プレスリリース
No.3697
2025/01/20
長期エネルギー貯蔵(LDES)世界市場に関する調査を実施(2024年)

2030年の長期エネルギー貯蔵(LDES)世界市場規模を220GWと予測
~再生可能エネルギーの導入拡大に伴い、長時間エネルギー貯蔵市場が拡大する見通し~

株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越 孝)は、2024年の長期エネルギー貯蔵(LDES)世界市場を調査し、主要国別及び主要エネルギー貯蔵別市場の動向、参入企業動向、将来展望を明らかにした。ここでは、2030年までのLDES世界市場規模予測について、公表する。

長期エネルギー貯蔵(LDES)の世界市場規模推移・予測
長期エネルギー貯蔵(LDES)の世界市場規模推移・予測

1.市場概況

2024年における長期エネルギー貯蔵(Long Duration Energy Storage、以下 LDES)世界市場は、メーカー出荷容量ベースで前年比179.8%の6,469.2MWを見込む。

世界各国では、地球温暖化が引き起こす異常気象に対処するため、カーボンニュートラル(脱炭素社会)への移行に向けた脱石炭化、脱原発化、及び再生可能エネルギー(以下 再エネ)の導入拡大に向けた取り組みが進んでいる。主要国においては、再エネ及びエネルギー貯蔵設備の実証試験が進み、商用導入に対する補助金や税制優遇など政府の支援制度強化を背景に、LDESの導入が増加している。
LDES技術別にみると、水素エネルギー貯蔵が最も高いシェアを占め、重力エネルギー貯蔵や圧縮式エネルギー貯蔵、レドックスフロー電池、ナトリウム硫黄電池が続く見込みである。

2.注目トピック

現在は4~6時間充放電用の設備導入がLDES市場の主流、将来は10時間以上の設備需要拡大を予測

再エネの導入拡大に伴い、短期的な調整機能だけでなく、日単位から季節をまたぐような長期間のエネルギー調整能力の重要性が一段と高まる見通しである。
長時間かつ大容量のエネルギーを貯蔵する技術としては、10時間以上の充放電が可能なレドックスフロー電池やナトリウム硫黄電池、水素エネルギー貯蔵といった電気化学式エネルギー貯蔵技術のほか、重力エネルギー貯蔵、圧縮空気や液化空気を利用した圧縮式エネルギー貯蔵技術などが、LDESの有望な選択肢として注目されている。
現在、LDES市場においては、4~6時間充放電用の設備導入が主流となっている。大規模な再エネ設備導入に伴い、将来は10時間以上の充放電用の設備需要が高まるものと予測する。

3.将来展望

2050年のカーボンニュートラル実現に向けて、世界の発電量に占める再エネの割合が上昇し、そのうち太陽光発電と風力発電が大部分を占めると試算されている。これは、エネルギー供給の大部分を再エネに依存する未来を示している。再エネの導入拡大に伴い、長時間エネルギーを貯蔵する技術の重要性が一段と高まる見込みである。
このような状況を背景として、LDES世界市場は2023年から2030年までのCAGR(年平均成長率)は80.0%となり、2030年の同世界市場規模は220,186.3MWまで成長すると予測する。

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Aパターン
  • セグメント別の動向
  •  水素エネルギー貯蔵市場
     重力エネルギー貯蔵市場
     圧縮式エネルギー貯蔵市場
     レドックスフロー電池市場
     ナトリウム硫黄電池市場
  • 注目トピックの追加情報
  •  技術完成度の高い水素エネルギー貯蔵の導入量がLDES市場拡大をけん引
     レドックスフロー電池の多様化が始まり、参入企業も急増傾向
  • 将来展望の追加情報

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    調査要綱

    1.調査期間: 2024年8月~11月
    2.調査対象: 日本及び海外の長期エネルギー貯蔵(LDES)関連メーカー
    3.調査方法: 当社専門研究員による直接面談(オンライン含む)、ならびに文献調査併用

    <長期エネルギー貯蔵(LDES)市場とは>

    長期エネルギー貯蔵(Long Duration Energy Storage)が注目され始めたのは近年のことで、現時点において世界的に共通する明確なデファクト・スタンダードは確立されていない。また、LDESの対象範囲に関しては解釈が分かれる場合がある。主要国の政策や支援策では、一般的に4~10時間以上の充放電が可能なエネルギー貯蔵技術がLDESとして認識されることが多い。

    ​本調査における長期エネルギー貯蔵市場は、10時間以上の充放電が可能なナトリウム硫黄電池、レドックスフロー電池、水素エネルギー貯蔵、圧縮式エネルギー貯蔵(圧縮空気エネルギー貯蔵、液化空気エネルギー貯蔵)、重力エネルギー貯蔵のエネルギー貯蔵技術を対象とし、LDES関連メーカー出荷容量ベースで算出した。
    なお、水素エネルギー貯蔵の2030年市場規模は、IEA資料に示された2030年の累計値を基に単年値を矢野経済研究所が算出した。​(Reference:IEA 2023 [Global Hydrogen Review 2023], [https://iea.blob.core.windows.net/assets/ecdfc3bb-d212-4a4c-9ff7-6ce5b1e19cef/GlobalHydrogenReview2023.pdf], License: [CC BY 4.0])

    <市場に含まれる商品・サービス>

    定置用蓄電池、レドックスフロー電池、ナトリウム硫黄電池、水素エネルギー貯蔵、圧縮式エネルギー貯蔵(圧縮空気エネルギー貯蔵、液化空気エネルギー貯蔵)、重力エネルギー貯蔵など

    出典資料について

    資料名
    発刊日
    2024年11月29日
    体裁
    A4 186ページ
    価格(税込)
    330,000円 (本体価格 300,000円)

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