プレスリリース
No.3373
2023/11/02
国内移動体通信サービス・端末市場に関する調査を実施(2023年)

2023年度(2024年3月期)の5Gサービス累計契約数は1億350万契約の見込
​​~「格安スマホ」主体の市場で通信事業者は金融・決済サービスに注力~

株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越 孝)は、国内の移動体通信サービス・端末市場を調査し、2030年度までの予測値を公表する。

国内移動体通信サービス通信規格別累計契約数予測
国内移動体通信サービス通信規格別累計契約数予測
国内移動体通信端末カテゴリー別出荷台数予測
国内移動体通信端末カテゴリー別出荷台数予測

1.市場概況

世界の標準的な通信ネットワークと比較しても、日本は通信システムの高速化や大容量化を可能にする高品質な4G(第四世代)規格ネットワークを構築し、一定程度の需要を満たしてきたことから、これまで5G(第五世代)規格の需要は決して高くなかった。このため、通信事業者各社は5G規格について、4G規格からのアップデートを主体に展開してきた。一方で、年々増加するトラフィック(通信容量)への緊急性の高い対処の必要性や新たなIoT(Internet of Things)市場拡大に伴う今後の需要の創出、さらには5G規格技術の進展を背景に、通信事業者各社は5G規格ネットワークの拡大に本腰を入れ始めている。通信事業者をはじめ、メーカーなど関連する事業者各社は世界の情報通信産業をリードすべく5.5G(5G-Advanced)、6G(Beyond5G)の規格策定や技術開発、更には今後の国際的な影響力を見据えた半導体開発にも積極的に取り組んでいる。 

2.注目トピック

国内移動体通信端末市場動向

2023年度(2024年3月期)における国内移動体通信端末の出荷台数は3,626万台の見込みであり、カテゴリー別ではスマートフォン(5Gを含む)2,977万台、タブレット(セルラー機能搭載)200万台、モバイルデータ通信端末(Wi-Fiルーター等)70万台、フィーチャーフォン160万台、ウェアラブルデバイス(スマートウォッチ、スマートバンド、ヘッドマウントディスプレイ(HMD)等でセルラー機能搭載)219万台である。 コロナ禍における需要増の反動減や円安に伴う価格の上昇に伴い、特にスマートフォンの出荷台数が減少傾向にある。5G規格サービスへの移行が進み、定期的な買い替え需要に支えられるものの、目新しさといった新たな需要を喚起する要素に乏しく、スマートフォンの出荷台数は大幅な増加は期待できないものと考える。一方、ウェアラブルデバイスの中でもスマートウォッチは健康志向の高まりと参入メーカーの増加を背景に更なる出荷台数の増加を予測する。

3.将来展望

2023年度(2024年3月期)の国内移動体通信サービスの累計契約数は約2億1,528万契約で、このうち5G規格サービス累計契約数は1億350万契約を見込む。エリア展開が進むのと同時にSA(スタンドアローン)サービス※の導入が始まり、5G規格のメリットを生かせる高速・大容量・低遅延の特徴を生かしたサービスの増加が期待される。一方で大手通信事業者の新規契約はサブブランドや新料金プラン、MVNO(仮想通信事業者)サービスといった「格安スマホ」が主体となっている。 2024年度以降、大手通信事業者間において格安スマホでの顧客獲得が主戦場となる見通しである。現下、大手通信事業者各社は通信サービスに加え、新たな収益源として決済・金融サービスに取り組んでいる。

​通信サービスについて、2026年度以降は5.5G(5G-Advanced)にあたる「5G Evolution」の導入も期待できるとともに、5G規格本来の高速・大容量・低遅延の特徴を生かしたサービスの本格的な導入もあるとみる。特にIoT分野が想定され、なかでも自動車向けコネクテッドサービスやメタバースの活用に向けた取り組みが期待される。
2030年度(2031年3月期)の国内移動体通信サービスの累計契約数は約2億6,243万契約で、このうち5.5Gを含む5G規格サービス累計契約数は約2億5,443万契約を予測する。

※SA(スタンドアローン)サービスとは4Gの設備を転用したNSA(ノンスタンドアローン)とは異なり、5G規格専用の設備(基地局、コアネットワーク)を構築して運用するサービスで、5G規格の特徴である「高速大容量通信」「高信頼低遅延」「多数同時接続通信」に対応できる点がメリットである。

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    調査要綱

    1.調査期間: 2023年5月~8月
    2.調査対象: 国内移動体通信事業者、端末メーカー、部品メーカー、販売代理店等
    3.調査方法: 当社専門研究員による直接面談(オンライン含む)、セミナー取材、ならびに文献調査併用

    <国内移動体通信サービス・端末市場とは>

    本調査における移動体通信サービスとは、移動体通信事業者(Mobile Network Operator)が提供する①音声通話、②データ通信サービスの総称を指す。現在は第四世代(4G)規格によるLTE規格のサービスが主流である。2020年4月より国内市場においても第五世代(5G)規格の商用サービスが開始された。 また国内移動体通信端末市場について、スマートフォン(5Gを含む)、フィーチャーフォン、タブレット(セルラー機能搭載)、モバイルデータ通信端末(Wi-Fiルーター等)、ウェアラブルデバイス(スマートウォッチ、スマートバンド、ヘッドマウントディスプレイ(HMD)等でセルラー機能搭載)を対象とし、メーカー出荷台数ベースで算出した。なお、国内移動体通信サービス累計契約数、国内移動体通信端末カテゴリー別出荷台数はいずれも年度(4~3月)ベースとしている。

    <市場に含まれる商品・サービス>

    移動体通信サービス(音声通話、データ通信)、スマートフォン、フィーチャーフォン、タブレット、ウェアラブルデバイス(スマートウォッチ、スマートバンド、HMD他)

    出典資料について

    資料名
    発刊日
    2023年09月07日
    体裁
    A4 153ページ
    価格(税込)
    275,000円 (本体価格 250,000円)

    お問い合わせ先

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    マーケティング本部 広報チーム
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