プレスリリース
No.3712
2025/03/10
介護ICT市場に関する調査を実施(2024年)

2023年度の介護ICT市場(5分野計)は350億2,800万円と推計
~介護ICT市場では、業務負担を軽減する見守りや介護現場向けインカム、電子請求書・領収書システムなどの他介護ソリューションの導入が進む~

株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、国内の介護ICT市場を調査し、市場規模推移・予測、5分野別の動向、各分野の参入企業動向、将来展望を明らかにした。

1.市場概況

本調査では、介護保険請求業務などの生産性向上や介護スタッフの業務負担を軽減するために、介護サービス事業所に導入される介護システム、機能訓練支援システム、送迎支援システム、電子請求書・領収書システム、介護現場向けインカムを対象とした。2023年度の介護ICT市場(5分野計)は、国内メーカー及びサービス事業者の売上高ベースで350億2,800万円と推計した。

介護ICT市場では介護システムに加えて、介護スタッフの業務負担を軽減する見守りや介護現場向けインカム、利用者やその家族に向けた電子請求書・領収書システムなどの他介護ソリューションの導入要望が増加している。そのため、介護システムベンダーでは関連システムのサービス事業者との連携が活性化している。2024年度は、介護サービス事業所の生産性を向上させるICT関連導入の公的支援・補助金等が継続されており、そうした関連システムの導入が促進される見込みである。

2.注目トピック

機能訓練支援システムの動向~介護分野で機能訓練、口腔管理、栄養の一体的取り組みの推進へ

機能訓練支援システムは介護保険の個別機能訓練やLIFE(科学的介護推進体制)関連の加算など自立支援に関わる加算算定業務を支援するもので、通所介護(デイサービス)を中心に通所リハビリテーション(デイケア)や特別養護老人ホーム、介護老人保健施設、福祉用具貸与などで導入される。なかでも機能訓練関連の加算業務に詳しい専門職がいない介護サービス事業所や、加算取得経験が少ない事業所、業務負担軽減や効率化を図りたい事業所などで利用されている。
機能訓練支援システムは、利用者評価・アセスメントの支援や、計画書作成の支援、サービス提供支援・実施記録、予定管理など業務管理全般やLIFEへの報告が行いやすいようにするなど業務全般をサポートするものや、AIを活用して動画や音声などから身体機能を評価・アセスメントするシステムなど特定の機能に特化したサービスも見受けられる。

政府の方針として、高齢者の自立支援・重度化防止を効果的に進める観点から、介護分野で機能訓練、口腔管理、栄養の一体的取り組みを進めることが求められている。
そのため、介護サービス事業者は今後、個別機能訓練加算以外にも口腔機能向上加算や栄養改善加算、LIFE加算など複数の加算を取得し経営改善を行いながら、サービス内容で差別化を図る事業所が増加していく見込みである。
機能訓練支援システムを展開する企業は、上述のようなニーズを受け、栄養関連の加算取得支援など介護サービス事業者のニーズに合わせて、システムのラインナップを拡充していくと考える。

3.将来展望

介護システムは、介護サービスの種類によって保険請求や各種帳票作成、データ管理方法などが異なるため、それぞれに対応したシステムが導入されてきた。1法人が複数の介護サービス事業所を展開していると、複数ベンダーの介護システムが導入されているケースも存在した。
しかし、介護保険の電子請求が義務化されて介護システムのクラウド化が進展、介護サービス事業者の統廃合や業務の生産性向上、コスト削減の観点から、介護システムのベンダー統一が今後も進む見通しである。
介護システム自体は差別化が難しいシステムでリプレイス市場となっており、介護システムベンダー各社は、今後、他介護ソリューションやICT機器などとの連携や使いやすさなどで差別化を図り、顧客獲得を進めることになると考える。

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    調査要綱

    1.調査期間: 2024年10月~12月
    2.調査対象: 国内メーカー及びサービス事業者等
    3.調査方法: 当社専門研究員による直接面談(オンライン含む)、ならびに文献調査併用

    <介護ICT市場とは>

    本調査における介護ICT市場とは、介護保険請求業務などの生産性向上や介護スタッフの業務負担を軽減するために、介護サービス事業所に導入される介護システム、機能訓練支援システム、送迎支援システム、電子請求書・領収書システム、介護現場向けインカムを対象とし、国内メーカー及びサービス事業者の売上高ベースで算出した。

    介護保険制度下では、保険請求は電子請求(オンライン、電子媒体)が原則となっているため、各介護サービス事業所では何らかのシステム導入が必須となる。本調査では企業が展開している介護システムを対象としており、公益社団法人国民健康保険中央会が提供する介護伝送ソフトや、それに代わり企業が提供する国保連伝送サービスは含まない。

    <市場に含まれる商品・サービス>

    介護システム、機能訓練支援システム、送迎支援システム、電子請求書・領収書システム、介護現場向けインカム

    出典資料について

    資料名
    発刊日
    2024年12月25日
    体裁
    A4 154ページ
    価格(税込)
    165,000円 (本体価格 150,000円)

    お問い合わせ先

    部署
    マーケティング本部 広報チーム
    住所
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