2023年度のBPO市場規模は前年度比3.9%増の4兆8,849億円、2024年度もプラス成長を予測
~DX推進ニーズの拡大継続。業務のデジタルシフト、データドリブン経営の高まりに合わせて生成AI活用サービスに取り組む動きが始動~
1.市場概況
2023年度のBPOサービス全体(IT系BPOと非IT系BPOの合算値)の市場規模は、事業者売上高ベースで前年度比3.9%増の4兆8,849億2,000万円と推計した。内訳は、IT系BPO市場規模が同5.9%増の2兆9,470億円、非IT系BPO市場規模が同1.0%増の1兆9,379億2,000万円であった。
マーケットを巡っては近年、DX(業務自動化を中心としたデジタル技術による業務変革)に取り組む企業が増加基調で推移しており、自社内リソースの再構築(コア業務や新たな業態開発への経営資源の重点投下や、それに合わせた人的リソースの再配置など)を加速させている。
再構築に伴い、発注企業では自社の事業リソースで不足したノンコア業務を中心に外部のリソースを活用する事例が増えている。加えて単体のBPOサービスだけでなく、抜本的な事業体制の見直しに不可欠な戦略立案などのコア業務やコンサルティング業務までを一気通貫で外部事業リソースを活用する機運が高まっていることなどを背景に、BPOサービス全体が拡大基調で推移している。
また、新型コロナウイルス関連業務の委託実績を通じて、官公庁・自治体においてアウトソース機運が高まっていることもマーケット拡大にプラスに働いている。
2.注目トピック
人材不足を補う業務のデジタルシフトが進展、多くのBPO事業者で「デジタルBPO」の需要取り込みが加速
多くのBPO事業者は、人を介した業務とデジタル技術を活用した業務を融合させて提供するBPOサービスである、デジタルBPOを提供するようになっている。
特に、グローバルな事業展開をする日系企業において、グローバルなコスト競争力の更なる向上に向けた抜本的な業務プロセスの改善を目的として、デジタルBPOに対する需要が高まりを見せている。
デジタルBPOは人材不足を補う役割を果たすとともに、BPO業務の効率化・迅速化・省力化・サービス品質の向上を実現しており、BPO事業者が請け負う業務領域の拡大につながるなどBPO市場の拡大を強力に牽引するドライバーの役割を果たしていくと考える。
3.将来展望
2024年度は安価なクラウド基盤システムの普及に合わせて、BPOサービス利用企業が中堅・中小企業に広がりを見せている。加えて、これまで未開拓の需要先であった官公庁の取り込みが加速していること、2022年末より本格的に始動した生成AIを活用したサービスの実用化が急速に進展していく方向にあることから、市場は今後も拡大基調で推移する見込みである。
2024年度のBPOサービス全体の市場規模は、事業者売上高ベースで前年度比4.2%増の5兆914億4,000万円、内訳ではIT系BPO市場規模が同6.0%増の3兆1,240億円、非IT系BPO市場規模が同1.5%増の1兆9,674億4,000万円といずれも引き続きのプラス成長を予測する。
オリジナル情報が掲載された ショートレポート を1,000円でご利用いただけます!
【ショートレポートに掲載されているオリジナル情報】Aパターン
コア部門単純業務BPO市場
データ分析BPO市場
調査要綱
2.調査対象: IT系BPO事業者、印刷系BPO事業者、コールセンター系BPO事業者、事務系BPO事業者等
3.調査方法: 当社専門研究員による直接面談(オンライン含む)、電話・eメールによるヒアリング調査、ならびに文献調査併用
<BPO市場とは>
本調査におけるBPO(ビジネスプロセスアウトソーシング)とは、通常企業内部にて行われるシステム運用管理業務、コールセンター系業務(コンタクトセンター、ヘルプデスク、フルフィルメント)、間接部門系業務(人事、福利厚生、総務、経理)、直接部門系業務(購買・調達、営業、コア部門単純業務、業界固有業務)などの業務を発注企業から業務委託を受けて代行するサービスを指す。
ただし、従来から外部に委託することが一般的な税務、物流、情報システム開発、ビルメンテナンスなどの専門的な事業所向けサービスに関しては対象外とする。
また、BPOのうち、IT系BPOとは発注企業からシステム運用管理業務を委託され代行するサービスとし、非IT系BPOとはその他の業務を委託され代行するサービスとする。
<市場に含まれる商品・サービス>
コンタクトセンター、ヘルプデスク、フルフィルメント、人事代行、福利厚生代行、総務代行、経理代行、購買・調達代行、営業代行、コア部門単純業務代行、業界固有業務代行等
出典資料について
お問い合わせ先
本資料における著作権やその他本資料にかかる一切の権利は、株式会社矢野経済研究所に帰属します。
報道目的以外での引用・転載については上記広報チームまでお問い合わせください。
利用目的によっては事前に文章内容を確認させていただく場合がございます。