2009年版 透明導電性フィルム市場の現状と将来展望
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透明導電性フィルム市場の動向と展望について調査・分析した。未曾有の金融危機だと叫ばれるが、こうした厳しい経済状況をどう乗り切るかが今後のポイントとなる。注目市場を把握する為の市場調査レポート。
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第1章 透明導電性フィルム市場の動向と展望
「いま」をどう乗り切るかで真の明暗が決まる
材料及びビジネスモデルの「リビルド」で次のステージにつなぐ
「最低価格で適正性能」を実現する電磁波シールド材の開発が急務
アイコンシート付TPが上部基板市場の構図を変え得る
デファクトスタンダードなき静電容量TP用ITOフィルム市場
両面ITOフィルム、ウェットコート等で巻き返しを図れ
第2章 主力需要分野における透明導電性フィルムの市場動向と展望
1.PDP関連の動向
[1-1]光学フィルター市場
「安く作るのも技術」、2009年は「ファイターモデル」向けの戦いが激化
リーマン・ショックによるPDP-TV市場への影響は軽微にとどまる
実需回復がカギを握るが、2009年の光学フィルター市場は前年比1ケタ増の可能性も
(図表)光学フィルター市場推移(2006~2011年予測)
(表)PDP光学フィルターメーカー販売量・シェア推移
(図)PDP光学フィルターの市場規模およびメーカー販売量・シェア推移
低価格な「ファイターモデル」向けの獲得により、量的拡大につなげ
縮小傾向にあったF/F市場は超薄型TV向けの登場で再び拡大に転じる
PDP-TVメーカーは消費者への絶え間ない「新たな提案」に加え
サプライヤーへの市場成長性を逐次提示し、リードし続けることも重要に
(表)光学フィルター及び電磁波シールド材の価格推移(予測)
(表)PDPメーカーにおける部材調達先(2009年春見込み)
[1-2]電磁波シールド材市場
ボリュームゾーン向けの材料間競争が激化
従来課題をブレイクスルーするメッシュ開発も始まる
2008年のEMIシールド材市場は前年比2ケタ増、2009年は同1ケタ増にとどまる公算が大
(図表)電磁波シールド材市場規模推移(2006~2011年予測)
(表)光学フィルター用電磁波シールド材 タイプ別市場規模および構成比推移
(図)光学フィルター用電磁波シールド材 タイプ別市場規模および構成比推移
2010年のタイプ別EMIシールド材市場は、メッシュ70%:スパッタ30%へ
ただし、ユーザーの設計思想の変化はメッシュメーカーにもチャンスをもたらす
エッチングメッシュは低価格対応製品の開発が進展し始める
一方で、ハイエンドに特化するという戦略も有効策の1つ
(図)タイプ別エッチングメッシュ
銀塩メッシュが特定ユーザー向けで過半を占めるまでに成長
銀塩メッシュや印刷メッシュが台風の目となる可能性も
スパッタタイプはSCPのみならずAGCも比率向上を推進
今後はLG化学がスパッタガラスを調達開始
(表)タイプ別電磁波シールドフィルム 需給相関表(2009年春見込み)
(表)電磁波シールド材のメーカー別販売量推移(自消用含む)
(図)電磁波シールド材のメーカー別販売量推移(自消用含む)
2.ITOフィルム関連の動向
[2-1]タッチパネル市場
タッチパネルの進化と多様化に対応して新ビジネスモデルの構築も課題
(1)抵抗膜方式タッチパネル
抵抗膜TP市場は携帯電話向けが牽引し拡大基調
2008年はユーザーサイドの生産調整が影響し伸び率が鈍化
(表)抵抗膜方式TP メーカー別売上高及びシェア推移
(図表)抵抗膜方式タッチパネル市場規模推移
アプリケーション別市場動向
ここ数年市場を牽引してきたPNDがスマートフォンへの機能集約も
(1)PDA
(2)スマートフォン・携帯電話
(3)ポータブルゲーム機
(4)カーナビ及びPND
(5)デジタルスチルカメラ及びカムコーダー
TPタイプ別の市場動向
日本写真印刷のF/F/P(タッチウインドウタイプ)が伸長
(1)G/Gタイプ
(2)F/Gタイプ
(3)F/F/Gタイプ
(4)F/F/Pタイプ
(5)F/Pタイプ
(6)F/Fタイプ
日本写真印刷は「意匠フィルム」でTP事業のビジネスモデルを変える
FCLが導電性ポリマーフィルムを使用したTPの2009年度中の本格採用を目指す
2009年の量産を目処にアルプス電気がZnOを使用したTPを開発
