2011年版 太陽電池部材市場の現状と将来展望

太陽電池市場は金融危機の影響から2009年に成長の鈍化がみられたものの、2010年には生産量が前年比ほぼ倍増になるなど再び高成長の軌道に乗り始めた。躍進する中国メーカーを中心にGW規模への生産能力の増強が行われるとともに、上位メーカーへの寡占化も進む。部材メーカーにとっては巨大化するユーザーへの安定供給体制の構築が求められ、投資計画の重要性はこれまで以上に増している。
市場の高成長を見込み、新規参入を図る部材メーカーは増加の一途を辿っている。結晶Si太陽電池の一大生産地となった中国をはじめ、日本国内でも封止材やバックシート市場への参入を表明する企業が未だ相次ぐ。しかしながら各種部材価格の下げ圧力は強く、低価格化を押し進める中国メーカーなどの増加に伴い価格競争に拍車がかかっているようである。
「想定していたよりもうまみのない市場」との声も聞くが、太陽電池には変換効率向上や低コスト化のためのイノベーションが継続的に求められており、グリッドパリティの達成には部材メーカーの開発力が欠かせない。中国の部材メーカーなどが先行メーカーをベンチマークにしながら既に出来上がった「道」を歩んでいるとすれば、日本の部材メーカーはグリッドパリティへの「道」を拓く役割を担うべきであろう。得意とするユーザーとのすり合わせ技術をベースとしながら、幅広い分野で長年蓄積してきた開発力を活かせるか否かが、競争激化が続く部材市場での勝負の分かれ目になるものと考えられる。
2006年、2008年、2009年と過去3回に亘り発刊いたしました本調査レポートは、業界の皆様に大きな支持を得ることができました。関連業界の後押しもあり、その後の検証と改めて将来予測を図るため、「太陽電池部材市場の現状と将来展望」とタイトルを改め2011年版を発刊いたしました。

発刊日
2011/04/11
体裁
A4 / 137頁
資料コード
C53101800
PDFサイズ
2.8MB
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調査資料詳細データ

リサーチ内容

■本資料のポイント

  • 各種太陽電池部材を徹底調査。
  • 今後の市場拡大が期待される色素増感型太陽電池の各種部材動向についても調査。
  • 特別調査として製造装置等に関する調査も実施。

■本資料の概要

第1章 太陽電池部材市場の現状と将来展望
第2章 主力部材市場の動向と展望
第3章 太陽電池部材メーカーの動向と戦略
特別調査 太陽電池装置市場

■掲載内容

第1章 太陽電池部材市場の現状と将来展望

太陽電池部材市場の現状と将来展望
巨大化する太陽電池メーカー、ギガワットへの対応は部材メーカーの必須条件となる
低価格化を押し進める新興部材メーカーは増加の一途
グリッドパリティへの道を拓く開発力が勝負の分かれ目に
(表)太陽電池市場の変遷(2004年~2015年)

