プレスリリース
No.3678
2024/11/21
国内企業のIT投資に関する調査を実施(2024年)

2023年度の国内民間企業のIT市場規模は前年度比6.3%増の15兆500億円
~2024年度は攻めのDXへデータ利活用が進み、同5.6%増と予測~

株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、2024年度の国内民間企業のIT投資実態と今後の動向について調査を実施した。

国内民間IT市場規模推移・予測
国内民間IT市場規模推移・予測
レガシーシステムを刷新した/刷新を検討している企業に対するDXレポートの影響
レガシーシステムを刷新した/刷新を検討している企業に対するDXレポートの影響

1.市場概況

2023年度の国内民間IT市場(ハード・ソフト・サービス含む、公共分野や民間小規模事業者除く)は、IT投資額ベースで前年度比6.3%増の15兆500億円と推計した。
市場拡大の背景としては、基幹システムやサーバーのリプレイス、オンプレミスからクラウドへの移行、電子帳簿保存法やインボイス制度など法改正へのシステム対応、そしてデジタル化の推進といった多岐にわたる要因が、引き続き挙げられる。
特に大手企業においては、企業の競争力向上を目指し、基幹システムのリプレイスやクラウド移行に伴うITコンサルティングへの支出が活発化しており、これらへの支出も市場の成長につながった。

2.注目トピック

「DXレポート」の影響は限定的 ~ 47.6%がレガシーシステムの刷新に "無関係" と回答

本調査では国内の民間企業等に対し、IT投資に関する法人アンケート調査を毎年実施しており、2024年調査では453社から回答を得た。

経済産業省が2018年に「DXレポート」※で指摘した「2025年の崖」が迫っている。これは、レガシーシステムを使い続けることで、2025年以降に年間で最大12兆円の経済損失が生じる可能性があるという問題である。このDXレポートによって、デジタルトランスフォーメーション(DX)の必要性を認識する企業が出てきたとされている。

今回の法人アンケートでは、事前の設問でレガシーシステムを「刷新した(刷新中を含む)」「刷新を検討している」「刷新を検討したが進まなかった」と回答した296社を対象に、刷新の検討にあたってDXレポートが与えた影響について尋ねた。
回答では、「大きく影響した」が4.4%、「やや影響した」は26.7%であり、合わせて約3割の企業がDXレポートを意識して刷新を進めていることが明らかとなった。
一方で、「ほぼ無関係」と回答した企業が36.1%、「一切関係ない」が11.5%と、合わせて47.6%の企業では、DXレポートの影響をあまり感じていないという回答結果となった。
DXレポートは「DX」という言葉を広め、DXの必要性を認識する企業が出てきたとされている。しかし、アンケート調査結果からでは、レガシーシステムの刷新において、その影響力は限定的だったと言える。

​※経済産業省「DXレポート ~ITシステム「2025年の崖」の克服とDXの本格的な展開~」(2018年9月)

3.将来展望

国内民間企業のIT市場規模は、今後、2024年度は前年度比5.6%増の15兆8,900億円、2025年度は同5.0%増の16兆6,800億円、2026年度は同2.5%増の17兆1,000億円と予測する。

2024年度も基幹システムやサーバーのリプレイス、クラウドへの移行といった案件が活発な状況が続いている。特に大企業においては、新規ビジネス展開を目指す革新的な取り組みとしての「攻めのDX」が実践の段階に入り、データの一元化やAIの導入など、データ利活用に向けた支出が増加している。
また、円安やIT人材不足といった外部要因も、IT投資支出を押し上げる一因となっている。さらに、近年頻発する自然災害に対応するため、事業継続計画(BCP)の見直しも進められている。
​2025年度以降は、2025年10月にWindows 10のサポートが終了するため、2025年度から2026年度にかけてPCリプレイス需要が急増し、ハードウェアに対する支出の増加が見込まれる。さらに、AIやアナリティクスといった新たなテクノロジーに対する需要も高まり、新規ビジネス展開を目的としたIT投資が拡大し、国内民間IT市場は順調に推移する見通しである。

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    調査要綱

    1.調査期間: 2024年6月~10月
    2.調査対象: 国内の民間企業等
    3.調査方法: 民間企業に対するアンケート調査、ならびに文献調査併用

    <国内民間IT市場とは>

    本調査における国内民間IT市場とは、国内の民間企業のハードウェア、ソフトウェア、保守関連や運用管理・アウトソーシング等のサービス、ASP・クラウド等のオンライン・サービス他を対象として、IT投資額ベースにて算出した。公共分野(官公庁や自治体)や民間小規模事業者によるIT投資を対象としない。

    また、同時に下記の要領で、民間企業に対しIT投資に関するアンケート調査を実施し、IT投資実態と今後の動向について、明らかにした。
    ※アンケート調査期間:2024年6月~8月、調査対象:国内民間企業等453件、調査方法:質問票送付は郵送及びeメール、回答は郵送及びオンラインを併用した。

    <市場に含まれる商品・サービス>

    国内民間企業のIT投資(ハードウェア、スクラッチ開発とパッケージ導入【カスタマイズを含む】等のソフトウェア、保守関連や運用管理・アウトソーシング等のサービス、ASP・クラウド等のオンライン・サービス、回線利用料、その他コンサルティングなど)

    出典資料について

    資料名
    発刊日
    2024年10月31日
    体裁
    A4 247ページ
    価格(税込)
    220,000円 (本体価格 200,000円)

    お問い合わせ先

    部署
    マーケティング本部 広報チーム
    住所
    〒164-8620 東京都中野区本町2-46-2
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