2019年版 医薬品流通市場の将来展望
医薬品流通市場では、新仕切価制度への移行や度重なる薬価制度の見直しなどを経験し、もう赤字決算を免れないのではないかとされてきた状況にあっても利益を確保することができていました。
しかし、今後、医薬品卸各社を取り巻く市場環境はこれまでとは大きく異なる厳しい変化の大波が押し寄せてきます。大手医薬品卸4社は、そのことに耐えるだけの体質の見直しを行ってきました。大手以外の地域医薬品卸の中には経営体質を強化しようとし、さまざまな新規事業や医薬品営業のあり方の見直しなどを行ってきたものの、依然として思うように成果が出ないところも数多く見受けられます。
大手医薬品卸4社は、ヘルスケアプラットフォームを作り上げることで旧来の医薬品卸業主体の経営から総合ヘルスケア商社への転換を図ろうとしています。そのためさまざまな異業種企業等と提携などを行うことで、新たなビジネスチャンスを招くイノベーション(新結合)に活路を見出そうとしています。その中核となるのが物流やICTなどです。
また、ICTの積極的な活用は医薬品卸の経営のあり方を根底から覆すことになります。各社が目指しているヘルスケアプラットフォームの完成のためにはICTの活用が不可欠です。そのことにより医薬品卸各社はそれぞれが個性を有した存在として、今後これまで以上に医療界だけではなく周辺分野においてもその存在感を強めることになります。
本調査レポートでは、わが国の医薬品流通の最新事情を踏まえつつ、今後どのような方向に向かうのかということをテーマにしております。当事者の方々はもちろんのこと、新たに医療分野への参入を検討されておられる企業の方々にとっても本書は有効活用できる内容となっており、ぜひこの機会にお役立ていただけますれば幸いです。
※紙媒体で資料をご利用される場合は、書籍版とのセット購入をご検討ください。書籍版が無い【PDF商品のみ】取り扱いの調査資料もございますので、何卒ご了承ください。
調査資料詳細データ
調査目的:本書では、現在、医薬品流通に関連する動きを川上から川下まで通して調査を実施し、分析を行った。
本書は、4つの項目で構成した。
(1)医療提供体制の変革の動向
(2)医療機関及び薬局、そして製薬企業の変革の動向
(3)医薬品流通の変革の動向
(4)医薬品卸の動向
調査対象:行政当局、製薬企業、医薬品卸、医療機関、薬局、学識経験者、業界紙関係者
調査方法:面接調査を基本として実施
調査期間:2018年9月~2019年8月
医薬品流通市場の将来を予測(2019年)
医薬品卸各社は、市場の低迷が長期化する状況をいかに克服するのか
~新規事業やアライアンスを強化し、新たな企業像確立を目指す医薬品卸各社~
- 医薬品流通市場の今後の変化を予測
- 医薬品卸を取り巻く市場環境変化を分析
- 医薬品卸業界で生じている変化とその将来を分析
- 主要医薬品卸各社の現状と今後の見通し
第1章 人口減少、高齢社会の進展下での社会保障制度
第2章 新たな医療提供体制に向けて動き出した医療界
第3章 新たな企業像を創造できるのか医薬品卸各社
Executive Summary
第1章 人口減少、高齢社会の進展下での社会保障制度
持続可能な社会保障に必要なこととは
人口減少と高齢社会の狭間で
人口減少に直面する医療機関と薬局
2040年度の医療介護給付費94兆円に
財源としての消費税のゆくえ
医療提供体制見直しはどのようになるのか
2019年度の骨太の改革
医療・介護制度改革にさまざまなことを盛り込む
嵐の前の静けさか
これから本格化する『薬価制度の抜本改革』
薬価差は誰のものか
どこまで政府は医薬品費をコントロールできるのか
揺れるイノベーション評価
がん遺伝子パネル検査はわが国の治療のあり方を大きく変えることになるのか
第2章 新たな医療提供体制に向けて動き出した医療界
市場環境が悪化する状況下で経営持続の道を模索する病院
医療圏として機能不全に陥る地域が多くなっている
増収減益傾向が続く病院
消費税増税の影響
2040年を見据えたシナリオ
2024年4月は病院経営にとって大きな分岐点
中小病院が経営を持続するために不可欠なこと
成長期から衰退期に転換しつつある薬局経営
誰のための薬局なのか
薬局数は減少に転ずる
消費税10%増税が薬局経営に及ぼす影響
必ずしもドラッグストアが有利だとはいえない
高度化する薬局機能
在宅医療は拡大するのか
高齢化社会の選択肢
低成長時代の製薬企業
取り残されるのか、わが国の製薬市場
カテゴリーからモダリティへの転換
研究開発のハードルを上げた費用対効果評価制度の導入
スペシャリティ医薬品の増加は今後も続く
『成功報酬型新薬』は今後、増加するのか
注目されるがん遺伝子パネル検査の波及効果
したたかな製薬企業が強みを発揮する時代に
MRなど人員削減は加速する
変化する医薬営業
後発医薬品企業も生き残りを模索する時代に
製薬企業による医薬品卸の選別の動きは本格化するのか
第3章 新たな企業像を創造できるのか医薬品卸各社
進化する医薬品流通市場
薬価制度の抜本改革で他社をリードできるか
製薬企業の流通改善ガイドラインへの取り組み姿勢
流通改善ガイドライン不適切事例に厚労省が事務連絡
医薬品卸と製薬企業の今後の関係‐見直しを必要とする期首検討会議の存在
1社流通でのスズケン優位の状況は続くのか
医薬品卸の中抜きは限定的
医薬品卸各社が有するデータをいかにして戦略的に活用するのか
配送体制見直しの可能性
新規事業の成長こそヘルスケアプラットフォーム確立の道
独自の企業像を描き始めた医薬品卸各社、その未来は
医薬品卸の経営状況は変革するのか
大手5社のクロスSWOT分析
大手4社の戦略ポジショニング
低成長でも一定の営業利益を確保できる体質への転換
真の地域密着はこれから
BCPと顧客支援システムのさらなる拡大によって体質強化を図る東邦ホールディングス
協業により新たなビジネスモデルの構築を目指すスズケン
顧客起点のビジネスモデルの構築を強化するメディパルホールディングス
事業モデルの変革を推し進め、プラットフォーム構築を目指すアルフレッサホールディングス
地域において不可欠な存在となるべく医療・介護事業を強化するバイタルケーエスケー・ホールディングス
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