2011年版 バリア包装材料市場の展望と戦略
バリア包装材料市場では、再びKコートフィルムの見直し機運が高まっているほか、PVAコートやハイブリッドコート、共押出多層フィルムも一部で採用を伸ばすメーカーがありますが、以前の拡大時期に比べると市場は落ち着いてきているようです。こうした中、現在最も成長率が高いと言えるのは透明蒸着フィルムですが、今後国内では主力用途である食品市場が頭打ちとなることが予測されるため、このままでは透明蒸着フィルムにとっても厳しい市場になっていく可能性が高いでしょう。参入背景や製品の位置づけの違いにより、バリア包材事業に対する各社の力の入れ具合は異なります。コンバーターが積極的に拡販を図る一方、フィルムメーカーはフルキャパで稼動しながらも、バリア包材への投資を見合わせるところが少なくありません。しかし、そうしたフィルムメーカーの消極性が市場拡大のポテンシャルを抑制し、成長の芽をつみとっているとは言えないでしょうか。世界に目を向けると欧米での需要が拡大基調にあります。国内でも箔代替や賞味期間の延長といったまだ応えられていないニーズが残るほか、非食品分野でも少しずつ新たな採用が始まっています。市場及びシェア拡大に向け、まずは品質向上が求められます。例えば透明蒸着フィルムでは、割れ問題を改善する、品質の安定性を高める、といった取り組みがあります。また、営業/研究開発人員の強化、設備投資の積極化も必要になるでしょう。本調査レポートは、2007年まで隔年で発刊してきた「高機能包装材料市場の展望と戦略」から、特に市場の広がりが期待されるバリア包材にフォーカスしたものです。改めてバリア包装材料各社の戦略動向を取材し、市場を分析することで業界各社様のお役にたてるよう、2011年版を発刊いたしました。
調査資料詳細データ
■本資料のポイント
- バリア包装材料のタイプ別に市場規模を掲載、需要動向を分析
- 食品分野および非食品分野の市場動向を調査
- 国内メーカーへの直接取材、各社の戦略を記載
- 調査対象品目:透明蒸着フィルム、アルミ蒸着フィルム、共押出多層フィルム(EVOH系、MXD系)、コート系フィルム(PVDC、PVA、ハイブリッド)
- 調査内容
・各製品の市場規模推移(2008~2010年実績、2011~2012年見込み)、メーカーシェア
・個別メーカーの動向
①製品の特長、②販売量推移(増減要因)、③需要分野別今後の見通し、④販売戦略
⑤主力製品、注力製品の特長、⑥生産体制、⑦技術動向ほか
■本資料の概要
第1章:バリア包装材料市場の展望
第2章:バリア包装材料タイプ別需要動向
第3章:バリア包装材料メーカーの動向
■掲載内容
第1章:バリア包装材料市場の展望
拡大基調を将来につなぐ
品質向上、投資なくして需要は取り込めない
(図)バリア包装材料の市場拡大に向けて
賞味期間の延長に向けた開発でレトルト食品のみならず非食品分野も取り込める可能性
凸版印刷、大日本印刷が海外展開を加速、一方で収益面の改善が課題に
さらなる市場拡大には品質向上とバリアの安定性が求められる
メディカル分野での採用が進む、今後は選択的バリア性の付与も市場拡大の1つの手段
第2章:バリア包装材料タイプ別需要動向
1.透明蒸着フィルム
2010年の市場規模は前年比111.6%増加、用途の裾野が広いPETベース品の需要が拡大
(図・表)透明蒸着フィルム市場規模推移
欧米でレトルトパウチ向けの需要が拡大、一方で輸出に苦戦するメーカーも
(図)透明蒸着フィルム輸出構成比(2010年)
非食品分野の構成比は約25%、工業用では断熱材向けも採用スタート
メディカル分野ではさらなるハイバリア化が望まれる
(図)透明蒸着フィルム需要分野別構成比(2010年)
(表)メーカー別需要分野構成比
(表)透明蒸着フィルム(PETベース)メーカー別シェア推移
(図)透明蒸着フィルム(PETベース)メーカー別出荷量推移
(表)透明蒸着フィルム(ONYベース)メーカー別シェア推移
(図)透明蒸着フィルム(ONYベース)メーカー別出荷量推移
(表)透明蒸着フィルムメーカー別出荷量推移
2.共押出多層フィルム
食の安心・安全を求める声が高まり、プレーンナイロンからバリアナイロンへシフトする動きも
(表)共押出多層フィルム市場規模推移
(表)共押出多層フィルムメーカー別販売量推移
(図)共押出多層フィルムメーカー別販売量推移
国内ONYフィルム設備はフル稼働、プレーンは海外拠点の活用拡大
(表)ONYフィルムメーカー別生産拠点
(図)ONYフィルムメーカーシェア(2010年)
3.コート系フィルム
日本生活協同組合連合会が2010年8月に食品包材の採用基準を変更
これ以外にもKコートフィルム見直しの動き
(表)Kコートフィルムメーカー別販売量推移
(図・表)Kコートフィルム基材別メーカー別販売量推移
三井化学東セロがPVAコートフィルムでシェア拡大
ハイブリッドコートフィルムは廃番品が相次ぐ
興人とユニチカは拡販活動を推進
4.アルミ蒸着フィルム
