2019年度の国内ホームセンター小売市場規模は前年度比100.1%の3 兆9,970 億円になると予測
~大型店の新規出店に加え、新規の店舗フォーマット開発などがけん引する見通し~
1.市場概況
一般社団法人日本ドゥ・イット・ユアセルフ協会(日本DIY協会)によると、国内ホームセンター小売市場規模は1970年代は倍増ペース、1980年代から1990年代にかけては年率10~20%の拡大を続けてきたが、2000年代以降1%台とそのペースは鈍化傾向となり、2006年度にはじめてマイナスとなった。
近年は2017年度が前年度比100.1%、2018年度も同100.1%と推移しており、ほぼ横ばいの状況が続いている。これは投資費用の高騰などにより新規出店ペースが抑制されていることや、インターネット通販や他小売業種のなど販路の多様化による競争激化により、既存店舗の売上停滞から脱却できていないことも要因である。
2018年度の国内ホームセンター小売市場規模は、前年度比100.1%の3兆9,930億円とほぼ横ばいながらもプラス成長となった。参入企業各社ともプロユーザー向けの商品開発の強化や、女性向けDIY用具・素材および若年層向けDIYの需要層開拓、開店時間の早朝設定など、建設事業者や一般顧客へのサービスを拡充したことが奏功し、「DIY用具・素材」分野は増加基調にある。コト消費といわれるようにDIYが体験できるような売り場作りが進められており、今後も「DIY用具・素材」分野は好調を維持するものと考えられる。
また、衣料品や食品、酒類、薬品、灯油、遊戯施設など、主力以外の「その他」分野が拡大している。ホームセンター事業者が展開するプライベートブランドビールのヒット商品もあり、各社ともこれまでにない商品分野で勝負していることが数字に表れている。
2.注目トピック
大手のホームセンター事業者による寡占化が進む
弊社の調査によると、2018年度の売上高上位10社合計が全体市場の約6割を占める結果となった。上位10社の中でも売上が増加する上位企業と減少傾向にある下位企業の二極化が進む傾向は変わらず、一部のホームセンター事業者による寡占化が引き続き進んでいる実態が伺える。
3.将来展望
今後の国内ホームセンター小売市場は、中長期的にみれば人口減少に伴うマーケットの縮小、短期的にもホームセンター同士の価格競争、GMSや食品スーパー、ドラッグストア、100円ショップなどの他小売業種との競合商品の販売競争が激化していく見通しである。
また、店舗数は、新規出店ペースの鈍化や1店舗あたりの売上高が減少基調であることを考えると、市場は横ばいあるいは微減で推移していくものと考えられる。弊社の調査によると、2019年度の店舗数の純増分は約40店舗になると予測する。
大型店の新規出店に加え、新規の店舗フォーマット開発などがけん引することで、2019年度の国内ホームセンター小売市場規模は前年度比100.1%の3兆9,970億円になると予測する。
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【ショートレポートに掲載されているオリジナル情報】Aパターン
ペット関連サービスのフルライン化を推進
店舗展開の差別化・多様化
海外展開に活路をはかるホームセンター事業者
調査要綱
2.調査対象: DIY・ホームセンター業者に携わる小売業、メーカー、卸売業者
3.調査方法: 当社専門研究員による直接面談、電話・e-mailによるヒアリング、ならびに郵送アンケート調査併用
<ホームセンター小売市場とは>
本調査における国内ホームセンター小売市場規模については、2012年度~2018年度の実績値は一般社団法人日本ドゥ・イット・ユアセルフ協会(日本DIY協会)資料から引用し、2019年度は矢野経済研究所の予測値である。
<市場に含まれる商品・サービス>
DIY用具・素材、電気、インテリア、家庭日用品、園芸・エクステリア、ペット、カー・アウトドア、カルチャー、サービス業務、その他
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