2023年度のリネンサプライ市場規模は前年度比108.5%の4,551億円
~市場は2024年度以降もプラスで推移するが、伸び率は徐々に鈍化を予測~
1.市場概況
リネンサプライとは、ホテルなどの宿泊施設や病院、レストラン・飲食店・アミューズメント施設などの店舗、企業や工場等にリネン類をレンタルするサービスである。2023年度の国内リネンサプライ市場規模(事業者売上高ベース)は、前年度比108.5%の4,551億円と3年度連続の回復となった。
コロナ禍による行動制限は2022年度から徐々に緩和され、2023年5月には感染症法上の位置づけが5類に移行した。特に、インバウンド(訪日外国人客)需要が戻ったことによる観光業の急速な回復があり、リネンサプライ業界ではホテルリネンを中心に好影響を大きく受けている。リネンサプライ市場のプラス要因は、ホテルや旅館等、宿泊施設向けのリネン類の需要回復に因るところが大きい。
2.注目トピック
経済の回復に伴うリネンサプライ業界の動き
コロナ禍による行動制限は2022年度から徐々に緩和され、人流が活発化し、多くの地域における個人消費の増加やインバウンド需要の回復が進んだ。
経済回復に伴い、リネンサプライ業界においては、ホテルリネン分野が好調に推移している。エリアごとに差はあるが、宿泊・観光施設ではインバウンド需要のほか、これまでコロナ禍で控えていた国内旅行需要が回復し、県内・近郊からの利用者も戻っており、安定した稼働が続いている。一方で、人手不足等によって施設のフル稼働ができない企業も多い。あえてフル稼働せず、高品質を維持した接客・サービスを提供するホテルや旅館も存在するが、インバウンドの恩恵をいかに取りこぼさずに対応できるかはホテルリネン市場にとって重要である。
同様にフードリネン(レストラン・飲食店向け)や交通リネン(新幹線・特急列車・船舶・航空機向け)といった需要分野も回復の兆しをみせている。ただし、人手不足や物価高、円安の影響などを受けており、これらの分野はホテルリネンほど十分に回復しているとは言えない状況である。
3.将来展望
2024年度の国内リネンサプライ市場規模は前年度比104.6%の4,760億円とプラスで推移すると予測する。好調なホテルリネン市場は2024年度にコロナ禍前の2019年度水準を越える予測で、引き続きリネンサプライ市場をけん引する見通しである。これは、インバウンド需要や宿泊費値上げによる受託単価アップなどの影響によるものが大きい。
その他需要分野をみると、微増していく分野と減少傾向にある分野に分かれていく見込みで、特にダイアパー、貸おしぼり、ダストコントロールはプラス要素に乏しく、減少傾向で推移していくと予測する。
それでも、好調なホテルリネン市場が他分野のマイナス分をカバーし、リネンサプライ全体市場としてはプラスで推移していく見通しである。2025年度の国内リネンサプライ市場も同102.9%の4,900億円(予測)とプラス推移するものの伸び率は鈍化していき、以降は微増から横ばい推移になる可能性がある。
オリジナル情報が掲載された ショートレポート を1,000円でご利用いただけます!
【ショートレポートに掲載されているオリジナル情報】Aパターン
サービスリネン市場の動向
調査要綱
2.調査対象: 国内有力リネンサプライヤー、リネン品及びリネンサプライ用機器卸・メー カー等
3.調査方法: 当社専門研究員による直接面談(オンライン含む)、eメール・電話による取材、郵送アンケート調査、ならびに文献調査併用
<リネンサプライ市場とは>
本調査におけるリネンサプライ市場とは、事業所(会社、店舗、工場)等にリネン類をクリーニング付きでレンタルするサービスを指し、サービス事業者の売上高ベースで市場規模を推計した。
主な需要分野としては、①ホテルリネン(ホテルや旅館等、宿泊施設向けのリネン類)、②病院リネン(病院・診療所・介護施設の寝具等)、③フードリネン(レストラン・飲食店のリネン類とユニフォーム等)、④サービスリネン(サウナやスーパー銭湯、エステティックサロン、フィットネスクラブ等のタオル類やユニフォーム等)、⑤産業リネン(工場・事業所ユニフォーム等)、⑥交通リネン(主に新幹線や特急列車の座席カバー、および寝台車・船舶・航空機におけるシーツ類、ピローケース、カーテン類を含む)、⑦ダイアパー(子供用、大人用を含む布おむつ)、⑧貸おしぼり(飲食店やスポーツ施設[ゴルフ練習場、ゴルフ場等]、アミューズメント施設[カラオケ店、パチンコ店、ボーリング場等]で利用される貸しおしぼり)、⑨ダストコントロール(一般家庭向けのモップ等の掃除用具レンタル、および事業所向けのマットやキャビネットタオル等のレンタル用商材)の9分野を対象としている。
<市場に含まれる商品・サービス>
ホテルリネン、病院リネン、フードリネン、サービスリネン、産業リネン、交通リネン、ダイアパー、貸おしぼり、ダストコントロール
出典資料について
お問い合わせ先
本資料における著作権やその他本資料にかかる一切の権利は、株式会社矢野経済研究所に帰属します。
報道目的以外での引用・転載については上記広報チームまでお問い合わせください。
利用目的によっては事前に文章内容を確認させていただく場合がございます。