コロナ禍の影響による症例減や外来患者数減からの回復がある一方、輸入製品の供給遅延やコスト上昇による採算性が悪化
~2023年度のカテーテル&チューブ、IVR製品市場は前年度比1.9%増の4,005億9,900万円の見込み~
1.市場概況
カテーテル&チューブ、IVR製品とは、病院やクリニック、検査センター等で使用される単回使用の医療機器(診断及び治療を目的として使用される医療用デバイス)である。カテーテル&チューブ、IVR製品を含む国内医療機器市場は、近年、診療報酬改定による影響を受けて市場規模が減少する製品も多いものの、これまでは横這いから微増推移を続けてきた。
2022年度は新型コロナウイルス感染拡大による影響からの回復傾向にあり、一部製品によっては引き続き症例減の影響を受けているものの、大半の製品領域ではコロナ禍前の水準へ戻りつつある。一方、海外生産製品をはじめとし、円安等の為替、原材料や輸送コストの高騰、生産遅延や輸入製品の納入遅れ等によるコスト増、製品供給不足が深刻化している。
2022年度のカテーテル&チューブ、IVR製品市場(国内メーカー及び輸入製品の総発売元[製造業・製造販売業]ベース)は前年度比1.4%増の3,931億7,800万円、2023年度は同1.9%増の4,005億9,900万円の見込みとなっている。
2.注目トピック
アブレーション関連カテーテル市場
不整脈に対するアブレーション治療(経皮的心筋焼灼術)の症例数は、2022年度は104,917例、うちAF(Atrial Fibrillation:心房細動)症例が76,141例となり、後天性や発作性のAF群に対する症例が増加している。
そうした中で、アブレーションカテーテルの出荷本数増加と併せて、アブレーション関連カテーテルでは、検査用の電極カテーテル、遠位端可動型シースイントロデューサーセットの市場も拡大傾向にあり、2022年度は前年度から7.8%増の1,007億6,700万円、2023年度は1,040億1,200万円が見込まれる。
3.将来展望
カテーテル&チューブ、IVR製品市場は外科的手術から非侵襲的な経皮的手技の症例が増加したことで、2000年度頃までは年率平均で10%弱の伸び率であった。しかし、それ以降は高齢化の進展から症例数が増加する製品群がある一方、償還価格改定時に償還区分の変更や統合、価格が2ケタ下落する大型製品があったことで、市場全体は微増やマイナス実績にとどまると共に、製品群ごとの市場は二極化する傾向が続いている。
高付加価値の診断系カテーテル、アブレーション関連製品等を除いた多くの製品の成長率は今後、マイナス~2%増程度にとどまる見込みで、2027年度のカテーテル&チューブ、IVR製品市場規模は、2022年度対比で2.1%増、2023年度(見込値)対比で0.2%増の4,014億3,900万円になると予測する。
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【ショートレポートに掲載されているオリジナル情報】Aパターン
2.泌尿器分野:9区分
3.消化器・呼吸器・麻酔科分野:18区分
4.脳外科・その他分野:9区分
調査要綱
2.調査対象: 国内メーカー及び輸入製品の総発売元(製造業・製造販売業)
3.調査方法: 当社専門研究員による直接面談(オンラインを含む)、ならびに電話取材調査併用
<カテーテル&チューブ、IVR製品とは>
本調査におけるカテーテル&チューブ、IVR製品とは、病院やクリニック、検査センター等で使用される単回使用の医療機器(診断及び治療を目的として使用される医療用デバイス)を指す。血管内で使用される、PTCA(Percutaneous Transluminal Coronary Angioplasty)やPTA(Percutaneous Transluminal Angioplasty)関連のカテーテル、血管造影用カテーテル、アブレーション治療関連のカテーテル、Coronary Stent(ステント)、末梢血管用ステント、塞栓用コイル、消化管バルーン・ステント、栄養カテーテル、サクションチューブ(吸引カテーテル)、尿管ステント、ネラトンチューブ、自己導尿カテーテルなどに加え、各診療科特有の製品を含む52項目(80区分)を対象とし、国内メーカー及び輸入製品の総発売元(製造業・製造販売業)ベースで算出した。
また、IVR(Interventional Radiology)製品は、X線透視撮影装置やCTなどの画像診断下で体内の診断・治療を行うデバイスで、血管系と非血管系の製品に分類される。
<市場に含まれる商品・サービス>
カテーテル&チューブ、IVR製品
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