2010年版 リチウムイオン電池部材市場の現状と将来展望~正極材編~
近年、リチウムイオン電池はこれまでメインであったポータブル機器向けから、自動車、電動工具、電動自転車/バイク、産業機器、スマートグリッド関連、UPS向けなど、中・大型アプリケーション向け需要が立ち上がりつつあります。アプリケーションの広がりに従い、リチウムイオン電池もさらなる性能の進化が求められ、新規材料の採用も増加しつつあります。また、市場拡大に伴い、海外勢を含めた新規参入メーカーも増加しております。本年版から、成長著しいリチウムイオン電池材料市場を部材ごとに編集し、取材対象先の増加、調査項目の深堀を行いました。本調査レポートでは、正極材市場をレポートいたしました。
※紙媒体で資料をご利用される場合は、書籍版とのセット購入をご検討ください。書籍版が無い【PDF商品のみ】取り扱いの調査資料もございますので、何卒ご了承ください。
調査資料詳細データ
調査目的:国内および韓国、中国の有力リチウムイオン電池(以下LIB)正極材料メーカー16社の現在の動向と今後の事業施策を徹底調査し、更に周辺調査を加えることで世界LIB正極材料市場の現状と今後の動向を把握することを目的とする。
調査対象:国内正極材関連メーカー(12社)、中国正極材メーカー(2社)、韓国正極材メーカー(2社)
調査方法:直接面接取材をベースに、文献調査を併用。
調査・分析期間:2010年9月10日~2010年11月25日
■本資料のポイント
- リチウムイオン電池正極材市場規模を算出。(2008年~2012年予測)
- メーカーシェアを算出。(金額、数量ベース。2008年~2010年見込)
- 参入メーカー(16社)の戦略を分析。
- 海外主要メーカー動向。
■本資料の概要
第1章 正極材市場の展望
第2章 LIB市場の現状と将来展望
第3章 正極材市場
第4章 正極材メーカーの動向と戦略
■掲載内容
第1章 正極材市場の展望
第2章 LIB市場の現状と将来展望
第3章 正極材市場
1.正極材市場全体動向
2.コバルト酸リチウム(LCO)
3.三元系正極材(NCM)
4.マンガン酸リチウム(LMO)
5.ニッケル酸リチウム(NCA)
6.リン酸鉄リチウム(LFP)
第4章 正極材メーカーの動向と戦略
Umicore.SA
韓国の「生産力」、中国の「コスト力」に日本の「技術力」が加わる
韓国、中国に続き、2011年に神戸に新工場、テクニカルセンターを建設
2010年度は前年度比114.0%の見込み、材料別では三元系の比率が上昇傾向
中大型向けでは「製品の差別化」と「コストリーダシップ」の両立がカギ
LIB to LIBのリサイクルシステム「クローズドループ」も2011年開始予定
湖南杉杉新材料有限公司
中国トップクラスの正極材メーカー、グローバル展開を見据えた提携も進む
2008~2010年度で各種正極材の生産能力を増強
2011年度は生産能力計12,000t/年の計画
出荷計は2009年度で前年度比143.7%、2010年度は152.0%を見込む
LCO比率は減少、LMO、NCMが徐々に増加傾向に
正極材、負極材、電解液を取扱うシナジーも材料開発、材料提案の強み
戸田工業との提携で今後は正極材ラインナップの拡充も
中信国安盟固利(CITIC GUOAN Mengguli:MGL)
中大型向けをターゲットに今後はLMO中心の展開を想定
2008~2010年度で各種正極材の生産能力を増強
今後2~3年内で更なるスケールアップの可能性も
出荷量では8割を占めるLCOがメイン
2008~2010年度にかけてLMOの出荷比率は上昇傾向
グループ企業のセルメーカー、中信国安盟固利動力科技有限公司では
大型セルにターゲットを絞った開発が進行中
株式会社L&F新素材
韓国有数の正極材メーカー NCMでは世界トップクラスの出荷量
セカンドベンダーとしての役割を忠実に実行
NCMが主力も、ここ1-2年はLCO需要が増加
車載、高容量向けを念頭に生産能力増強
NCMは高容量化、LMO、LFP、負極材のLTOも開発対象に
株式会社三徳
究極のコバルト系でニッチ分野に特化
生産能力は順次拡大傾向、2010年度では2,400t/年に
前駆体の粒径サイズコントロール、機能性付与のドーピング技術に強み
2008年度以降、ラミネート形LIBの市場拡大を受け出荷量は前年度比約140%で推移
中大型用途向けでは産業機器などターゲットにニッチを極める
長期的には負極合金との組合せによる提案も視野に
AGCセイミケミカル株式会社
材料の使いこなしで顧客ニーズに対応
老舗のノウハウを活かし、大型向けに三元系の提案も進める
前駆体を同品質に仕上げる独自技術で、コスト競争力に強み
高性能セル向けをメインに採用実績、2010年度は2008年度並みまで回復の見込み
品質維持とコスト競争力強化の両立で、コバルト酸リチウムの更なる拡販を目指す
足場固めの後は、大型向けに三元系での飛躍を図る
日本電工株式会社
マンガン酸リチウムのトップメーカー
世界最大規模の生産体制を構え、中大型向けに更なる注力を図る
