製薬企業の研究開発は、各社にとって最適な展開を図ることが重要に
1.市場概況
2022年度における国内主要製薬企業の業績は、ジェネリック医薬品の使用促進などに伴い国内事業は苦戦を強いられた一方、新型コロナウイルス感染症治療薬の伸長や、大手企業についてはグローバル新薬の拡大などを背景に総じて堅調に推移しており、増収増益の企業も多く、全体としてはコロナ禍以前の水準を上回った形となった。一方、国内市場を中心に展開する中堅製薬企業については伸び悩む企業も多く、厳しい状況が続いている形も見受けられる。
2.注目トピック
製薬企業の研究開発戦略
グローバル製薬企業と比較して国内の製薬企業の事業規模は小さく、大規模なM&A等により事業規模と研究開発費の拡大に動いている。近年、大型買収を実施した企業だけではなく、これまでM&A経験の少ない企業を含め、海外売上高比率の増加と重点開発領域の強化を目的に海外企業に対するM&A件数の増加が見込まれる。
当然、事業規模が大きくなれば捻出できる研究開発費も増加する。しかし、研究開発費の多寡のみが新薬創出の成否を決定するものではない。開発品目の数や質、成功確率などが重要である。その点では、事業規模では中堅企業であっても得意領域に特化することで、特徴を持った製薬企業が新薬創出を継続し生き残る可能性も高い。
また、バイオ医薬品に対するニーズはさらに高まる方向であるが、外資系製薬企業と比較して国内製薬企業はバイオ医薬品の開発では立ち遅れた。国内製薬企業がバイオ医薬品の開発で競争力を高めるためには、自社の研究開発力の向上もさることながら、国内外の他社との連携、バイオベンチャー、大学やその他の研究機関におけるシーズの掘り起こしや連携にも注力する必要がある。
製薬企業の研究開発戦略には様々な展開が考えられ、各社にとって最適な展開を図ることが新薬開発の可能性を高め、事業規模の拡大に結びつくものと考える。
3.将来展望
CRO市場が好調に拡大してきた要因としては、製薬企業が治験コストの削減、効率化を推進し、業務の外部委託を促進していることが挙げられる。とくに、モニタリング、DM/統計解析の他、最近では安全性情報処理支援業務などの外部委託が進展している。また、医療機器や再生医療など医薬品以外の分野の開発、コンサルティング業務などの外部委託も増加している。
今後、CRO市場では再生医療、臨床研究、製造販売後調査など新たな領域での受注拡大が期待される他、引き続き製薬企業の臨床開発業務の外部委託の進展が見込まれる。
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【ショートレポートに掲載されているオリジナル情報】Aパターン
国内SMO市場
調査要綱
2.調査対象: 製薬企業、CRO(医薬品開発業務受託機関)、SMO(治験施設支援機関)
3.調査方法: 当社専門研究員による直接面談(オンライン含む)、電話・e-mailによるヒアリング調査、ならびに文献調査併用
<市場に含まれる商品・サービス>
製薬企業の研究開発戦略、CRO、SMO
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