2022年度のラストワンマイル物流市場規模は前年度比105.0%の2兆9,110億円
~取扱個数の増加・物流費の高騰を背景に市場は拡大傾向、2023年度には3兆円規模へ。「宅配便」以外のBtoC個配事業にも注目が集まる~
1.市場概況
2022年度のラストワンマイル物流市場規模は、配送料(宅配関連サービスを含む)ベースで前年度比105.0%の2兆9,110億円と推計した。
2022年度は、2020年度及び2021年度と比較すると、コロナ禍における需要の急増等がなくなったことで伸び率は緩やかになったものの、市場は好調に推移した。その背景として、荷物の小口化、配送頻度の増加、人件費や燃料費の高騰による物流コストの上昇などが挙げられる。
また、2022年度は同市場で通信販売事業が全体の約6割を占めており、通信販売事業の拡大と共に宅配便取扱個数が増加することで同市場も成長してきた。
なお、2022年度の同市場を分野別にみるとフードデリバリー分野は微減したが、ネットスーパーや在宅配食サービスなど、高齢者向け配送サービスは増加となった。
2.注目トピック
ラストワンマイル物流市場を支える、新たな担い手の登場
本調査では、ラストワンマイル物流市場に関わる配送の種類を、「宅配便」による配送(宅配便事業者への委託)と、サービス提供事業者自身が配送を行う、もしくは配送責任を持つ「自社配送」の2つに分けている。
2022年度のラストワンマイル物流市場規模に占める割合は、約7割が「宅配便」による配送(宅配便事業者への委託)、約3割が「自社配送」と推計した。
「自社配送」は、ピザや寿司などの出前(宅配)のように、自社で配達車両や配達員を保有しラストワンマイル配送を行う「アセット型」と、自社で配達車両や配達員を保有せず、地域の運送事業者や貨物軽自動車運送事業を行う個人事業主、配達代行サービス事業者(Web上のプラットフォームを通じて単発の業務を請け負うギグワーカー)などに配送を直接委託してラストワンマイル配送を行う「ノンアセット型」に分類している。
宅配便取扱個数が緩やかに増加していくとみられるなかで、ラストワンマイル物流の新たな担い手としては、「ノンアセット型」の事業者(事業主)が占める割合が徐々に増えていくと考えられる。
3.将来展望
2023年度のラストワンマイル物流市場規模は、前年度比109.7%の3兆1,940億円と予測する。大手宅配便事業者が既に届出運賃の改定を行っているほか、これまで値上げを見送っていた事業者に関しても、燃料費・人件費の高騰に加え2024年4月の働き方改革関連法案の改正を目前に控え、運賃改定に乗り出す動きもみられる。さらに、処方薬の配送サービスといった新たな配送ニーズも見込まれるため、好調に推移していくとみる。
2030年度の市場規模は4兆円規模に成長すると予測する。長期的に見た場合、人口減少に伴う消費者(消費量)の減少、通信販売事業がいずれピークを迎え停滞すること、増え続ける荷物量に対しドライバー不足が深刻になること等が成長の阻害要因として挙げられる。
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【ショートレポートに掲載されているオリジナル情報】Aパターン
ワンタイム型デリバリー事業のラストワンマイル物流
定期販売型デリバリー事業のラストワンマイル物流
個人間宅配事業のラストワンマイル物流
調査要綱
2.調査対象: BtoC物流に関わる事業者、管轄省庁等
3.調査方法: 当社専門研究員による直接面談、電話によるヒアリング、ならびに文献調査併用
<ラストワンマイル物流市場とは>
本調査におけるラストワンマイル物流市場とは、一般消費者と物流の最終拠点を結ぶ事業者から一般消費者個人(BtoC)、一般消費者個人から同個人(CtoC)における配送サービスと定義する。主に、①通信販売、②ワンタイム型デリバリー(ピザや寿司などの出前、ファミリーレストラン・ファストフード等の既存店舗を活用したデリバリー事業等配達代行サービス)、③定期販売型デリバリー(在宅配食サービスや生協の個配など配送先や配送頻度などがある程度決まっているデリバリー事業等)、④個人間宅配の4分野を対象とし、市場規模は配送料及び配送関連サービスを含む金額ベースで算出している。なお、事業者間(BtoB)向けのラストワンマイル物流(施設や店舗向け配送など)、及び引越しサービス、置き配・宅配ボックス、配達ロボット、メール便、ドローンは対象外とする。
<市場に含まれる商品・サービス>
宅配便、貨物軽自動車運送事業、配達代行サービス、通信販売、ワンタイム型デリバリー事業、定期販売型デリバリー事業、地域支援サービス、配達ロボット、ドローン、置き配・宅配ボックス、メール便
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