第2章 主力部材市場の動向と展望

1.多結晶Si市場の展望
  2010年春を底にポリシリコンの価格が上昇傾向も
  ポリシリコンメーカーの増産・新規参入で需給バランスのタイト化は回避の方向へ
  (表)多結晶Si 主要メーカー 生産能力の推移
  (図)多結晶Si 主要メーカー 生産能力の推移
  冶金法によるSOG-Siは海外勢が順調に需要を伸ばす
  亜鉛還元法では金属シリコンを不要とする改良型の開発がスタート
  (表)ポリシリコンの製造方法
2.表面保護材市場の展望
  (1)カバーガラス市場
  結晶Si系太陽電池を手掛ける中国メーカーの躍進を受け、カバーガラス市場も急拡大へ
  (表)太陽電池用カバーガラス 市場規模推移
  (表)主要ガラスメーカー カバーガラスおよびTCOガラス生産体制一覧
  セントラル硝子が2011年から市場へ参入
  ARコート品はメーカー各社の製品化が続く
  (2)透明導電膜(TCO:Transparent Conductive Oxide)付きガラス
  薄膜Si太陽電池向けの需要が拡大、米コーニングが2010年からの量産を計画
3.封止材市場の展望
  欧州を中心に太陽光発電の導入が進み、2010年の封止材市場は10万t超えへ
  (図・表)太陽電池用封止材 市場規模推移
  新規参入メーカーの増加に伴い、主要5社の市場シェアは80%強にまで低下
  (図・表)太陽電池封止材 メーカー出荷量及びシェア推移
  封止材メーカーの設備増強、海外拠点の設置が相次ぐ
  (表)太陽電池封止材 主要メーカー生産体制一覧(EVAフィルム)
  PVBフィルムは先行するクラレが順調に出荷量を増やす
  大日本印刷や旭化成イーマテリアルズはPO系
  三井・デュポンポリケミカルはアイオノマーで採用拡大を狙う
4.バックシート市場の展望
  太陽電池に対する旺盛な需要を背景に
  バックシートの市場規模は2011年に10,000万㎡超えへ
  (図・表)太陽電池用バックシート 市場規模推移
  (図・表)太陽電池用バックシート メーカー出荷量及びシェア推移
  中国をターゲットとしたバックシートメーカー各社の増産投資が活発化
  (表)太陽電池用バックシート メーカー別生産体制一覧
  基材フィルムはフッ素系でETFEやPVDFの市場投入が進む
  PETフィルムは韓国勢の台頭に加え、東洋紡や富士フィルムが参入を図る
  (図)バックシート構成例
  (図)リプレア PKTシリーズ 構成例
5.スパッタリングターゲット市場の展望
  (1)薄膜Si太陽電池向けターゲット
  薄膜Si太陽電池の価格競争力低下により、ZnO系ターゲット市場はネガティブムードへ
  (図)a-Si太陽電池の構造と材料・成膜方法
  (図・表)薄膜Si太陽電池向けZnO系ターゲット 市場規模推移
  (表)スパッタリングターゲット 主要メーカー生産体制
  (2)CIGS太陽電池向けターゲット
  Cu-GaターゲットのGa濃度は30wt%前後がスタンダードへ
  (図)CIGS太陽電池の構造と材料・成膜方法
  Cu-Gaターゲット市場はソーラーフロンティアの大幅増産で2011年に急成長
  (図・表)CIGS太陽電池向けCu-Gaターゲット 市場規模推移
  裏面電極向けMoターゲット市場ではシェアトップのPLANSEEを日立金属が猛迫
  (図・表)CIGS太陽電池向けMoターゲット 市場規模推移
  フレキシブル型向けMo-Naなど合金ターゲットの開発も進展
  円筒型は今後のアジアでの採用拡大に期待感が高まる
  (表)CIGS太陽電池向けMoターゲット 主要メーカー生産体制
6.色素増感太陽電池部材市場
  「低炭素社会に資する有機系太陽電池の開発」プロジェクトがオールジャパン体制で始動
  その成果が太陽電池市場における日本の競争力を占う試金石となりうる
  (図)「低炭素社会に資する有機系太陽電池の開発」プロジェクトのフレームワーク
  桐蔭横浜大学は新コンセプトの有機系太陽電池、岐阜大学は酸化チタンナノ微粒子
  九州工業大学は縦型タンデムなど、専門領域を活かした研究開発を推進
  [1]金属酸化物半導体材料および製法
  [2]増感色素
  [3]電解質
  [4]封止材
  [5]対向電極
  [6]電極基板材料
  (1)ガラス
  (2)フィルム
7.有機薄膜太陽電池市場
  変換効率10%超が目前に迫る、出口戦略を見据えたマーケティングが必要な時期に突入
  (表)有機薄膜太陽電池 開発動向(2011年)
  (図)有機薄膜太陽電池 開発動向(2011年)
  三菱化学、Konarka、Solarmerがワールドレコードを競い合う
  機動性の高いベンチャー企業に、大手企業はどう戦うのか?
  (表)Konarka OPV
  (表)SOLARMER PV SPECS
  材料、デバイス、プロセスの最適化に加え、評価・解析等の周辺技術の強化も必要に
  (図)有機薄膜太陽電池 セル構造

第3章 太陽電池部材メーカーの動向と戦略

Solutia Inc.
  EVA、TPU、PVBの3素材をラインナップし
  封止材市場でさらなるプレゼンス拡大を目指す
  2010年6月にEtimex Solar GmbHを買収
  2011年には中国・蘇州で「VISTASOLAR」の生産をスタート

積水フィルム株式会社
  積水グループの総合力と農業・建築用フィルム事業のノウハウを封止材に応用
  名古屋工場に量産設備を導入し、海外を中心とした封止材需要の拡大に対応

株式会社クラレ
  PVA樹脂の製品設計と品質確保の技術を活かし
  太陽電池封止材向けPVBフィルムの性能改善に注力
  ターンキーシステムの稼動が相次ぎ、「TROSIFOL SOLAR」の需要は拡大が続く
  2009年に低吸水性、低透湿性、絶縁性を改善した第二世代グレードを上市
  2010年初めには高反射タイプをラインナップに加える