(表)TPメーカー生産拠点及び事業概要
(表)タッチパネルメーカーのタイプ別構成比と主要部材サプライヤー
(2)静電容量方式タッチパネル
2007年度は投影型を中心に需要拡大、市場規模は前年度比200%以上を示す
いま現在の用途のみならず、新規用途でデファクトスタンダードを確立することも重要に
今後も携帯電話を中心に需要が拡大
次なる用途は、デジカメ、PMPに加え、さらにカーナビやPCなども視野に
東プレが表面型の技術を応用し「Inner Capacitive」を開発、
中型ターゲットに展開を図る
電磁誘導方式に特化してきたワコムが参入、「Windows7」対応PCへの搭載を目指す
[2-2]ITOフィルム市場
小型TPの搭載率向上、韓国メーカーの台頭、静電容量方式の拡大で
「デファクト化競争」は再スタートへ
2008年度のITOフィルム市場は伸び率が鈍化も前年度比4.6%増が推定される
モバイル用途におけるTP搭載率増加に伴い各社小型用途向けに注力
アプリケーションの拡大によりITOフィルムに求められるスペックも多様化
台湾、中国への出荷が多くを占めるも、韓国におけるITOフィルムの国産が本格化へ
静電容量方式TPがITOフィルムの需要拡大を牽引していく可能性も
フィルムセンサーのスタンダード化を目指す
(図表)ITOフィルム市場規模(2005年度~2010年度予測)
(表)Roll to Rollによるフィルムへの主要スパッタリングメーカー
(表)ITO膜のTP適性およびメーカー別ラインナップ状況
(表)ITOフィルムメーカー 販売量・シェア推移(全体)
(表)TP向けITOフィルムメーカー 販売量・シェア推移
(図)TP向けITOフィルムメーカー シェア推移
3.特別調査
[3]導電性ポリマー市場
スペック競争が導電性ポリマーのポテンシャルを広げる
同時に「いまの実力」に見合った用途拡充も重要に
2009年4月にEDOT使用のコンデンサーに関する基本特許が期限切れ
モノマー、酸化剤等で新規参入メーカーが増加の見込み
PEDOTをベンチマークに、ポリアニリン系、ポリピロール系が優位性を訴求
(表)各種導電性ポリマーの比較
導電性ポリマーにも世界不況が影響、コンデンサーやLCD用途で厳しさが増す
(表)導電性ポリマーメーカー販売量推移(世界需要;自消分含む)
液状から固体化へと進むコンデンサー、さらにその先への進化にも注目が集まる
17インチ以上のプロテクトフィルムで界面活性剤系の採用が進む
半導体関連では最先端プロセスに必要不可欠との声も高まる
OLED用はディスプレイのみならず、照明向けでの需要創出にも期待
PEDOTの最高導電率は750S/cmへ、1,000S/cmの達成も視野に入る
対ITOでは、導電性ポリマーであるメリットを活かした展開の検討が進む
第3章 透明導電性フィルム関連メーカーの動向と戦略
日本フイルコン株式会社
PDP向けに加え、新規用途開拓にも積極的に注力
凸版印刷株式会社
新規エッチングメッシュの開発によりユーザーの低価格化要求への対応を目指す
顧客との関係の維持・強化により、2009年下期からの回復を見込む
新規エッチングメッシュの開発では材料面から徹底的に見直す
富士フイルム株式会社
銀塩メッシュの優位性を武器に、50型向けでの採用拡大を推進
2008年夏に生産性向上、次期能力拡充は2010年度以降を予定
PDP向けの販売量拡大とともに、新規用途開拓にも注力
ユーザーの要求する抵抗値に応じたラインナップ拡充を検討
DONGJIN SEMICHEM Co., Ltd(東進セミケム)
2010年の電磁波シールド材市場シェア20%を目標に事業拡大を推進
2009年の新規設備投資を検討、市況が回復すれば既存能力の倍への拡充も視野に入れる
価格及び品質競争力を高め、電磁波シールド材でのマーケットシェアの向上を目指す
尾池工業株式会社
後結晶タイプ「KHシリーズ」が静電容量方式TP向けで引き合い増加
2008年5月期売上高はITOフィルムを含めたLCD関連材料が好調、前期比19%増を達成
2009年5月期は2008年10月以降の需要減が影響し前期比10%減程度を見込む
TP用ITOフィルムの生産工程におけるトータル設計技術と
3種類のITO膜質ラインナップに強み
帝人化成株式会社
帝人グループ全体で新規透明導電材料、基材に関する開発を進める
位相差機能付きPC-ITOフィルムが携帯電話向け低反射タッチパネルに採用獲得
PETベース品では耐指紋性、耐久性を向上させ上部基板での拡販に注力
