スタジアムアリーナ関連ビジネスのキーワードは「エンターテインメント」
〜世界的なスポーツイベントの国内開催を背景に「スポーツツーリズム」への取り組みが進む、シニア向けスポーツではフィットネスクラブが伸長~
1.調査結果概要
本調査では注目スポーツビジネスとして、スタジアムアリーナ関連ビジネス、スポーツツーリムズ関連ビジネス、シニア向けスポーツビジネスをとりあげた。
まず、スタジアムアリーナに関連するビジネスにおいて、大きなキーワードとなっているのが「エンターテインメント」である。これまでは、プロスポーツ興行であれば試合の勝敗やリーグでの順位などがチームの観客動員数などに大きな影響を及ぼしていた。しかし、近年のプロスポーツチームではそうした要素に関係なく楽しめる「エンターテインメント化」を図り、独自の取り組みで特別な体験をしてもらうことでファンを取り込もうとする動きが増えている。
また、訪日外国人客は増加しているものの、「スポーツツーリズム」を目的としての訪日比率はまだ低く、その伸びしろは大きい。なかでも、アウトドアツーリズムは、日本らしさを打ち出せるアクティビィティとしてスポーツ庁が推進している。登山やアウトドアなどのアクティビティ体験を希望する外国人の増加が見込まれるが、一方で受け入れ側のガイド体制の準備が進んでおらず、現状での課題となっている。
スポーツの中でも高齢者に支えられている代表的なビジネスがフィットネスクラブである。若年層は仕事に加えて余暇の多様化の影響などもあり、フィトネスクラブへの入会を敬遠する傾向がある。一方、資金と時間に余裕がある高齢者については、健康意識の高まりから各種エクササイズに励む人々が増えていおり、総合スポーツクラブ側でもシニア需要を取り込もうと動きを見せている。
2.注目トピック
世界的なスポーツイベントの国内開催を背景に、スポーツへの注目度高まる
日本では、2019年に開催されるラグビーワールドカップを皮切りに、2020年の東京オリンピエック・パラリンピック、2021年にはワールドマスターズゲームズ関西というスポーツ界の世界的ビッグイベントが相次いで国内で開催される。大規模なスポーツイベントが3年連続で日本国内で開催されるということで、国や地方自治体、民間企業、国民一人一人という各主体からのスポーツに対する注目度が高まっている。
こうした大規模スポーツイベントの開催は観ることへの関心向上だけでなく、国民のスポーツ参加機会の増加にもつながっている。総務省の「社会生活基本調査」によると、2011年から2016年にかけて各世代でスポーツ実施率が高まる結果となった。
東京オリンピック・パラリンピックをはじめとした世界的なスポーツ大会の開催が決定して以後、マスメディアやソーシャルメディアを通じたスポーツの露出機会が増加したことで、各競技の代表候補選手の活躍や代表チームの戦績が毎日のように報道されている。さらにスポーツ用品メーカー各社も代表選手向けの新商品を相次いで投入したり、契約選手を起用したプロモーションイベントを開催するなど、メディアでの情報発信が増えている。日常生活でスポーツに関する情報に接する機会が増えていることで、スポーツへの関心を高め、スポーツを始めてみようという動機付けにもつながっていると推察する。
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アウトドアツーリズムの需要拡大のポイントのひとつは「安全登山」
シニア世代においてはひとりひとりの健康課題を解決するサービスに対するニーズが拡大
調査要綱
2.調査対象: 地方自治体、スポーツ施設の指定管理業者、プロスポーツチーム、イベントプロモーター、旅行事業者、フィットネス関連事業者など
3.調査方法: 当社専門研究員による各種文献調査、ならびに直接面談調査併用
<注目スポーツビジネスとは>
本調査における注目スポーツビジネスとは、スタジアムアリーナ関連ビジネス、スポーツツーリズム関連ビジネス、シニア向けスポーツビジネスを指す。
<市場に含まれる商品・サービス>
プロスポーツビジネス、スタジアムアリーナ関連ビジネス、スポーツツーリズム関連ビジネス、フィットネス関連ビジネス、eスポーツ、スポーツ用品市場
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