プレスリリース
No.3216
2023/03/20
流通小売市場に関する調査を実施(2023年)

2021年の国内小売市場規模は前年の反動で微増
~行動制限が緩和されたこともあり、生活者の気持ちが消費に前向きになり市場拡大する業界も。今後はインバウンドにも期待~

株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越 孝)は、国内の流通小売市場を調査し、現況や動向、また業種別32市場の現状と展望を明らかにした。

1.市場概況

2021年の国内小売市場規模は前年に比べ微増となった。2020年は4月に緊急事態宣言が発出され、移動や外出が制限されたこと、また小売店舗も営業自粛・時短営業が実施されたことにより、一気に市場が冷え込んだ。
2021年も緊急事態宣言やまん延防止等重点措置が出されたものの、行動制限が緩和されたこともあり、「自粛疲れ」や「リベンジ消費」といった言葉が話題となるなど、生活者の気持ちが消費に前向きになり始めた。業種別にみると、Web・カタログ通販など引き続き好調な業界もある一方で、家電、住宅などの高額商品は買い控えが目立った。

2.注目トピック

物価高騰、値上げの影響

食品の物価について考察すると、2022年は多くの食品が値上げとなり、2023年は更なる値上げが予定されている。
​食品メーカーが値上げを行っているにも拘わらず、国内企業物価指数と消費者物価指数の伸び率の乖離が縮まらない理由としては、企業が価格転嫁出来ていないことに加え、消費者が相対的に価格の低い商品を選考していることも考えられる。値上げ品目の多くは新商品や入れ替え商品であり、既存販売品については価格が据え置かれるケースも多い。そのため、2022年の段階では、消費者物価指数の上昇スピードが遅くなったと推測できる。実際に大手GMS(総合小売店)のなかには、PB商品の価格を据え置くことで、販売競争で優位に立とうという戦略を採るケースもみられる。

ただし、原材料のコストアップが続けば、今後、小売価格への転嫁が進み、既存価格商品のアイテム数も減っていき、その後、消費者物価指数に反映されるとみられる。コストアップを背景とした価格上昇は、消費者の購買力を下げる要因になりうる。また、日本だけがデフレ経済に置かれる状況が続けば、海外市場における「買い負け」の懸念も大きくなる。

3.将来展望

2022年夏にはコロナ禍で再び感染者数が拡大したものの、行動制限が強化されることは無く、消費は堅調であった。一方、生活様式の変化により、アパレル等需要が回復していない業界もある。また、物価上昇傾向が強まっているほか、為替水準が円安へシフトしていること、10月から水際対策が緩和されたことにより、インバウンド需要も少しずつではあるが回復しつつある。そうした背景から、2022年の国内小売市場規模も拡大を見込む。

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    調査要綱

    1.調査期間: 2022年11月~2023年1月
    2.調査対象: 日本国内の流通小売企業等
    3.調査方法: 当社専門研究員による文献調査

    <流通小売市場とは>

    本調査における流通小売市場は、製造業者や問屋などの中間流通業者から販売物を仕入れ、消費者に直接商品などを販売する事業を展開している、百貨店・GMS(総合小売店)・専門店・無店舗販売事業者(カタログ・インターネット通販など)などの流通小売事業者を対象としている。

    <市場に含まれる商品・サービス>

    GMS(総合小売店)、食品スーパー、百貨店、コンビニエンスストア(CVS)、TV通販、Web ・カタログ通販、ドラッグストア、家電量販店、ホームセンター、ショッピングセンター、アウトレットモール、トラフィックチャネル、総合ディスカウントストア、中古品販売店、アパレル専門店、呉服専門店、鞄・袋物専門店、靴専門店、時計・宝飾専門店、メガネ専門店、スポーツ・アウトドア用品専門店、自転車・バイク専門店、カー用品専門店、家具・インテリア・生活雑貨専門店、玩具・ホビー専門店、書籍・文具専門店、楽器・CD専門店、均一価格ショップ、酒類専門店、生鮮食品専門店、フラワーショップ、生活協同組合

    出典資料について

    資料名
    発刊日
    2023年01月27日
    体裁
    A4 461ページ
    価格(税込)
    165,000円 (本体価格 150,000円)

    お問い合わせ先

    部署
    マーケティング本部 広報チーム
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