東洋紡績株式会社
小型TP向けITOフィルムの開発を推進、2009年度は5万㎡の出荷を目指す
株式会社鈴寅
スパッタ専門メーカーとして独自のポジションを確立
ITOフィルムは自社品で認知度向上を図るとともにOEMで各種開発に取り組む
2008年8月期の売上高はフィルム事業が牽引し前期比30%弱の増加
現期についても同25%増の成長を見込む
透過率90%以上の高透過率グレードに特化
2009年以降は大型用途の抵抗膜方式TP及び静電容量方式TP向けで拡販を図る
TDK株式会社
転写方式のITOフィルム/プレート「フレクリア®」「FLECLEAR®」
タッチパネル向けはプレートで実績、フィルムも拡販へ
極薄フィルムから厚物まで多様な樹脂基材に対応
機械耐久性と高い屈曲性も評価される
ITOプレートの販売量が多くを占める、2009年度以降はITOフィルムの拡販に注力
SKC Haas Display Films Company. (SKCハース)
市場環境の変化にフレキシブルに対応し、今後も継続的な事業拡大を図る
2009年末に新規設備導入予定、生産能力は150万㎡/年にまで拡大
高透過製品の開発及び機能性フィルムの量産拡大
ITOフィルムに加え、導電性ポリマーフィルムをラインナップに加える
HanSung Ind Co., Ltd. (ハンソン産業)
韓国で最も古いITOフィルムメーカーとして、品質面での差別化を推進
2008年10月にスパッタ装置を新設、2009年以降からの本格的な量的拡大を目指す
DigiTech Systems co., Ltd. (デジテックシステムズ)
ITOフィルムの内製によりTP事業の競争力強化を目指す
2009年上期からは抵抗膜のみならず静電容量用にもITOフィルムの内製へ
ITOフィルムの外販を視野に入れるも、現在はTPラインナップ拡充に注力
MAXFILM Corporation(マックスフィルム)
フィルムへのスパッタ加工を基軸に、コンバーティングビジネスの拡大を追求
2009年第3Qに新規スパッタ装置を導入、旧ラインはウィンドウフィルム用に転用
中国・台湾向けのみならず、今後は品質向上により韓国ユーザー向けに拡販
NAWOOTECH CO.,LTD. (ナウテック)
ITOガラスで培った技術を活かし、ITOフィルム市場に参入
ITOフィルムは2009年下期からの本格採用を目指す
ITOガラス事業に加えITOフィルム事業の創出により、さらなる業績向上を追求
ジオマテック株式会社
タッチパネル用ITOガラスは静電容量方式向けの売上比率が向上
2008年度にフィルム用Roll to Roll設備を導入
蓄積された膜設計のノウハウを活かし量産化の技術確立に向けた対応に取り組む
新日鐵化学株式会社
高耐熱透明材料「シルプラス®」フィルムを本格事業化
2009年4月に商業生産を目的としたフィルム工場が60万㎡/年規模で稼動
薄肉・高強度、ガラスライクな質感などを活かし前面板向けでの拡販を見込む
メディカルや建材など電子機器以外への横展開にも着手
第4章 透明導電性フィルム関連ユーザーの動向
旭硝子株式会社
「供給力」「高品質」「低価格」の総合力を武器にシェア拡大を目指す
2009年におけるFHD機種向けの販売比率は半分にまで向上する見込み
スパッタフィルムは2009年に全体の25%にまで拡大する可能性も
東レフィルム加工株式会社
2009年よりハイエンド機種向けに光学フィルターが本格採用
フィルムフィルターはユーザーから緩衝シートが評価される
反射防止フィルム「ルミクリアSF」は2009年中に反射率0.4%品に統一
Samsung Corning Precision Glass Co., Ltd.
スパッタガラスのユーザー拡大により、さらに販売量拡大へ
世界不況の影響を受け、2009年下期のスパッタライン新設は延期
2009年には50型FHD機種向けでもスパッタガラスによる光学フィルターの採用へ
LG Chem, Ltd.(LG化学)
光学フィルターは大型サイズへとシフトし、利益率の改善を推進
反射防止フィルムの内製、スパッタガラスの調達により、コスト競争力の向上を図る
SKC Haas Display Films.(SKCハース)
トップ3のセットメーカー向けの販売力強化で順調な成長を目指す
2009年の市況を見極めながら必要に応じて増設を検討
反射防止フィルムやNIRA等の部材内製によりコスト競争力向上を図る
SSCP Co., Ltd.