2010年、2011年の新工場建設により生産能力は世界最大規模の6,700t/年に
2010年度は前年度比400.0%で2,000tの見込み
2011年度以降も新工場の稼動を受け、引き続き大幅な伸びが期待される
トップシェア維持を目指し、マンガン酸リチウムの更なる高性能化も視野に
戸田工業株式会社
中大型用途への適用拡大を見据え、生産拠点の海外進出を積極展開
国内は2012年に計5,100t/年の計画、北米では新工場が2011年操業開始予定
NCAは水分およびアルカリ度の調整、三元系は高容量タイプの商品化に開発の主眼
材料提案力の引き上げで顧客との密な関係構築を目指す
2009年度は前年度比110.7%で推移、2010年度は横ばいの見込み
コバルト酸リチウムは生産終了、ニッケル酸リチウムが出荷のメインに
供給量増に向けた原材料の安定調達には商社との連携で対応
更なるグローバル展開を見据え中国では湖南杉杉新材料有限公司へ共同出資
日本化学工業株式会社
材料特性を活かし、機能品としてのLCO、三元系展開に注力
サプライチェーンマネージメントを強みに
品質維持とコスト競争力強化の両立を図る
モバイル端末向けの伸びを要因に2010年度は前年度比115.1%、1,370tの見込み
引き続き民生ポータブル機器向けを主軸に、高付加価値分野への特化を図る
株式会社田中化学研究所
独自の製造技術による高品質な前駆体に強み
三元系で中大型向けに更なる飛躍を図る
2011年の新工場完成により、三元系生産能力は14,000t/年に
独自の異種元素共沈技術で安定的な結晶構造を持つ三元系正極材を実現
正極材ではコバルト比率が急速に減少、替わって三元系が2009年度175.4%の伸び
前駆体を含む全体出荷数量では2009年度121.2%成長、2010年度は横ばいの見込み
豊富なバックデータを強みに顧客ニーズへの迅速な対応を図り
2~3年後を見据え、自動車向けに三元系の採用拡大を目指す
本荘ケミカル株式会社
リチウムの国内最大手でもある正極材の老舗メーカ
材料提案力を強みに幅広い顧客へ供給
リチウムの取扱いに独自のノウハウ、顧客ニーズに応じた使い分けに対応
マンガン酸リチウムでは低コストを実現した次世代品種を開発
出荷量は2010年度で2008年度並みまで回復の見込み
コバルト比率は減少、三元系が増加の傾向
自社の強みを活かせる様々な方向性で次なるステージ展開を検討
三菱化学株式会社
主要4部材を扱う世界唯一のメーカー
コバルト低減の三元系を武器に、自動車向けの展開を本格化
2010年10月より2,200t/年、2015年には国内で15,000t/年までの能力増強を予定
研究開発の主眼は5V級の高電圧LIBの実現
リチウムイオンポリマー電池の製造で蓄積した安全評価のノウハウも強み
2010年度は生産能力のデボトル増強を経て前年度比375.0%、900tの出荷見込み
オンリーワンの三元系で性能面、コスト面から数年後の採用拡大を狙う
電解液とのシナジーも強み、欧米の自動車メーカーによる認定取得も推進
日本化学産業株式会社
一貫生産体制を強みとするニッケル酸リチウムのパイオニア
今後は新たな正極材の開発も視野に
国内2拠点で1,300t/年の生産能力、2010年春には第二工場用地取得
コストダウンと機能性向上の両立 顧客ニーズの実現と収益性の確保を目指す
2007年度以降、2010年度まで出荷推移は横ばいの見込み
民生用に加え今後は自動車向けLIBも視野に
ニッケル酸リチウム以外の正極材の開発も進める
住友大阪セメント株式会社
価格ありきのコスト競争を避け、品質面から
セルメーカーのコストダウンをサポート
ナノ粒子技術を駆使し、電極塗工性、電極密度の向上を実現するLFPを本格供給開始
LFPの生産能力は2011~2012年を目処に1,000~2,000t/年に増強
LMPを見据えた量産技術開発も進む
2009年度までのサンプル供給レベルを経て、2010年度は100tレベルの出荷見込み
歩留まりや電極密度の向上を実現する材料提供でセルメーカーのサポートを目指す
三井造船株式会社
中大型市場の拡大を見据え材料特性、生産体制を強化
最大1,000t/年の本格量産プラントを計画
高容量化に寄与する「低炭素かつ高レート」なLCC品を新たにラインナップ
2009年末から36t/年のセミコマーシャルプラントが稼動中
2012年の生産開始を視野に最大1,000t/年の量産プラントを計画
2010年度まではサンプル供給メイン
2012年以降は量産プラント稼動で大幅出荷増の予測
足元は中大型電池向けにリン酸鉄リチウムの本格展開に主眼
長期的には次世代正極材の開発も視野に
住友化学株式会社
コバルトフリーの高出力正極材を中大型向けに展開
2010年度より数十t/年のパイロットプラント稼動、
ユーザーへのサンプル供給を本格化
高出力が求められる車載、産業機器に主眼を置き、更なるコスト競争力強化を目指す
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