パチンコホール経営企業128社の2018年度決算は減収増益に
~2020年度に向けて売上高は更に減少し、新規則機購入による販売管理費増大によって利益を圧迫する見通し~
1.調査結果概要
本調査では、当社『YANOパチンコデータベース』に収録されている全国のパチンコホール経営企業2,862社から、任意に128社を抽出し、それらの決算情報の主要指標平均値を算出し、2016~2018年度までの3ヵ年の業績推移分析を行った。
2018年度においては、売上高平均193億8,300万円に対し、売上原価平均163億5,500万円(構成比84.4%)、販売管理費平均26億2,200万円(同13.5%)、営業利益平均4億500万円(同2.1%)であった。
2018年度の売上高は前年度比で3.1%減であり、2017年度同様に減収が続いていることが分かった。
また、営業利益においては2017年度には同15.7%減となったものの、2018年度は同8.0%増と増益となっている。同じく営業利益率も2017年度の構成比1.9%から2018年度は同2.1%へ改善した。これは、売上原価の抑制によって売上総利益率を高め、営業利益を確保したことが示されている。端的に言えば、遊技者への還元分が減少したことになる。
販売管理費は前年度比で2.9%減となったが、構成比は13.5%で2017年度と同じであった。パチンコホール経営企業においての販売管理費には遊技機の購入費用が含まれるが、過去の同様な調査によると2008年度を境に構成比率が10%を超え、それ以降、遊技機購入費用がパチンコホール経営企業の経営を圧迫してきた。
なお、新型コロナウイルスの感染拡大によって、2020年3月頃からパチンコホールの集客にマイナスの影響が出ており、政府による緊急事態宣言の発令以降は、多くのパチンコホール経営企業が休業に踏み切った。こうした集客減と休業による売上高低下に加え、2021年1月までに新規則機へ入れ替える必要があり、移行による販売管理費の増加が重なり、パチンコホール経営企業の業績が急速に悪化することは間違いないと考える。
2.注目トピック
パチンコホール経営企業128社の売上・利益動向
【売上高・売上原価】
2018年度の売上高平均193億8,300万円を2016年度と比較すると9.6%減となり、パチンコ機マックスタイプなどの射幸性の高い遊技機の撤去によって、売上高が大きく低下している状況が想定できる。ここ数年来、売上原価平均は構成比85%以上の水準を保っていたが、2017年度は84.6%、2018年度は84.4%へと比率が低下している。
【売上総利益】
売上原価の圧縮によって、2018年度の売上総利益の構成比は15.6%と前年度から0.2ポイント上昇したが、売上総利益平均30億2,700万円は同1.5%減となった。粗利確保のために売上原価を抑制するような動きが見られるが、売上高の減少を補完するまでには至っていないことがわかる。
【販売管理費】
2018年度の販売管理費平均は前年度比で2.9%減と削減された。但し、2018年2月の遊技機規則改正を受け、2021年に向けて大量の旧規則機を新規則機に置き換える必要があることから、今後は販売管理費が大幅に増加すると想定される。
【営業利益】
2017年度の営業利益平均は大幅に減少したが、2018年度は増加に転じた。2018年度の営業利益率は2.1%と2016年度の水準まで回復したものの、売上高の減少が影響して営業利益額では4億500万円と2016年度の水準(4億4,500万円)には届かず、厳しい状況が続いている。
調査要綱
2.調査対象: パチンコホール経営企業
3.調査方法: 「YANOパチンコデータベース」のデータを基にした当社専門研究員による集計・分析
<本調査について>
本調査では、当社『YANOパチンコデータベース』に収録されている全国のパチンコホール経営企業2,862社から、下記の条件にて128社を抽出し、それらの決算情報の主要指標平均値を算出し、2016~2018年度までの3ヵ年推移分析を行った。
集計対象としたパチンコホール経営企業は、大手企業(20店舗以上経営)12社、準大手企業(10~19店舗経営)26社、中堅企業(4~9店舗経営)35社、小規模企業(1~3店舗経営)55社の計128社を任意に抽出した。集計対象128社が経営する店舗数の平均値は7.9店である。
なお、大手パチンコホールチェーン経営企業の株式会社マルハン、株式会社ダイナム、株式会社ガイア、株式会社ニラク、アンダーツリー株式会社、NEXUS株式会社など、事業規模が突出している企業および店舗数の増加が著しい企業については、集計対象から除外している。
<市場に含まれる商品・サービス>
パチンコホール経営企業、パチンコホール
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