プレスリリース
No.3747
2025/04/03
流通小売市場に関する調査を実施(2025年)

2023年の国内小売市場規模は増加
​~個人消費とインバウンド需要が回復、物価高による商品値上げも進む~

株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越 孝)は、国内の流通小売市場を調査し、現況や動向、また業種別32市場の現状と展望を明らかにした。

1.市場概況

2023年の国内小売市場規模は増加となった。新型コロナウイルスの感染症法上の位置づけが5類に移行して人流が活発化し、個人消費とインバウンド(訪日外国人客)需要が回復した。また原材料や諸費用の高騰による商品価格の値上げが続いた一年となった。商品単価が上がったことで売上は増加したものの、流通小売各社は値上げによる顧客離れを防ぐため、PB(プライベートブランド)商品の開発やAI、テクノロジーを使った利便性の向上で顧客満足度を高めようとする動きがある。エネルギー価格の高騰や人手不足への対応も急務となっており、DX等も行いながら働き方改革に注力する企業も増加した。
なお、インバウンド需要の回復を受けて高い成長率となったのは、百貨店や鞄・袋物専門店の市場であった。​一方、国内の消費者の節約意識が高まる中、引き続き存在感を増したのは、中古品販売店や均一価格ショップであった。

2.注目トピック

物価高が流通小売業界に与える影響とその対策

総務省によると2024年平均の消費者物価指数は、総合指数が2020年基準(2020年を100として)で108.5(前年比102.7%)、生鮮食品及びエネルギーを除く総合指数が107.0(同102.4%)であり、食料品やエネルギーのみならず、全般的に商品価格が上昇している。
流通小売業界に与える影響としては、物価上昇が各企業の売上高拡大には大きく寄与した。しかし、価格転嫁でコスト増をすべてカバーすることはできず、十分な利益を確保できるまでには至っていない状況であった。また、物価高が長期化するとともに、今後も物価上昇が見込まれるなかで、消費者は節約志向にいっそう傾いており、食品スーパーなどでも購入点数が減少する傾向が強まっている。食料品などの必需品以外の商品では、この傾向がさらに強くなると考えらえる。
流通小売業各社はほぼすべての分野でコスト上昇分の価格転嫁が進む中で、(1)取扱いアイテムの拡張、(2)ローカル(地域)・ドミナント戦略、(3)PB(プライベートブランド)戦略、(4)富裕層マーケティング戦略などで物価高対策を図っている。

3.将来展望

2024年も、訪日外国人客の増加だけではなく、円安傾向も影響し、インバウンド需要が拡大する見込みである。一方、ここ数年徐々に回復してきた国内需要は落ち着きを見せ始めている。物価高で日常的な個人消費は抑制されるという懸念もあり、流通小売業各社は価格訴求力を高めたアイテムの開発をしつつ、一方で高付加価値化に取り組み、新たな需要を掘り起こそうとする姿勢もみられる。2024年の国内小売市場規模は前年から微増を見込む。

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    調査要綱

    1.調査期間: 2024年11月~2025年2月
    2.調査対象: 日本国内の流通小売企業等
    3.調査方法: 当社専門研究員による文献調査

    <流通小売市場とは>

    本調査における流通小売市場は、製造業者や問屋などの中間流通業者から販売物を仕入れ、消費者に直接商品などを販売する事業を展開している、百貨店・GMS(総合小売店)・専門店・無店舗販売事業者(カタログ・インターネット通販など)などの流通小売事業者を対象としている。

    <市場に含まれる商品・サービス>

    GMS(総合小売店)、食品スーパー、百貨店、コンビニエンスストア(CVS)、TV通販、Web ・カタログ通販、ドラッグストア、家電量販店、ホームセンター、ショッピングセンター、アウトレットモール、トラフィックチャネル、総合ディスカウントストア、中古品販売店、アパレル専門店、呉服専門店、鞄・袋物専門店、靴専門店、時計・宝飾専門店、メガネ専門店、スポーツ・アウトドア用品専門店、自転車・バイク専門店、カー用品専門店、家具・インテリア・生活雑貨専門店、玩具・ホビー専門店、書籍・文具専門店、楽器・CD専門店、均一価格ショップ、酒類専門店、生鮮食品専門店、フラワーショップ、生活協同組合

    出典資料について

    資料名
    発刊日
    2025年02月17日
    体裁
    A4 491ページ
    価格(税込)
    198,000円 (本体価格 180,000円)

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    マーケティング本部 広報チーム
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