Foldableスマートフォンカバー用透明PIフィルムの世界出荷量は2021年が前年比200%の30万㎡の見込、2022年には50万㎡を予測
~三つ折りタイプやRollableなど新しい形状の端末に向けた、高透明で耐屈曲性に優れたフィルムが開発される~
1.市場概況
Foldable(折りたたみ)やRollable(巻き取り)可能なスマートフォンやタブレット、ノートPCなどの端末カバー用透明PI(ポリイミド)フィルム世界市場規模は、Foldableスマートフォンが発売された2019年が10万㎡、2020年15万㎡と推移し、2021年には30万㎡を見込む。
Foldableスマートフォンの2020年の世界販売台数(当社推計値)は前年比825%と急激な成長を示しているが、最大手のFoldableスマートフォンメーカーがカバー材料を透明PIフィルムからUTG(Ultra Thin Glass:極薄ガラス)に切り替えたことに加え、2020年に発売されたFoldableスマートフォンはディスプレイ面積が小さい上に透明PIフィルム1枚使いであったため、カバー用の透明PIフィルム面積の伸び率は前年比150%と、端末販売台数の増加に比べ低い水準にとどまった。
2.注目トピック
外側折曲げタイプ(out-fold)の端末カバー用では7H~8Hの高硬度が求められる
現在使用されているFoldable端末カバー向け透明PIフィルムでは、曲げ弾性率が6GPa以上、曲げ半径は、内側に折り曲げるin-foldタイプで1R~1.5R、外側に折り曲げるout-foldタイプでは3R程度、耐屈曲性試験20万回のクリアが標準スペックとなっている。
透明PIフィルム(原反)の表面硬度は2H程度とプラスチックフィルムとしては高硬度であるが、ディスプレイカバーとして必要とされる硬度には足りず、フィルム表面へのハードコート処理が必須である。一般的に、in-foldタイプについては持ち運びの際はディスプレイが外に出ないためカバーに求められる表面硬度は3H~4H程度と見られるが、out-foldタイプでは折り畳んだ際にディスプレイがむき出しになることから、傷付き防止のためにin-foldタイプよりも高い7H~8H程度の硬度が必要とされる。
さらに、端末メーカーからは硬度だけでなく防汚性、耐指紋性など、ディスプレイカバーとしての品質を満たす表面コートが求められている。
3.将来展望
現在、Foldable端末カバー用フィルムとしては透明PIフィルムのみが使用されているが、市場にはそれ以外にも高透明で耐屈曲性に優れたフィルムが開発されており、ディスプレイメーカーや端末メーカーへのサンプルワークが進められている。具体的な材料としては、透明アラミドフィルムがある。
既存の透明PIフィルムでは、50μmの厚みでヤング率(縦弾性係数)6GPa程度、1R(屈曲半径1mm)の折曲げ試験で20万回クリアの性能が一般的であるのに対し、透明アラミドフィルムはヤング率10GPa、CTE(熱膨張率)5ppm/K以下という高剛性・高耐熱性を有し、三つ折りタイプやRollableなど、カバーの耐擦傷性に対する要求が厳しい、新しい形状の端末で真価が発揮されると考えられる。
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調査要綱
2.調査対象: フィルムメーカー、コンバーター
3.調査方法: 当社専門研究員による直接面談(オンライン含む)、ならびに文献調査併用
<自動車・エレクトロニクス関連素材とは>
本調査における自動車・エレクトロニクス関連素材とは、車載ディスプレイ前面板、車載ディスプレイ用OCA・OCR、車載用機能性フィルム、車載用CFRP、Foldable・Rollable端末用カバーフィルム、低誘電フィルム、MLCCリリースフィルム、カーボンナノチューブ(単層、多層)、CNF(セルロースナノファイバー)を対象とした。
ここでは、Foldable・Rollable端末カバー用透明PIフィルムの世界出荷量予測(調査期間:2021年5月~7月)について、公表する。
<市場に含まれる商品・サービス>
車載ディスプレイ前面板、車載ディスプレイ用OCA・OCR、車載用機能性フィルム(反射防止フィルム、電装品用加飾フィルム)、車載用CFRP、Foldable・Rollable端末用カバーフィルム、低誘電フィルム、MLCCリリースフィルム、カーボンナノチューブ(単層、多層)、CNF
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