2023年度の国内建設8大市場規模は、前年度比104.8%の24兆2,989億円
~工場、物流倉庫の底堅い需要に加え、建設費が高騰~
1.市場概況
2023年度における建設8大市場(住宅、店舗、オフィスビル、ホテル、工場、物流倉庫、学校、病院の8分野計)の市場規模は、工事費予定額ベースで24兆2,989億円(前年度比104.8%)となった。
コロナ禍で延期されていた工事の再開や建設需要の回復もあり、建設8大市場は拡大傾向で推移している。特に、物流倉庫や工場の建設需要は旺盛で市場拡大を牽引している。
一方、2021年頃から、建設資材価格や人件費の上昇など建設費の高騰が進行しており、計画当初の工事費を抑えるために建築物の床面積を縮小する動きや、建設事業自体の延期・中止といった事例が発生している。
2.注目トピック
建設費高騰への対応
2021年頃から、建設費が急激に高騰している。建設費高騰の主な要因としては、人件(労務)費や建設資材の上昇が挙げられる。
労務費高騰の要因の一つに、建設業界の人手不足といった課題が挙げられる。建設業界への就職者が減少している事から、建設業界全体で高齢化や労働者不足が進行し、その結果、建設業で働く人員の供給不足によって需要が高まり、労務費が高騰している。
また、建設資材価格の高騰の主な要因としては、ウッドショック※1や、アイアンショック※2などの影響が挙げられる。
※1 ウッドショック:コロナ禍以降の中国・アメリカを中心とした新築着工ラッシュによる木材需要の急拡大等により、木材需要が増加し木材価格が急騰したこと。
※2 アイアンショック:コロナ禍以降世界的な鉄鋼需要の急拡大等により、鉄鋼価格が急騰したこと。
3.将来展望
2024年度の建設8大市場(住宅、店舗、オフィスビル、ホテル、工場、物流倉庫、学校、病院の8分野計)の市場規模は、工事費予定額ベースで24兆5,618億円(前年度比101.1%)と見込む。物価上昇に伴う建築コスト高騰の影響を受けることで、市場規模は拡大の見込みである。
建設分野別にみると、都心におけるオフィスや商業施設などの大規模再開発や、物流倉庫や半導体工場などの建設需要は底堅く、堅調に推移する見込みの市場は存在する。
一方、人口減少による需要の縮小や、建設費高騰による建物規模の縮小、建築着工の見送りなどマイナスの影響も継続していく事が考えられるため、市場全体では縮小する見通しとなる。2030年度の建設8大市場は22兆4,889億円(2023年度比92.6%)と予測する。
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【ショートレポートに掲載されているオリジナル情報】Aパターン
【店舗市場】
【オフィスビル市場】
【ホテル市場】
【工場市場】
【物流倉庫市場】
【学校市場】
【病院市場】
調査要綱
2.調査対象: 建設における主要8分野(住宅、店舗、オフィスビル、ホテル、工場、物流倉庫、学校、病院)
3.調査方法: 当社専門研究員による各種文献、公開情報等の収集、及び独立行政法人統計センターによる国土交通省「建築着工統計」のオーダーメード集計データをもとに分析
<建設8大市場とは>
本調査における建設8大市場とは、建設分野の基幹産業である、①住宅、②店舗、③オフィスビル、④ホテル、⑤工場、⑥物流倉庫、⑦学校、⑧病院の8分野(市場)をさす。
各分野の定義については、国土交通省「建築着工統計」における建築用途分類をもとにしている。なお、いずれも新築に加え、増改築も対象とする。
市場規模は工事費予定額ベースで算出し、2022年度から2023年度の実績値は独立行政法人統計センターによる国土交通省「建築着工統計」のオーダーメード集計データより引用、これ以外は同データをもとにした矢野経済研究所推計値である。
<市場に含まれる商品・サービス>
住宅、店舗、オフィスビル、ホテル、工場、物流倉庫、学校、病院
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