システムキッチンメーカー動向 LIXIL,タカラスタンダードの 2強体制変わらず 2019年度のシステムキッチン市場は前年比横ばいとなったものの、依然として130万戸台の高水準をキープしている。 メーカーサイドはハイレベルな差別化競争が継続しており、建物の個別性に合わせた部材や商品サイズの品揃えのほか、職人不足を背景に搬入、簡易施工といった施工性に力点を置いた商品、高意匠・高機能を追求した高級商品が大手各社から販売されている。高意匠については、人造大理石が主流のカウンタートップについて、都心の高級分譲マンションではクオーツストーンやセラミック、御影石などの高級カウンタートップをオプションとして採用することによって、他の物件と差別化を図るデベロッパーの動きも見受けられる。 一方、リフォームの観点からは、キッチンは消費者の趣味趣向に訴求しやすい商材であり、オプション機能の提案等により単価アップも図りやすい商材でもある。キッチンをきっかけに、その後、浴室、洗面リフォームへと発展することを見据え、たとえキッチン事業が赤字でも継続している事業者が少なくないのは、キッチンはリフォームの花形商材との位置づけであるからだろう。 また、今回の新型コロナ禍の影響で、メーカーは360度カメラでショールームを撮影し、顧客はオンライン上でショールームに展示されているキッチン、ユニットバスなどの商品を確認できるオンラインショールームや、パソコンやスマートフォンなどを活用して、非対面型で顧客へアプローチするオンラン接客を強化するといった新たな動きがみられる。 2019年度の企業業績については、10月以降の消費増税や、2020年に入ってからの新型コロナ禍の影響による需要減少はあるものの、9月までの消費増税前の駆け込み需要増による貯金により、増収増益を達成した企業が散見された。 住宅設備機器業界の主要プレイヤーは、建材・住宅設備機器業界のコングロマリットであるLIXIL、独自路線を貫く専業メーカーであるタカラスタンダードやクリナップ、圧倒的なブランド力を持ち、住宅用ビジネス、特にリフォーム事業に注力するパナソニック ライフソリューションズ社である。また、建材メーカー同士で緩やかな提携を行うTDY連合、家電小売業から参入しスマートハウス化やフォーム事業に注力するヤマダ電機が買収したハウステックなど。また、ノーリツは2020年7月1日付けでシステムキッチンと洗面化粧台の開発・生産を永大産業に事業譲渡する予定であるなど、業界再編の動きがある。時代は平成から令和に変わり、新設住宅着工戸数は70~80万戸台への新たな減少ステージに入り、業界再編の動きは今後も継続するものと思われる。個別企業の業績動向は以下の通り。 タカラスタンダードの出荷台数は前年比1.4%増の36万台、金額ベースは同5.1%増の1,040億円と推計。
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