2007年版 高機能包装材料市場の展望と戦略
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第1章:高機能包装材料市場の展望
「包む」というコンセプトを拡大し、閉塞感の打破へ
国内食品包材市場の長期的な縮小を想定し、海外、非食品分野への展開強化が進む
「内容物の保護」機能の追求が非食品分野への架け橋に
技術・ノウハウ、特許、ネットワーク、人材などの知的資産を棚卸しし
キャッシュインの増大を目指す
第2章:包装材料市場の動向
1.ハイバリア材料
(1)永遠のテーマであるアルミ箔代替が、残された最後のフロンティアへ
(2)アルミ箔
他素材との競争激化と製造コストの上昇により市場は低調な動き
昭和電工はアルミ箔一般事業から撤退
東洋アルミニウムが東海アルミ箔を完全子会社化へ
(3)PVDCコートフィルム
需要の減退には歯止めが掛かるも、その後は低位安定で推移
新商品向けでの採用動向が今後の需要を左右する
K-OPPはカイロ向けが牽引、K-ONyでは畜肉関連で代替需要を獲得
(4)EVOH系フィルム
バリア素材の多様化が進み、競争は激しさを増す
環境負荷の高い素材からの代替が需要拡大のポイントに
共押出多層フィルムでは参入メーカーがEVOH系の展開強化に動く
(5)PVAフィルム
PVAコートフィルムはK-OPP代替が一巡し、既存需要を囲い込む展開へ
有機無機ハイブリッドコート品ではユニチカが「セービックス」事業を譲受
耐摩耗性に優れる興人「コージン コーバリア」を加えた2製品で市場を形成へ
(6)ONy系フィルム
メーカーの相次ぐ新増設により国内・中国のONy市場は軟化傾向
ONyフィルムの国内需要は年率2~3%の伸長が続く
共押出多層品は「スーパーニール」の好調が続くも
バリアフィルムの棲み分けが進展し、市場成長は頭打ちに
さらなる需要拡大には耐ピンホール性の向上+αが求められる
レトルト食品、アルミ箔代替をターゲットに
ONyベースのハイバリアコート品が相次ぎ開発・上市される
(7)アルミ蒸着フィルム
アルミニウム地金の価格上昇を背景に、箔から蒸着品へもう一段の代替が進む可能性も
さらなる機能向上を目指し蒸着、原反メーカーの連携強化が図られる
(8)透明蒸着フィルム
国内市場の成長率は鈍化傾向に
さらなる需要拡大を目指し、メーカー各社は海外展開を強化
ガスバリア0.1cc以下、水蒸気バリア0.1g以下のハイバリアグレードの開発が進展
さらなるバリア性の追求には、他業種との連携強化が必須
PETベース品は高機能品、低価格品の投入により堅調な伸び
ONyベース品は割高感から需要は伸び悩み、コート品との競争激化の兆しも
2.シュリンクフィルム
(1)ラベル用シュリンクフィルム
PS/PET積層のハイブリットタイプによるPET系代替が顕著に
省資源・コストダウンを背景にロールラベルという選択肢が浮上
ロールシュリンクラベルは需要立ち上がりを睨み、水面下で開発が進む
北米で非PVCニーズが浮上の可能性、PS系の現地生産化が相次ぐ
PET系シュリンクフィルムはハイブリットタイプとの競合により苦戦
内需縮小が進んだPVC系ではメーカーの展開縮小が相次ぐ
(2)その他シュリンクフィルム
架橋PE系シュリンクフィルム代替として、興人が「SW101」を投入
価格、性能、包装適性の点からユーザーの引き合いが旺盛
パックセンターでストレッチタイプからの切り替え需要が増加基調
3.L-LDPEフィルム
シーラントフィルム需要は堅調推移も、一部に今後の市場縮小を懸念する声
進むメタロセングレードの汎用化、改めて問われる新規需要の開拓
トップの東セロに対し、東洋紡がONyとのセット販売でシェアを拡大
フタムラ化学もノンパウダー、易カットグレードで攻勢を強める
出光ユニテックの「エボリュー」移行により、業界のメタロセン化率は80%に上昇
無・低添加グレードはBIB、メディカル・工業用途で需要増に期待
4.OPPフィルム
2007年は「ショッキング」とされた2006年落ち込みからさらに下回る様相
この「低迷」をいかに乗り越えるか、「次」への踏み出しが重要度を増す
マスキングフィルムなど工業用途が新たなターゲットとして浮上も
クリーン環境、ロット対応など課題は山積
