定時期のみにサイトを開設する専門事業者は含まない。
なお上記品目を販売品目の一つとして扱う事業者は対象とする。
お問い合わせ先
本資料における著作権やその他本資料にかかる一切の権利は、株式会社矢野経済研究所に帰属します。
報道目的以外での引用・転載については上記広報チームまでお問い合わせください。
利用目的によっては事前に文章内容を確認させていただく場合がございます。