ONYからPETの流れ、OPP、L-LDPEも微増から横ばいでの推移
CPPは原反も工業用へ振り向けられる
PETベース品はペットフードとインサート成形用の拡大で需要増
真空断熱材向けではさらなる機能向上も求められる
(図・表)アルミ蒸着フィルム市場規模推移
(表)アルミ蒸着フィルムメーカー別販売量推移
第3章:バリア包装材料メーカーの動向
凸版印刷株式会社
耐屈曲性向上によるハイバリア化と賞味期間の延長が今後のテーマ
2011年5月に(株)クレハ「ベセーラ」事業を譲授
「GLフィルム」との技術融合の新製品は、食品だけでなく産業資材向けも視野に
建装材向け需要等が増加、非食品用途が出荷量のうち約30%に
欧米へのレトルト食品向け、中国での産業資材向けの需要が拡大
今後数年で海外への輸出量を倍増へ
東レフィルム加工株式会社
アジア地域での需要が拡大、グローバル展開の強化と海外生産を検討
透明蒸着フィルムは微増で推移
2011年秋頃にボイル・レトルト対応「UG-C2」を本格的に販売スタート
アルミ蒸着フィルムは非食品用途に注力、一部に真空断熱板に採用獲得
三菱樹脂株式会社
透明蒸着フィルムは太陽電池バックシート等の非食品用途をさらに強化
食の安全性を訴求ポイントにバリアナイロンを拡販
海外ではプレーンナイロンの需要が拡大、今後どう展開するかが課題
「テックバリア」は新興国のメディカル分野にも期待
耐ゲルボ性の向上、選択的バリア性の付与が今後の開発テーマ
大日本印刷株式会社
対米輸出の強化が販売量拡大に貢献、今後はレトルトパウチ向けにも期待
国内では液体紙容器向けの需要が増加
輸液バッグに採用を獲得も、メディカル分野は期待ほどに需要が広がらず
インドネシア拠点ではまずコンバーティングビジネスを強化
東洋紡績株式会社
バリア性能のみならず、樹脂~原反~バリア成膜の一貫生産も強み
「ハーデン」は一般タイプに替わってバリアタイプの販売量が増加
レトルト対応グレードの上市で包装分野の海外展開を強化する計画
エレクトロニクス・光学関連用途へ向けた超ハイバリアグレードの開発も推進
三井化学東セロ株式会社
業界トップの酸素バリア性を持つ「マックスバリア」が採用拡大
国内のレトルト食品向けの拡大にも期待
今後は需要に対応できる生産能力の拡大がテーマ
Kコートフィルムは今後も横ばいでの推移を見込む
2010年は猛暑の影響でPVAコートフィルムの需要増
アルミ蒸着フィルム、アイテムごとの増減はあるものの販売量に変化はなし
尾池パックマテリアル株式会社
透明蒸着フィルムは高透過グレード「T-SK」の投入で
アルミナタイプに攻勢をかける
高透過タイプのレトルト対応グレード、耐ゲルボ性向上タイプの開発を推進
太陽電池バックシート向けは材料変更により立ち上がりが遅れる
2010年からは輸液バッグ向けの評価が進む
アルミの密着力が良好な「テトライト」がユーザーから高評価
大口の案件が増え、販売量を拡大
株式会社麗光
脱食品に向けた展開も視野に入れる
ハイバリアタイプが主力に、今後はシェアアップによる拡大を目指す
アルミ蒸着フィルムはカップ容器のインサートラベル用が伸長
グンゼ株式会社
ベーシックグレードの「HF」はEVOHの機能を活かし幅広い用途で展開
2010年10月竣工の2号ラインは2011年より本格的に稼動スタート
「HEPTAX」の対米輸出は為替の影響で減少
アジア地域向けはまだ時間がかかるとの見方
「2ECO」を提案するハイブリッドナイロンは順調に採用点数を増やす
ユニチカ株式会社
ナイロンフィルムのトップメーカーとして
バリアフィルムの海外展開も視野に入れる
インドネシア拠点、アジアの需要拡大に応え2013年半ばに7,000t/年増強
「エンブロンM」は包材のバリア化ニーズでプレーンに替わって需要増
有機系特殊バリアコートナイロン「エンブレムNV」
需要拡大に向け、減量化やトータルコストの優位性をユーザーに訴求
ハイバリアフィルム「セービックス」、非食品用途でも拡販を図る
株式会社興人
ハイブリッドコートフィルムを差別化製品として拡販
日本生協連合協会が食品容器・包装に関する基準を変更
「ボニール-K」の需要回復にも期待
ダイセルバリューコーティング株式会社
コーティング技術を基盤に特殊原反も塗り分ける
日本生活協同組合連合会でKコートフィルム見直しの動き
これに合わせて大手食品メーカーにも拡販を積極化
クラレトレーディング株式会社
真空断熱板で「エバールフィルム」の需要が立ち上がる
EVOHフィルム、最近はバリアシーラントとしても採用
パウチの透明化で「クラリスタ」の需要が拡大
国内ではペットフード向けの取り込みが鍵
フタムラ化学株式会社
食品包装用における安定供給を重視
2012年にCPPフィルムの生産ラインを1系列導入予定
「エコフィルム」はラインナップの1つとしての位置づけ、出荷量は横ばいで推移
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