トップのフタムラ化学はシェアダウン、サン・トックスがシェアを伸ばす
東洋紡、グンゼもヒートシールタイプなど機能品を中心に堅調な動き
ヒートシールOPPによるCPP代替は一段落も
東洋紡は強ヒートシールタイプでさらなる用途開拓を推進
プリンター用紙などの非食品用途で、乳白グレードの需要が拡大
東セロ、東洋紡が重点グレードと位置づけ、拡販に注力
5.CPPフィルム
マスキングフィルムなど工業用途での需要拡大を受け、各社の設備増設が相次ぐ
各社の設備増設が出揃う2008年以降、一時的にはオーバーサプライの兆しも
食品包装では供給不足からカウンターパートを模索する動き
キャストVSインフレという新たな競争要因が浮上の可能性
マスキングフィルム向けは東レが先行も、フタムラ、東洋紡、サン・トックスが追随
単体包装分野ではDICがパン包装でシェアを拡大
レトルト向けで東洋紡、出光ユニテックが東レフィルム加工の牙城を切り崩す
6.イージーピールフィルム
需要は食品包装からメディカル、エレクトロニクスへと拡がるも
ニーズ対応力でメーカーに成長格差、改めて問われる市場開拓の姿勢
DICが耐熱対応を強みにレトルト用途で攻勢、東セロは足踏み状態
PET用ではメディカル用途での需要取り込みが焦点
キャリアテープ向けではPC用のニーズが浮上
7.鮮度保持包装
(1)防曇フィルム
防曇フィルムはトレー・ラップ包装からの移行を背景に堅調な推移を示す
(2)ガスコントロール包装
住ベ「P-プラス」が幅広い需要を抑え、圧倒的な強さをキープ
農産物向けは「食の安心・安全」の確保がアピールポイントに
カット野菜向けはさらなる需要拡大へ
第3章:有力包装材料メーカーの展望と戦略
大日本印刷株式会社
機能性に優れたパッケージと総合的なコンサルティングサービスを
幅広いユーザーに提供
機能性、環境対応性を追求した製品の需要が着実に拡大
透明蒸着フィルム「IB」はCVD法による「柔らかさ」を活かし好調を維持
レトルトパウチでは利便性、意匠性の向上に取り組み、マーケット活性化を推進
アセプティック充填による軟包材はタレ・ツユを中心に採用商品が順調に拡大
包材・充填システムのトータルサポートで、口栓付きパウチ、BIBを拡販
OPP使用の感熱ラベルを製品化、ユーザーサイドのロールラベル化をフォロー
2006年10月に「バイオマテック」を販売開始、包材の「植物度」アップに取り組む
凸版印刷株式会社
ハードからソフトに至る、総合的な顧客支援体制が強み
これまでの知見を活かし、ユニバーサルデザインの取り組みを強化
「アクティブパッケージ」を切り口に水分吸収機能付き軟包装材を上市
中国をはじめとする海外市場を成長基盤と位置づけ展開拡大を推進
透明蒸着フィルム「GL」は輸出を牽引役に高い伸長率が続く
後発の電子レンジ対応レトルトパウチでは「安心・安全」で差別化
スタンディングタイプも戦列に加え、レトルトパウチ市場の活性化に力を注ぐ
ラベラーメーカーとのタイアップによりPO系のロールラベル投入を準備
東レフィルム加工株式会社
品質、技術力、アフターケアなどの総合力を活かし収益性の向上に取り組む
アルミ蒸着フィルムは輸入品による販売てこ入れによりシェアを高めるも
06年には海外の能力・レートの悪化により汎用品の販売にブレーキをかける
透明蒸着フィルム「バリアロックス」では07年から輸出をスタート
ハイバリア領域の製品も上市し、さらなる用途拡大を狙う
尾池パックマテリアル株式会社
高度な蒸着技術をコアに包材市場でのプレゼンスを高める
05年6月に包装材料の専門事業会社として尾池工業から分社化
超低温ヒートシール性を特徴とするアルミ蒸着CPP「ピーブライト NSX」を06年秋に上市
透明蒸着「MOS」シリーズでは07年2月にバリアシーラントを製品化
株式会社麗光
さらなるハイバリア化の追求により、非食品分野の展開強化を目指す
既存の商権を維持し、包装材料部門の売上高は底固く推移
アルミ蒸着フィルムはペットフード包材向けにPETベース品の需要が好調
透明蒸着フィルムでは07年夏にハイバリアグレードを上市
株式会社サンエー化研
機能性を持たせた包材の開発と非食品分野への展開を強化
05年9月にプロテクトフィルムの専用工場が竣工
軟包装部門の生産体制の効率化を目指し、06年3月には札幌工場を閉鎖
