2020年度のPCO・TCO・燻蒸サービスオペレーション市場は前年度比102.0%の1,372億2,000万円
~コロナ禍によるPCO業界への影響は限定的な状況にとどまる~
1.市場概況
2020年度のPCO(害虫駆除)・TCO(シロアリ駆除)・燻蒸サービスオペレーション市場(サービス事業者売上高ベース、薬剤等は含まない)は、前年度比102.0%の1,372億2,000万円の見込みである。
PCO市場では受注単価の落ち込み、TCO市場はベタ基礎やシート工法のようにシロアリ防除のいらない住宅工法の増加や業者間の価格競争の激化や訪販規制、燻蒸サービス市場は規制緩和で燻蒸の必要のない害虫の範囲が広がったこと等の影響により、縮小傾向となっていた。
一方で近年、食品メーカーは異物混入防止のためのハード・ソフト両面での改善諸施策が進められており、PCO業者にとっての追い風となっている。TCO業者も住宅等の長寿命化と防災面も含めた保全意識の高まりによるシロアリを含めた床下工事需要の下支えもあり、長らく低迷していたPCO・TCO・燻蒸サービスオペレーション市場は底打ち感をみせている模様である。
2.注目トピック
~新型コロナウイルス感染拡大に伴う影響は限定的~
2020年春以降、新型コロナウイルスの感染拡大により、各種の事業所における消毒需要が急拡大した。従業員が新型コロナウイルスに感染した場合、保健所が必要と判断すると、当該事業所では、感染者が勤務した区域(売場、厨房、製造加工施設、倉庫[冷蔵庫、冷凍庫を含む])、執務室等)の消毒を実施する。
但し、PCO事業者は害虫から微生物までが守備範囲であり、新型コロナウイルスへの消毒や防除対応は基本的にビルメンテナンスや清掃業務の業務範囲であることから、PCO業界への影響は限定的なものとなっている。一部のPCO事業者では、保健所の紹介などを通じて感染者が働くオフィスや商業施設の消毒を引き受けるケースもあるものの、大手PCO業者も含め、新型コロナウイルスの消毒作業を積極的に請負う事業者は少なかった。なお、国民全体の衛生・安全意識の高まりにより、総合衛生管理業務の受託には追い風となっており、関連衛生資材の販売にも影響が出ている。
3.将来展望
PCOオペレーション市場は、引き続き食品メーカーの異物混入防止の改善諸施策の推進と病害虫駆除施工の徹底がなされており、今後も需要は増加基調の見通しである。
TCOオペレーション市場は、今後はシロアリ防除工事の必要のないベタ基礎、シート工法などの影響、及びシロアリ被害の減少なども予想され、再び縮小傾向に戻っていくと予測する。
燻蒸サービス市場では、輸出木材関連の燻蒸サービス需要は好調に推移する見込みである。
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調査要綱
2.調査対象: PCO・TCO・燻蒸サービス企業、PCO・TCO・燻蒸用薬剤・資材卸企業、PCO・TCO・燻蒸用薬剤・資材メーカー、業界団体・業界誌・関連官公庁他
3.調査方法: 当社専門研究員による直接面談(オンライン含む)、及び電話・郵送アンケート調査併用
<PCO(害虫駆除)・TCO(シロアリ駆除)・燻蒸サービス市場とは>
PCO(Pest Control Operator)サービスとはゴキブリ、ネズミ、ハエ、カ、ダニなどの公衆衛生害虫予防・防除・駆除をさし、TCO(Termite Control Operator)サービスとはシロアリ予防・防除・駆除をさす。また、燻蒸サービスとは植物防疫法に基づく輸出入農産物燻蒸、文化財燻蒸、穀物倉庫・食糧品倉庫燻蒸を対象とする。
いずれも、オペレーション市場規模はサービス事業者売上高ベースで算出しており、薬剤等は含まない。なお、TCOサービスには、床下換気扇や調湿剤、耐震補強施工等は含まない。
<市場に含まれる商品・サービス>
PCOサービス、TCOサービス、燻蒸サービス
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