プレスリリース
No.3630
2024/10/01
国内インポートブランド市場に関する調査を実施(2024年)

2023年の国内インポートブランド小売市場は前年比30.1%増と大幅成長、急激な円安を背景にインバウンド需要の拡大が寄与
~2024年は今後の富裕層の需要動向を見定める指標になる可能性も~

株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、国内におけるインポートブランド市場を調査し、現況、ブランド動向、将来展望を明らかにした。

国内インポートブランド(主要15アイテム)小売市場規模推移
国内インポートブランド(主要15アイテム)小売市場規模推移

1.市場概況

2023年の国内インポートブランド(主要15アイテム分野)の小売市場規模は、前年比30.1%増の3兆7,599億円と推計した。2023年の市場拡大の要因としては、株高を背景とした国内富裕層の消費拡大、新型コロナウイルスの5類感染症への移行後のコト消費(体験型消費)の復活に伴う新調・買い替え需要の発生、円安によるインバウンド(訪日外国人客)需要の復調と拡大が大きく寄与しているものと考える。

一方で、コロナ禍でより深刻化した原材料や人件費の高騰、輸送コストの高騰に加え、急激に進んだ円安の影響による商品の値上げは2023年も継続した。ここ数年、ブランド各社が度重なる値上げを行っても、需要は減退することがなく、むしろ値上げ分が市場規模を押し上げる要因となっていたものの、頻繁な値上げの継続が長期化したことにより、昨今では若年層や中間層の消費需要に抑制傾向がみられる。大幅な拡大基調にあるインポートブランド市場は、より一層、富裕層とインバウンド需要主体の市場へと移行している。

2.注目トピック

業績を大幅に伸ばすブランドと低迷から抜け出せないブランドにおける明暗も

コロナ禍後、経済や社会活動が回復するなか、2023年は国内富裕層の消費が引き続き活発だった上に、インバウンド需要も加わったことで大きく業績を伸ばしたブランドが大半だった。尚、インバウンド需要については、円安を追い風に、ブランド各社はコロナ禍前の2019年以上の業績になっており、有力ブランドに至ってはその影響が顕著である。



2023年は、業績が伸びたブランドにおいても、その内訳は値上げの影響とインバウンド需要によるもので、日本人需要は2022年の実績には至らなかったというブランドも散見され、その傾向は2024年も継続している。2023年は、国内外からの人気を背景に業績を大幅に伸ばしたブランドと、コロナ禍の低迷から抜け出せないブランドにおいて明暗が分かれた。

ブランド各社は、旺盛なインバウンド需要を好要因としながらも、一方ではインバウンド需要に依存しすぎることで、国内富裕層を中心とする国内優良顧客層へのサービスや対応に少なからず悪影響がでることも懸念している。どのブランドにおいても、国内優良顧客をいかに維持し、深耕していくのかが課題になっている。

3.将来展望

2024年はインバウンド需要の勢いが2023年を遥かに上回る状況となっている。商品価格の値上げにより、国内の一般消費者需要は鈍化傾向であるものの、マーケットを支える富裕層による消費は相変わらず好調である。年間でみた場合、株価の動向次第では、年後半に富裕層の消費が鈍ることも懸念材料としてはあるものの、既に年前半において富裕層の旺盛な消費活動やインバウンド需要により有力ブランドが好業績であることを鑑みると、2024年の国内インポートブランド(主要15アイテム分野)の小売市場規模は、前年比17.4%増の4兆4,142億円を予測する。

ブランド品に対するインバウンド需要については、ある程度の変動はあるものの、中長期的にみると、現在の規模が維持されるのではないかと考える。一方で、国内富裕層の消費は国内に留まらず、海外に向かう、もしくはブランド品以外の消費に向かうという可能性も十分に想定される。コロナ禍を経て、国内消費の活発化や高額商品に対する積極的な消費行動など、変化のみられる富裕層のブランド品需要が継続的なものかどうかについては、その影響が薄れつつある2024年こそが、今後の富裕層の需要動向を見定める上で、重要な指標になるものと考える。

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    調査要綱

    1.調査期間: 2024年5月~8月
    2.調査対象: 欧州、米国の衣料品・服飾雑貨、ウォッチ、ジュエリー、クリスタル製品・陶磁器、アイウェア、筆記具ブランドを輸入販売する商社、メーカー、小売事業者、また各インポートブランドの日本法人等
    3.調査方法: 当社専門研究員による直接面談(オンライン含む)、電話によるヒアリング調査、ならびに文献調査併用

    <インポートブランド市場とは>

    本調査におけるインポートブランド市場とは、従来から算出していたインポートブランド市場規模(主要10アイテム分野)に5アイテムを追加し、主要15アイテム分野とした。
    主要15アイテム分野とは、①「レディスウェア」、②「メンズウェア」、③「ベビーウェア」、④「バッグ・革小物」、⑤「シューズ」、⑥「ネクタイ」、⑦「スカーフ・ショール・ハンカチ類」、⑧「レザーウェア」、⑨「ベルト」、⑩「手袋」、⑪「ウォッチ」、⑫「ジュエリー」、⑬「クリスタル製品・陶磁器類」、⑭「アイウェア」、⑮「筆記具」である。尚、いずれも欧州、及び米国からの輸入品を対象とする。

    <市場に含まれる商品・サービス>

    レディスウェア、メンズウェア、ベビーウェア、バッグ・革小物、シューズ、ネクタイ、スカーフ・ショール・ハンカチ類、レザーウェア、ベルト、手袋、ウォッチ、ジュエリー、クリスタル製品・陶磁器類、アイウェア、筆記具

    出典資料について

    資料名
    発刊日
    2024年08月29日
    体裁
    B5 744ページ
    価格(税込)
    165,000円 (本体価格 150,000円)

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    マーケティング本部 広報チーム
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