電子レンジ対応袋「レンジDO!」は冷食向けに採用が拡大
「サンシール」シリーズではコストダウンを実現した「MS-RH」を上市予定
住化プラステック株式会社
イージーピールシーラントのスペシャリスト
メディカル、電子分野などの横展開にも取り組み、さらなる事業拡大へ
2007年は大型テーマが実り、出荷量の倍増を見込む
海外需要の取り込みとして、押出ラミ用での展開にも着手へ
住友ベークライト株式会社
MA包装のリーディングカンパニーとして、顧客の裾野拡大を推進
「P-プラス」は柑橘類など新たな用途の開拓が進む
家庭用ジッパー袋は機能性のアピールに取り組む
ダイセルバリューコーティング株式会社
培ってきたコーティング技術を基盤として、Kコート品の積極展開に転じる
バリア性能とコストとの良好なバランスを活かし、K-OPは他素材から商圏を取り戻す
PVA系コート品は年間100t程度の上乗せで推移
有機無機ハイブリッドコート品では微減推移を予想
東洋紡績株式会社
生活安全から環境、そして電子・情報表示へ
包装用フィルムの事業領域拡大を重点化
防曇、パール調、高ヒートシール強度タイプを特殊品と位置づけ、拡販に注力
工業用途での展開強化として、マスキングフィルム向けでも動き出す
ハイレトルト対応グレードが好調、低温衝撃性向上などさらなるグレードの作りこみを推進
ONyとのセット展開を強みに、液体スープ向けのノンパウダーグレードを拡販
メディカル用途やBIBでの需要取り込みを見据え、低添加グレードの開発を推進
上海ナイロンフィルムは06年苦戦も、07年には需要が上向きに
透明蒸着フィルム「エコシアール」はバリア性と加工適正の向上に努め
ONyベース、PETベースともに需要は好調
PETフィルムでは工業用が躍進、包装用は現状維持の姿勢が強まる
ハイブリットタイプ対抗品の開発に注力、改めて飲料用途での拡販を目指す
東セロ株式会社
多層共押出、延伸、コーティングなどの基幹技術を高度化させ
さらなる事業領域拡大を目指す
高付加価値品の拡販とコストの低減化に取り組み、包装用フィルム事業の業績は堅調推移
OPPフィルムでは乳白グレード及びオーバーラップ向けの「OW-1」を重点強化
06年にハイバリアフィルム「マックスバリア」のサンプル提供を開始
高い酸素バリア性能を活かし、メディカルや工業用途への展開を視野に入れる
「ピュアテクト」専用系列に加え、08年12月稼動を目途にCPP設備も増設
レトルト用CPPフィルムは横ばい、今後はメディカル用途での展開に注力
イージーオープンフィルムは無菌米飯向けに加え、非食品用途で出荷増
「T.U.X」は詰め替え用を中心に堅調推移、易カット性も出荷増
アルミ蒸着フィルムは輸入品との競争激化でシェアを落とすも、07年には回復基調へ
フタムラ化学株式会社
ユーザーへの安定供給など、ぶれない軸が強み
CPPフィルム設備の増設に着手、2007年秋口の稼動を予定
併産分の置き換えにより、L-LDPEフィルムも実質増産へ
OPPフィルムは2005年、2006年と需給逼迫化の反動から出荷減
2008年までに「太閤」ブランドへの一本化を完了予定
OPP/EVOH/OPP「エコフィルム」は横ばい推移も
バリアフィルム材では共押出品に軸足をおいて展開を強化
CPPフィルムはホモグレードが工業用で順調に増加
食品包材向けではレトルト分野での需要開拓を課題と位置付ける
L-LDPEフィルムはノンパウダー、易カットなどラミ用グレードが牽引し出荷増
縦横カット可能な新規易開封グレード「LL-MTNST」は順調に採用が立ち上がる
07年2月にPETフィルム向け新ラインが稼動を開始
主力の包装用に加え工業用での展開を視野に入れる
タマポリ株式会社
品質、価格、納期、サービスなどあらゆる面から顧客満足度の向上を追求
売上高は2006年度に200億円の大台を突破も一通過点
工業材の拡大、海外市場への展開強化を柱にさらなる成長を志向
栃木工場の再稼動をはじめとする一連の設備投資により、PEフィルム生産量は国内最大級に
「カーボン・ダイエット」に効く「マルチトロン」は海外市場での展開を先行
「マルチトロン」を足掛かりに、PP系フィルムも戦列強化へ
L-LDPEフィルム出荷量は微増推移も、2007年は横ばいもしくは微減を見込む
