2013 介護ロボットの可能性と将来性

本調査レポートでは、サービスロボットの中で介護ロボットに焦点を当て調査分析いたしました。リーマンショック以降停滞していたサービスロボットの開発ですが、介護ロボットも単発的な開発は見られても大きな市場を形成するには至っていません。
少子高齢化が進む日本において介護現場の課題を解決する手段としてロボット導入が期待でき、普及に向けて2013年度から「ロボット介護機器開発・導入促進事業」が始まりました。経済産業省と厚生労働省が共同でニーズに沿った介護ロボットの開発と普及に向けた事業を進め、装着型/非装着型移乗支援、移動支援、排泄支援、見守り支援に用途を絞り、2015年度までに製品化が図られます。事業に採択された46件は、これまでのサービスロボット開発メーカと顔ぶれが異なり、何らかのロボット開発ノウハウや介護機器、関連技術を有しており、それぞれの用途でより実用的かつ効果が出る製品の創出が期待できます。こうした背景を踏まえ介護ロボットメーカの取り組みや狙いを考察し、介護ロボットの可能性と将来性を展望しました。

発刊日
2013/12/24
体裁
A4 / 171頁
資料コード
C55122800
PDFサイズ
3.9MB
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調査資料詳細データ

調査概要
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調査目的:介護目的のサービスロボットを対象に参入企業の取り組み実態や開発動向、事業化プラン、需要展望を把握すると共に、それらをベースに介護ロボットの可能性を追求し、課題と将来性を考察する。
調査対象先:国内の介護ロボットメーカやその研究開発に取り組む企業、関連団体、関係省庁等
調査方法:直接面接取材を中心に、電話ヒアリング等を併用した。また、公表されている資料やデータ、文献、研究成果、社内資料等も参考にしている。
調査期間:2013年10月~2013年12月

リサーチ内容

■本資料のポイント

  • ロボットの開発と普及に向けて、2013年度から始まった「ロボット介護機器開発・導入促進事業」において、46件が採択され23.9億円(2013年度)の予算をかけて国先導による介護ロボット開発が始まる
  • 少子高齢化対応と介護者の負担軽減手段として、移乗支援(装着型/非装着型)、移動(歩行)支援、排泄支援、見守り支援でロボット技術の応用が進む。開発の中心は、これまでの大企業・ベンチャー中心から大きく変貌
  • 2015年度には最終製品が出揃い、逐次販売開始。2015年の介護報酬改定に合わせ、介護保険の適用も期待
  • 実用性を優先し、普及を目指す介護ロボットは2015年度以降急速な市場拡大が期待される

■本資料の概要

第1章 介護ロボット市場の現状
第2章 介護ロボット促進事業の狙いと内容
第3章 主要介護ロボットメーカの取り組み実態
第4章 タイプ別介護ロボットの課題と可能性
第5章 介護ロボットの将来性と市場規模予測

■掲載内容

第1章 介護ロボット市場の現状

1.実用化例は少ない介護福祉ロボットのこれまでの取り組み
2.2005年当時とは顔ぶれが異なる介護ロボット参入企業一覧
3.単発的な製品投入で拡大はするものの、まだ小さな市場規模
4.介護ロボットの認識が不足。今一度介護ロボットに目を向けさせる仕組み作りを
5.増える高齢者、減る入所介護施設。変わりつつある介護ロボットの需要側状況