リンテック株式会社
  高度な材料改質・機能化技術、複合材製造技術を活かし、
  バックシート市場でさらなるシェア拡大を目指す
  三島工場と米・マディコ社での一連の設備投資によって
  2011年にはバックシートのグループ生産能力を従来比30%増に引き上げ
  優れた耐久性やコストパフォーマンスにより
  2010年のワールドワイドの市場シェアは25%前後にまで拡大へ

株式会社エムエーパッケージング
  長期にわたりユーザーと蓄積してきた知見・ノウハウをベースに
  ハイクオリティなバックシートの開発を推進
  国内を中心に高い耐久性と信頼性を有するバックシートの需要は拡大が続く

恵和株式会社
  高度なラミネート、コーティングなどの要素技術をベースに
  バックシートの高付加価値化による差別化を推進
  新規開発プロジェクトの成果である太陽電池用バックシート「Appli-Sola」の需要が好調推移

三菱マテリアル株式会社
  独自組成のスパッタリングターゲットを開発し太陽電池の高効率化をサポート
  薄膜Si向けターゲットは伸び悩むも、CIGS向けの需要が順調に拡大
  CIGS光吸収層向けCu-GaターゲットではGa含有量を広範囲に制御
  ZnOターゲットは透明導電膜や高抵抗膜向けに供給

PLANSEE SE
  化合物系太陽電池向けで純Moターゲットに加え
  各種合金ターゲットの提案を強化
  2010年12月に5つのビジネスユニット制へ組織を再編し
  マーケットにより柔軟に対応できる体制を整備
  CIGS太陽電池向けMoターゲットの需要は欧州を中心に堅調推移

日立金属株式会社
  HIPをはじめとする独自技術を活かし
  太陽電池の高効率化と抵コスト化を後押し
  Moターゲットの需要はCIGS太陽電池の裏面電極向けに順調に拡大
  Mo-Naターゲットや円筒型Moターゲットの開発が進展
  薄膜Si太陽電池向けでもNi合金ターゲットを提案

東京大学
  最先端研究開発支援プログラム
  「低炭素社会に資する有機系太陽電池の開発」プロジェクトを先導
  DSCの早期製品化に加え、部材・モジュールに係わる国際規格の策定にも取り組む
  ナノクレイを添加したDSCの変換効率向上が進む

岐阜大学
  企業とのコンソーシアム体制を整え、
  フィルム型DSCの実用化に向けた低価格化をさらに追求
  2010年よりNEDOプロでフィルム型軽量低価格色素増感太陽電池
  最先端プログラムでは酸化チタンナノ微粒子の高速合成及び製膜技術の研究をスタート
  2011年2月にDSCモジュールの製造に関わる実験室を設置

桐蔭横浜大学
  roll-to-roll生産によるフィルム型DSCの大幅なコストダウンを追求
  DSCに加え有機無機ハイブリッド接合を用いた新コンセプト太陽電池の開発がスタート

特別調査 太陽電池装置市場

太陽電池製造装置市場
1.ウェーハプロセス製造装置
  結晶Si系太陽電池の一大生産地となった中国を中心に、ワイヤーソーへの旺盛な需要が続く
  (表)ウェーハプロセス製造装置主要メーカー概要
  日本を中心に電着ダイヤモンドワイヤーが普及
  装置メーカーサイドでも固定砥粒仕様のワイヤーソーの開発が活発化
2.薄膜Si太陽電池用一貫製造ライン
  ターンキーソリューションを展開する主要装置メーカーの2010年売上高は大幅減で推移
  Oerlikon Solar「THINFAB」は薄膜Si太陽電池の起死回生の一打となるか
  (表)薄膜Si太陽電池製造装置 メーカー別売上高推移
  タンデム型の量産設備でもOerlikon Solarが一歩抜きん出る

コマツNTC株式会社
  高度な技術力を活かした最先端の製品開発を推進
  2010年に福野工場内に工場二棟を新設し、生産スペースを2割拡張
  中国を中心にマルチワイヤーソーの需要が急回復
  ダイヤモンドワイヤー専用機の開発にも取り組む

株式会社エバテック
  太陽電池に関する高い知見・ノウハウを活かし
  薄膜向けラインエンジニアリグ事業を強化
  2010年2月からA-power Energy Generation Systemグループの一員となり
  総合エネルギー研究開発型企業としての脱皮を目指す
  変換効率10%のμc-Si用PE-CVD装置の市場投入が視野に入る

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