2010年に韓国光学フィルター市場でシェア20%の達成を目指す
2008年下期から量産開始、2010年に新規増設も検討
部材内製に伴うコスト競争力を武器に、MOG仕様のG/F拡販に注力
日本写真印刷株式会社
フルライン戦略によりタッチ入力デバイスの多様化に対応
トータルデザインの提案力に強み
2007年度はグローバル規模で需要が拡大し、前年度比160%の高成長率
2008年11月に中国工場の稼動開始、能力は1,100万枚/月へ
抵抗膜方式の新規案件にはF/F/Pを提案、出荷構成比は90%を占める
2006年10月より静電容量方式TP(フィルムセンサー)もラインナップ
ユーザーとの密接な対話のうえ適宜チューニングを行う
携帯電話のデザイン向上に寄与、グラビア印刷で豊かな表現力をみせる
パナソニック エレクトロニックデバイス株式会社
カーナビ、モニター、PND用等の国内外でさらに広がる車載用途に注力
グンゼ株式会社
台湾での生産・販売体制を強化
ITOフィルムの生産からLCD組み立てまでの一貫体制を構築
N-trigとの協業本格化により静電容量方式TPの販売量が増加
今後はモジュール販売も視野に
特長ある各種タッチパネルをラインナップ
LCD一体型タッチパネルが優れた視認性を活かしDSC向けで好調
富士通コンポーネント株式会社
専用コントロールICやプロテクトシート付きなど付加価値品の拡大に注力
2007年度のタッチパネル事業売上高は前年度比20%以上増の55億円を達成
2008年度はカーナビ向けの需要減により横ばいから微減を見込む
4線式、7線式に加え5線式も新たにラインナップの予定
車載向けでは低反射用の特殊コーティング剤を選択し反射率2%の実現へ
導電性ポリマーを使用したTP、優位性を活かし2009年度中の本格採用を目指す
第5章 導電性ポリマーメーカーの動向
エイチ・シー・スタルク株式会社
世界トップの導電性ポリマーメーカーとして性能向上を追求し
導電性ポリマーの市場成長をリード
導電率750S/cm達成、2009年の早い段階に1,000S/cmの実現を目指す
コンデンサー及びプロテクトフィルム向けで需要が減少
ただし、2010年には2008年レベルにまでの再成長を図る
日本カーリット株式会社
新製品開発スピードを加速させるとともに、
新たなドーパントや酸化剤等の拡充によりシェアの維持・拡大を追求
2009年度中にポリピロール新規設備の完工へ
分散液では有機溶媒に加え、新たに水分散液を開発
従来以上のポリピロールの微粒子化を活かし、コンデンサー向けを中心に拡販
色素増感型太陽電池の白金代替としてポリアニリンを開発
コンデンサー向けの需要が減少するも、今後も技術志向型の展開に軸足を置く
三菱レイヨン株式会社
他社にはない水溶性の特長を活かし、事業領域の拡大を推進
低抵抗化に向けた開発を加速、2010年度を目処に104Ω/□の実現を目指す
最先端の半導体チャージアップ防止向けでは、市況悪化の影響が軽微にとどまる
22nm等の最先端プロセスでは「aquaSAVE®」が必要不可欠となる可能性も
日産化学工業株式会社
水分散液で400S/cm達成、今後も溶媒分散液含め高導電化の開発に注力
新たに「HKシリーズ」を開発、ユーザーからは高導電化の実現が評価される
今後も溶媒分散及び低沸点対応力の強みを武器に差別化を推進
ポリアニリンは2009年2月に無機材料事業部に移管
現在はITO代替のみならず無機材料ユーザーにもワークを進める
出光興産株式会社
溶解可溶型の強みを活かし、他社にないオリジナル品としての展開を追求
ポリアニリンで300S/cmの導電率を達成
今後は更なる高導電化に加え、多様なニーズに対応した開発・改良を推進
アキレス株式会社
「STポリ」は高いクリーン度を活かし特定用途で圧倒的な強み
安定性、UV対応、耐摩耗性の性能アップに加え
原材料調達コストダウンによる価格競争力の強化を図る
主力のHDD用FPC向けは2008年12月~2009年1月頃から需要低迷に歯止め
2010年以降はHDD用に加え、フィルム向けの需要拡大を見込む
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