第2章 介護ロボット促進事業の狙いと内容

1.介護ロボット補助事業の背景と目的
2.開発・導入促進事業の内容とポイント
3.タイプごとに違いを見せる採択企業とその特徴

第3章 主要介護ロボットメーカの取り組み実態

1.アズビル(株)
  (1)自社の計測・制御技術の活用と介護サービスへの応用を期待して介護ロボットに参入
  (2)まだ設計段階であるが、歩行支援ロボットとして独自のアシストを追及
  (3)まずはロボットに対する抵抗感をなくすことが先決。効果を示し、+αの需要を
2.アロン化成(株)
  (1)ポータブルトイレの課題克服と事業拡大の一手段として、介護ロボットに進出
  (2)設計段階の製品化レベル。在宅介護者をターゲットに価格と機能を絞り込み
  (3)低価格を優先し、いたずらに高機能を目指さない。使いやすさで普及を目指す
3.(株)今仙技術研究所
  (1)電動車いすのノウハウを生かせ、関連する要素も多いことで介護ロボット進出
  (2)価格と機能の兼ね合いを検討。電動車いすと同じスタイルとなる介護ロボット事業
  (3)シルバーカーとシニアカーと棲み分け、自立歩行ニーズに委ねられる将来性
4.(株)カワムラサイクル
  (1)車いすやシルバーカーの課題を克服し、ニーズに対応する手段としてロボット参入
  (2)歩行車をベースに抑速機能による安全性と使いやすさを追求。価格設定に課題
  (3)ニーズに合わせ多様化と高機能化が進み、海外市場も期待できる将来性
5.旭光電機(株)
  (1)センシング技術の応用と市場の有望性から提携先と共同で介護ロボット進出
  (2)センサの選択に課題を残すが、提携先と分業し生産販売は不安なし
  (3)検知項目を増やし、高機能化が進む機能の発展性。見守り支援は海外も有望
6.積水ホームテクノ(株)
  (1)介護支援浴室ユニットの延長線で移乗支援に進出、排泄支援は新規事業
  (2)2種類のロボットはまだ仕様が未確定。移乗支援は浴室内使用も想定
  (3)移乗支援は目的によって機能が分化、排泄支援は圧力排水機能がカギ
7.TOTO(株)
  (1)国プロとうまく合った製品開発。機能向上と支援策を求めてロボット介護機器に参入
  (2)現行製品で主機能は実用化。改良を加えロボット化。低価格化に課題を残す
  (3)ニーズはあるが、価格次第で需要量が左右される排泄支援ロボットの将来性
8.富士機械製造(株)
  (1)シーズとニーズが合致し、新規事業として介護ロボット市場に進出
  (2)試作機まで進む開発。自走するパーソナル型と固定型の2タイプを追及
  (3)使用場面により機能の多様化へ進むが、安全性確保に課題。低価格と慣れも不可欠
9.マッスル(株)
  (1)シーズもあるが、優先するニーズを見極めて介護ロボットに進出
  (2)SASUKEとLOVEでプロトタイプを発表。介護ロボット普及の試金石となるか
  (3)まずは低価格で使ってもらい効果を実感させて、次につながる介護ロボットの将来
10.(株)安川電機
  (1)中期経営計画でロボット事業の拡大方針。リハビリの延長で介護ロボット進出
  (2)設計段階の移乗支援ロボット。機能と価格に重きを置き、2016年度発売を目指す
  (3)2020年には数十億円を目指す。ニーズを吸い上げ、品揃えを拡大して規模拡大
11.その他メーカ

第4章 タイプ別介護ロボットの課題と可能性

1.装着型移乗支援ロボット
  (1)まもなく試作品として形になる開発の進捗
  (2)製品により価格差が大きくなるか
  (3)競合製品はなく新規市場として開拓。非装着型に対し優位性も多い
  (4)想定使用環境は介護施設がメイン。潜在需要は最低2~3万台と試算
  (5)介護者の肉体的負担削減効果に期待。課題はニーズにどこまで合わせていけるか
  (6)当面は介護施設が先行する普及イメージ。効果を実感させることが普及の条件
2.非装着型移乗支援ロボット
  (1)完成品に近いものから試作着手まで企業で差がある開発の進捗度合い
  (2)幅が出る価格設定。機能や使いやすさで製品差が出るか
  (3)装着型移乗支援ロボットと競合。姿勢が維持できる点に優位性がある
  (4)在宅介護を想定するかどうかで製品仕様は変わる。潜在需要は最大120億円
  (5)姿勢維持で新たな効果も期待。受け入れられる大きさや重量の見極めが重要
  (6)当面は介護施設で需要が先行。在宅介護への普及には専用機が望ましい
3.移動(歩行)支援ロボット
  (1)幸和製作所と船井電機は試作機を完成。開発レベルに差が見られる
  (2)10万円台の販売価格が有力。発売予定時期は企業によって差がある
  (3)シルバーカーよりも安全に長距離移動が可能。シニアカーは機能が違う
  (4)高機能で、日常生活で使用できる分シルバーカーよりも潜在需要は大きい
  (5)歩く意欲をかき立て、日常生活維持に意義。安全性と低価格が課題
  (6)シルバーカーの代替から普及は始まる。シルバーカーとの違いと差別化がポイント
4.排泄支援ロボット
  (1)参入6社のうち3社は既に基本技術は完成。残りは試作段階で、開発レベルに差
  (2)価格設定は、当面50万円が一つの目標、発売時期は企業により差が出る
  (3)座位姿勢型では便臭抑制と後処理不要が決定的優位性。寝たきり型は新規市場
  (4)座位姿勢型、寝たきり型それぞれ38万台の潜在需要
  (5)臭い低減と汚物処理の手間をなくす効果と、それに見合う価格の設定がポイント
  (6)必要な層と様子見の層に分化し普及が始まる。費用対効果の実証が普及に不可欠
5.見守り支援ロボット
  (1)基本構造は各社同じ。離床行動を判断する制御(処理)技術の完成度を高める段階
  (2)価格の目安は見えない。発売予定時期も企業によりばらつきがある
  (3)制御(判断)機能がある分正確性で優れる見守り支援ロボット。しかしまだ不透明
  (4)認知症患者の見守りが主目的で、介護施設、在宅介護で利用
  (5)離床や異常事態の早期検知が求められ、誤作動を減らすことが課題
  (6)よりニーズが強い介護施設で需要は先行する。信頼性の確立が普及の条件

第5章 介護ロボットの将来性と市場規模予測

1.避けられない要介護者数の増加に対して、普及阻害要因を解決できる介護ロボット
2.安全性が確立すれば、介護施設で普及が進む装着型移乗支援ロボット
3.装着型と使い分けられる非装着型移乗支援ロボット。介護施設で需要先行
4.シルバーカーからの代替が期待できる移動(歩行)支援ロボット
5.ニーズは強いが効果と価格で普及も変わる排泄支援ロボット
6.正確で安定した性能が普及を左右する見守り支援ロボット
7.最大で2020年度は349億8千万円となる介護ロボット市場規模

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