物販系分野の BtoC-EC市場規模は伸長率が鈍化傾向も、市場の成長が続く
~2022年の国内インターネット通販市場規模(物販系分野)は13兆9,997億円(前年比105.4%)※経済産業省データ~
1.調査結果概要
経済産業省による「令和4年度電子商取引に関する市場調査」※によると、2022年の物販系・サービス系・デジタル系分野を含むBtoC-EC市場規模は、22兆7,449億円(前年比109.9%)となっている。このうち物販系分野は13兆9,997億円(同105.4%)であった。同年のEC化率が9.13%(同0.35ポイント増)となった物販系分野では、コロナ禍を契機に消費者の間でEC利用が一層進んだことなどを要因に市場規模が拡大を続ける一方、対前年での伸長率は鈍化しつつある。
インターネット通販(EC)市場をけん引するのは、例年同様アマゾンジャパンとなっており、2022年度の売上高は3兆円の大台を超え、対前年度での伸長率としても2桁成長を維持している。また、食品のサブスクリプションサービスやネットスーパーを展開する企業のインターネット通販売上高も好調に推移している。経済産業省のデータ※では、「食品、飲料、酒類」のEC化率は、2022年で4.16%(前年比0.39ポイント増)と他物販分野と比較すると低い数値である。しかし、同カテゴリーの2022年BtoC-EC 市場規模は2兆7,505億円(同109.2%)と伸長を続けており、物販系分野ではトップの市場規模となっている。ECにおける食品カテゴリーは、ネットスーパーを中心に拡大を続けており、依然としてポテンシャルがあるカテゴリーと考える。さらに利用が進むことが期待でき、今後も成長を続けるカテゴリーと言える。
※出典:経済産業省「令和4年度電子商取引に関する市場調査」
2.注目トピック
ラストワンマイル物流の強化策、物流企業間の協業が進む
ラストワンマイルは、店舗または物流センターといった拠点から、消費者の自宅等の宅配場所までの最後の物流区間を指す。ラストワンマイルの物流サービスにおいて、EC市場参入各社は送料無料や当日配送等のサービスにより他社と差別化を図り事業に取り組む。また、より利用者に近い場所に配送拠点を置くことでラストワンマイルの距離を縮めてサービスを強化する動きがある。一方で、ラストワンマイルには課題もあり、CO2排出量の増加やドライバーの人手不足の深刻化などの再配達に関する問題や、それに伴う人件費の高騰、ドライバーの高齢化、労働環境の問題など、物流業者はこれらの問題により従来の高品質なサービスの維持、提供が厳しい状況となっている。また、消費者庁では物流の「2024年問題」を契機に物流業界の負担軽減のため、EC事業者に「送料無料」表示の見直しを求めるなどの動きもある。年々、宅配便取扱個数は上昇し、かつコロナ禍によりECの利用増加やライフスタイルの変化・多様化に伴い、消費者は自らのライフスタイルに合わせ好きな時間にサービスやモノを受け取れることを望むようになった。課題解決のために、更なる宅配ボックス設置の普及、コンビニや駅などでの受け取り型サービスやロッカー設置の普及、置き配の取り組み強化、またドローンや宅配ロボットによる配達など新たな試みが強化されつつある。2022年10月には、国土交通省が貨物軽自動車運送事業において、従来の軽貨物車に加え軽自動車による貨物運送を解禁する動きもあった。
ドライバー不足や「2024年問題」などの物流業界の課題がのしかかる中、人員や場所など経営資源の有効活用という観点から、物流企業同士が協業という形で、より良い物流サービスを推進していく動きを強化している。これまでに日本郵便と佐川急便、日本郵政グループとヤマトグループが協業関係となっている。今後、このような協業により、特に大手物流企業の宅配事業におけるポジショニングはどうなっていくのか注視していく必要がある。
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【ショートレポートに掲載されているオリジナル情報】BCパターン
拡大を続ける食品サブスクリプションサービス
フードデリバリーから「クイックコマース」へ業容拡大、実質のサービス終了も相次ぐ
調査要綱
2.調査対象: 通信販売事業関連企業
3.調査方法: 当社専門研究員による直接面接(オンライン含む)及び電話によるヒアリング、文献調査併用
<インターネット通販市場とは>
本調査におけるインターネット通販市場とは、インターネットをチャネルとする消費者向け(BtoC)の電子商取引(E-Commerce)をさし、主に物販、サービス、デジタルの3分野を対象とする。
<市場に含まれる商品・サービス>
【物販】①総合小売(通販、カタログ、TV・百貨店・GMS・CVS) ②家電・パソコン・関連商品 ③書籍、映像・音楽製品 ④食品、飲料・酒類、健康食品 ⑤医薬品、化粧品 ⑥ 家具・インテリア、雑貨、日用品 ⑦衣類・服飾雑貨等 ⑧スポーツ用品 ⑨自動車・二輪車、パーツ等 【サービス】⑩宿泊・旅行サービス、交通機関 ⑪飲食関連サービス ⑫興行チケット予約 ⑬金融サービス(ネット銀行・ネット証券) ⑭ネット専業生命保険 ⑮理美容関連サービス ⑯フードデリバリーサービス 【デジタル】⑰電子出版(書籍・雑誌) ⑱有料音楽配信 ⑲有料動画配信 ⑳オンラインゲーム
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