LDPEフィルムは各種工業材での需要増を受け2桁以上の伸びを見せる
出光ユニテック株式会社
機能重視の差別化展開を深耕
2006年頭にインフレ設備を増設、「ユニクレスト」の増産体制を強化
直線カット性ONyフィルム「ユニアスロンTB」はレトルト食品向けが順調
レトルトグレードが好調で、CPP出荷量は微増傾向
レトルト、着色グレードをターゲットにPP系インフレフィルムの開発を推進
インフレグレードが牽引しL-LDPEシーラントフィルムは堅調推移
ニーズ対応力を活かしBIB、詰替パウチなどで採用を伸ばす
ケーエフフィルム株式会社
シーラントフィルム専業メーカーとしての生き残りを目指しグレードの大幅拡充に乗り出す
ノンパウダー化、易カット性など、注力テーマの位置づけとその他開発の推進
メタロセングレード「HRシリーズ」は品質・性能に対する評価がマーケットで定着
高剛性でありながら低温シール性を持つ「HR611」を開発
クラレトレーディング株式会社
バリア材料としてのさらなるプレゼンス強化に取り組む
レトルト食品包装用「クラリスタC」「クラリスタN」を相次ぎ上市し
アルミ箔代替の展開を加速化
非食品分野では壁紙用グレード「HF-ME」が堅調
ユニチカ株式会社
「エンブレム」のグローバル展開の強化と
バリア包材分野でのビジネス拡大に取り組む
05年6月にエンブレム・チャイナが稼動を開始
世界市場へのさらなる「エンブレム」ブランド浸透を推進
06年4月に有機無機ハイブリッドコートのガスバリアフィルム事業を譲受
07年にはレトルト対応のONyフィルム「エンブレムNV」の試験販売を開始
K-PET「エンブレットDC」は輸出を中心に横ばい推移が続く
グンゼ株式会社
積層化技術を核とした差別化展開に注力
2006年4月より非包装分野をターゲットとしたPOシート「ファンクレア」を本格販売
中国に続き、米国でも2004年11月より「ファンシーラップ」の生産を開始
2006年2月にPS/PET積層の「ハイブリットスチレンタイプ」を市場投入
PET系シュリンクフィルム代替としてホット飲料などで採用を相次いで獲得
共押出多層ONyフィルム「HEPTAX」では耐ピンホール性の向上を重点化
2007年3月に耐摩擦性と耐屈曲性とを両立させた「HF」を上市
OPPフィルムでは防曇タイプ、機能性シーラントタイプなどの特殊品がトータルの85%
機能性シーラントタイプ「フレッシュトップ」はインモールドラベル向けで需要増
シーアイ化成株式会社
一歩先の開発・マーケティングを国内外で推進
北米拠点「BAC」ではPS系を戦列に加え、非PVCニーズをフォロー
ロールラベル向けでの需要を見据えた開発を推進
株式会社興人
事業拡大に向けた新規・改良グレードの投入を積極化
2006年10月に三菱商事がTOBを実施、興人を連結子会社化
海外市場での展開拡大に向けた連携強化を志向
2007年春に性能と包装機適性のバランスを高めた「SW101」を市場投入
架橋PE系シュリンクフィルム代替の戦略グレードと位置づけ、拡販に注力
業務用ラップシュリンクフィルムではCVS向けの「SG21」が好調
折り込み包装用は07年内に改良グレードを投入予定、課題のパックセンター向けを強化
ONy「ボニール」は強度特性やバランス性、柔軟性が評価されフル生産が続く
ハイブリットコート品「コージン コーバリア」ではレトルト食品分野への展開を視野に入れる
サン・トックス株式会社
技術力・スピーディーな開発力を活かしたニッチテーマの育成に注力
関東工場で3層共押出キャスト設備を増設、2008年春の稼動を予定
OPPフィルムは防曇、片面ヒートシールタイプを中心に出荷増
CPPフィルムはラミ用、イージーピールタイプ、容器貼合用を中心に採用拡大
容器貼合用はOPP、CPPともにCVS向け容器で採用を獲得
大日本インキ化学工業株式会社
「DIFAREN」は機能重視の展開で安定した伸びを見せる
主力の食パン包装向けは包装適性などが評価され、他社からの置き換えを取り込む
PP・レトルト向けをターゲットにイージーピール用グレードを大幅拡充
パック米飯に加え、メディカル用途でも採用を積み増す
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