プレスリリース
No.3709
2025/02/28
ME機器(治療機器)市場に関する調査を実施(2024年)

2023年度のME機器(治療機器)市場は、前年度比2.1%減の1,738億4,300万円
~手術支援ロボット(マスタ・スレーブ方式)を含めた同市場規模(33項目)は1,942億300万円に~

株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、国内のME機器(治療機器)市場を調査し、市場の動向、参入企業動向、将来展望を明らかにした。

1.調査結果概要

本調査では、病院や一般診療所等で使用されるME(Medical Engineering)機器のうち、33項目の治療機器を対象としている。

2023年度から2024年度にかけては、世界の経済情勢、材料費高騰による生産コスト上昇や物流費上昇などの問題が継続しており、欧米諸国では特にコロナ禍におけるリストラの影響で人手不足が生じて、生産体制が再構築できずに生産が追いつかないなどの事例もみられる。
日本においては光熱費や人件費などの各種経費が高騰したことで、2022年度から一転して病院の経営状況の悪化は避けられない状況になっており、ME機器更新時期の延期も散見される。一方、コロナ禍において機器の更新時期を延期してきたため、更新時期を迎えた機器も多く存在している。このように、ME機器(治療機器)市場では新型コロナウイルス感染拡大の影響を残しつつ、その後の手術件数の回復等を加味したプラス市場とマイナス市場が混在しており、2023年度のME機器(治療機器)市場規模(製造販売業:販売元ベース、32項目)は前年度比2.1%減の1,738億4,300万円と推計した。
なお、「手術支援ロボット(マスタ・スレーブ方式)」を含めた2023年度の同市場(33項目)は1,942億300万円となる。

2.注目トピック

手術支援ロボット市場(マスタ・スレーブ方式)、特許による独占市場から5社による市場活性化へ

手術支援ロボットは、1999年にインテュイティブ・サージカル社が複数症例型ロボットとして「da Vinci」を製品化し、カメラと鉗子等を装着したロボットアームを患者の腹部から挿入し、操縦席に座る術者が術野の写った3次元画像を見ながら手術を行うシステム(マスタ・スレーブ方式)を開発した。2000年に腹腔鏡手術領域においてFDA(米国食品医薬品局)承認を取得し、日本市場においても同年、慶応大学病院に導入されて先進医療から始まった。2012年には前立腺がん手術の一部において保険適用となり、順次適用拡大されてきている。

その後、マスタ・スレーブ型手術支援ロボット市場は「da Vinci」の独占が続いたが、2019年に同社が保有している手術支援ロボットに関連する特許の多くが期限切れとなり、それに合わせて多くの企業が新規参入している。日本市場においても、2019年のAsensus Surgical社の「センハンス・デジタル・ラパロスコピー・システム」、2020年に川崎重工業とシスメックスが共同出資したメディカロイド(神戸市)が開発して国産初の「hinotori TM」、2022年には、コヴィディエンジャパンの「Hugo TM 手術支援ロボットシステム」、2023年には国産二番目となる東京工業大学、東京医科歯科大学の共同開発から起業されたリバーフィールドの「Saroa(サロア)サージカルシステム」が製造販売承認を取得した。さらに、2024年にはインテュイティブ・サージカル社の第五世代「da Vinci 5」がFDA承認を取得し、アメリカ市場で販売開始されている。

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    調査要綱

    1.調査期間: 2024年4月~11月
    2.調査対象: 国内メーカー及び輸入製品の製造販売業:販売元
    3.調査方法: 当社専門研究員による直接面談(オンライン含)、電話による取材調査、ならびにアンケート調査併用

    <ME機器(治療機器)市場とは>

    本調査におけるME(Medical Engineering)機器市場とは、病院や一般診療所等で使用される治療機器、33項目を対象とし、国内メーカー及び輸入製品の製造販売業:販売元ベースで算出した。

    本調査では、「手術室(Operation Room)等の設備機器※」「レーザー治療装置」「特定領域高額機器」「特定領域中級・普及型機器」「内視鏡下(腹腔鏡下・胸腔鏡下)外科製品」の計5セグメントに分類している。本年より「内視鏡下(腹腔鏡下・胸腔鏡下)外科製品」の中に「手術支援ロボット」(マスタ・スレーブ方式)を加えて、市場を分析している。
    ※ 在宅レンタル用・パブリック(公共施設等)設置の機器を含む。

    <市場に含まれる商品・サービス>

    内視鏡下外科(腹腔鏡・胸腔鏡他)手術製品、ベンチレータ、全身麻酔器、除細動器・デフィブリレータ、電気メス・バイポーラ・アルゴンガス、超音波凝固切開装置・超音波吸引装置、Nd:YAG・Ho:YAG・KTP/YAG・KTP、CO2レーザー、高出力半導体レーザー、PDT、レーザー心筋血管新生術/心筋血行再建術、(疼痛緩和)半導体レーザー治療器、(直線偏光)近赤外線・赤外線治療装置、あざとり・美顔用レーザー装置、美容形成外科関連製品 脱毛・しわとり・下肢静脈瘤、(経尿道的)結石破砕装置、BPH治療製品、ESWL、ハイパーサーミア(温熱療法加温装置)、IABP装置、自己血回収装置・回収式自己血輸血装置、コンティニアス・パッシブ・モーション、タニケットシステム、骨電気刺激装置/超音波骨折治療器、低周波治療器/浮腫治療器、パワーインスツルメンツ、ガンマナイフ、定位脳手術装置/定位・高精度放射線治療システム、手術室用顕微鏡・ナビゲーションシステム、ネブライザー、滅菌コンテナーシステム、鋼製手術器具・器械、手術支援ロボット

    出典資料について

    資料名
    発刊日
    2024年12月13日
    体裁
    A4 712ページ
    価格(税込)
    165,000円 (本体価格 150,000円)

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    マーケティング本部 広報チーム
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