国内化粧品市場は消費者の外出機会増加により回復基調が鮮明に
~2022年度の国内化粧品市場規模は前年度比103.5%の2兆3,700億円~
1.市場概況
2022年度は、消費者の外出機会が徐々に増加し、需要回復が進んだ。また、2022年10月より日本政府が個人旅行の受け入れや査証免除措置の再開等を実施したことを受けインバウンド需要も回復の兆しを見せたことから2022年度の国内の化粧品市場規模(メーカー出荷金額ベース)は2兆3,700億円となり、2年連続で拡大推移となった。
2022年度の化粧品市場を製品カテゴリー別にみると、スキンケア市場が構成比47.3%(1兆1,200億円)と最も高く、ヘアケア市場は同20.3%(4,810億円)、メイクアップ市場が同17.6%(4,170億円)、男性用化粧品市場は同5.4%(1,290億円)、フレグランス化粧品市場が同1.2%(292億円)と続いた。
2.注目トピック
2030年の化粧品市場展望
2022年度の市場規模は前年度比103.5%の2兆3,700億円となったが、コロナ禍前の2019年度の市場規模(2兆6,480億円)と比べると、未だ復活の途上といえる段階である。
1997年のアジア通貨危機と2008年のリーマン・ショックの際には化粧品業界でも経済危機となっていたが、それぞれの後に生じた同業界の変遷を見てみると、「市場構造の変革」と「新市場の創出」が起こった点がいずれにも共通している。1998年~1999年は、ドクターズコスメの台頭やM&Aの活発化、大手メーカーを中心に海外での販売促進を見据えた戦略が進展した。また、通信販売などネットビジネスが台頭し、卸売業者の大型合併なども起こった。2009年~2010年は異業種参入が活発化し、エシカルな消費(人、社会、地域、環境に配慮した消費行動)への関心の高まりで自然派・オーガニック化粧品が本格的に市場を拡大したほか、テレビ通販の台頭や業界全体での中国進出が加速した。
今回も新型コロナウイルスの流行とその影響から生じた経済危機を契機に「市場構造の変革」「新市場の創出」などが進み、2030年に向けて化粧品産業でのDX化が進むとともに、大きな変革が起きるものとみる。具体的には①デジタルとリアルの融合が進展、②D2C型ブランドの台頭、③Z世代向けブランドの増加、④日本製化粧品の輸出国としてASEAN地域が大きく伸長(輸出金額の増加)、⑤アジア新興国からの輸入金額が拡大し国内市場競争がより一層激化、の5点が進むと予測する。
3.将来展望
2023年度以降は新型コロナウイルスによる行動面の制限や消費者の買い控えなど経済面への影響も落ち着きを見せ、国内需要は回復基調を継続するとみる。また、原材料等のコスト高騰や製品の高付加価値化により単価向上が図られるほか、訪日観光客も徐々に増加することでインバウンド需要も回復していくとみられ、2023年度の国内の化粧品市場規模(メーカー出荷金額ベース)を前年度比103.4%の2兆4,500億円と予測する。
オリジナル情報が掲載された ショートレポート を1,000円でご利用いただけます!
【ショートレポートに掲載されているオリジナル情報】Aパターン
メイクアップ市場
ヘアケア市場
フレグランス市場
男性用化粧品市場
D2C型ブランドが台頭
Z世代向けブランドが増加
日本製化粧品の輸出国としてASEAN地域が大きく伸長
アジア新興国からの輸入金額が拡大し国内市場競争がより一層激化
調査要綱
2.調査対象: 化粧品ブランドメーカー、受託製造・OEM企業、輸入商社、化粧品原料メーカー・商社
3.調査方法: 当社専門研究員による直接面談(オンライン含む)、ならびに電話調査併用
<化粧品市場とは>
本調査における化粧品市場とは、スキンケア化粧品、メイクアップ化粧品、ヘアケア化粧品、フレグランス化粧品、男性用化粧品等を対象とし、国内ブランドメーカー出荷金額ベースで算出した。医薬部外品の化粧品、輸入品を含む。
<市場に含まれる商品・サービス>
スキンケア化粧品、メイクアップ化粧品、ヘアケア化粧品、フレグランス化粧品、男性用化粧品等
出典資料について
お問い合わせ先
本資料における著作権やその他本資料にかかる一切の権利は、株式会社矢野経済研究所に帰属します。
報道目的以外での引用・転載については上記広報チームまでお問い合わせください。
利用目的によっては事前に文章内容を確認させていただく場合がございます。