2021年版 偏光板及び部材フィルム市場 Annual Report
調査資料詳細データ
調査目的:国内外の偏光板メーカー及びその部材メーカーの現在の動向と今後の事業施策を徹底調査し、さらに周辺調査を行うことで、ワールドワイドの偏光板市場における現状と今後の動向の把握を目的とする。
調査対象:偏光板メーカー、位相差フィルムメーカー、PVA 保護フィルムメーカー、表面処理メーカー
調査方法:直接面接取材をベースに、文献調査を併用
調査期間:2021年2月~2021年4月
偏光板・部材フィルム世界市場に関する調査を実施(2021年)
2021年の偏光板世界生産量は前年比8.3%増の6.2億㎡とプラス成長を予測
~2021年もディスプレイパネル需要は高止まりしており、偏光板の供給状況はタイトでほとんど全ての偏光板メーカーはフル生産の体制が続き、TV以外の用途向け偏光板市場も大きく拡大の見通し~
在庫確保やダブルオーダーこそが本質、フル生産・需要殺到は継続中
再び大型偏光板投資ブームが到来、杉金・HMOが本気なら業界再編も間近
- 杉金光电(旧LGC):韓国移設2本、張家港1,490㎜幅・2本の投資が決定、23年以降生産能力は2億㎡/年超へ
HMO(旧昆山・CMMT):福州2M+2.5M幅・計2本の投資確定、さらなる広幅2本の追加投資計画あり
主要部材フィルムサイド:2022年以降、新規投資に踏み切る部材メーカーの登場は? - 「ポストSDC」向け物量でVA位相差フィルム市場は急拡大、CSOT・T6/T7向け新規供給分の対応で大忙し
COPニーズは想像以上、ゼオン・新ライン稼働もCOP不足は確実、コニカ「SANUQI」が唯一の二元化先 - コロナ需要のIPS MNT市場の拡大がIPS位相差市場をリード、HKCの新規IPSパネル向け物量増加にも期待
IT系・中小型も多いBOE向けサプライヤーが絶好調、BOE・B17向けTV用偏光板構造は「TAC/PET」で確定 - PETフィルムの販売はコロナ特需とは無関係・変わらず好調、大口既存顧客の他、中・台顧客向け物量が急拡大
PET不足は解消気味、東洋紡の犬山・2号機の稼働率アップで旺盛な市場需要に応えられる供給体制へ - 非TAC系Outer市場、PETだけでは追い付かず、必然的にOuter PMMAフィルムへのニーズは高まると予想
東洋鋼鈑の超広幅PMMAラインは21年Q1より量産開始、LONGHUAは22年より本格参戦が濃厚
HMOはLGCからPMMAフィルム・2ラインを購入、HMOの内製化はPMMAのほかPET陣営にまで影響 - OLED-TV向け偏光板では、LG化学が内製液晶位相差板全量をFuji Filmの「1枚液晶塗布板」に切り替え
Middle-End向けで「ゼオン・COP構造」が本格採用、「OTF(PVAなし)」はLow-End向けでも採用ならず - 「偏光板レス」の動きはFoldable向けに限定、「iPhone」や「GalaxyS」には円偏光板が必須
新iPhoneモデルもFuji Film「液晶塗布型」を採用継続、21年より開発品「1枚液晶塗布型」の本格採用が濃厚 - 【前回版との違い】ディスプレイ市場の動向や需給バランスを踏まえ全内容を刷新
調査結果のポイント
第1章:偏光板市場の動向
1.偏光板市場
(1)偏光板市場の展望
2021年も終わらぬコロナ特需、偏光板のタイトな供給状況が続く
高まった需要は本来の市場拡大によるもの?それともパネル側からのダブルオーダー分?
(図・表)偏光板市場規模推移(2017年~2022年予測)
偏光板ショーテージはギリギリで対応、パネル面積を大きく上回る出荷量を維持
コロナ需要であるMNTを含む全IT系パネル向け偏光板市場の拡大にも注目
(図・表)用途別偏光板市場規模推移(前年比・2017~2022年予測)
(図・表)用途別偏光板市場規模推移(構成比・2017~2022年度予測)
(2)偏光板メーカーの動向
コロナ特需でほぼ全偏光板メーカーが最多出荷量を更新、2021年もフル稼働体制を継続
住友化学G(東友・住華・住友)が好調、圧倒的な物量を誇る杉金の生産量に近づく
(図)偏光板メーカー別の生産量推移(2020~2022年予測)
(図)偏光板市場のメーカーシェア(2020年)
(図)偏光板市場のメーカーシェア(2021~2022年予測)
・杉金光电(旧:LG化学)
・住友化学
・サムスンSDI
・日東電工
・HMO(旧:昆山・CMMT)
・BMC
・SAPO
・CMMT
・LG化学
・OPTIMAX
・日本化薬
(図)偏光板メーカー別の生産能力及び生産量推移
(表)2020年における偏光板メーカー別モード別生産量
(表)2021年における偏光板メーカー別モード別生産量(見込み)
(表)2022年における偏光板メーカー別モード別生産量(予測)
(3)偏光板の新規増設計画、及び超広幅2.5M製造ラインの稼働状況
供給過剰の可能性も「新規偏光板設備・計4本」が確定、偏光板市場は再び投資ブームへ
21年より再スタートを切った杉金、HMOの圧倒的な偏光板供給体制は他社の事業存続を脅かす
(表)中国における偏光板の生産能力推移及び増設計画(2021年Q2時点)
(表)新規偏光板メーカーの生産能力推移及び増設計画(2021年Q2時点)
2021年の主流は2.3M幅、杉金・HMOともに2.5M幅偏光板生産は急がず
2.3M幅での生産性向上が最優先、2.5M超広幅偏光板生産時代は2022年以降に持ち越し
(表)偏光板の超広幅2.5M設備の稼働状況及び増設計画(2021年Q2時点)
(表)部材フィルムメーカーの超広幅2.5M生産体制一覧(2021年Q2時点)
(4)VA TV向け偏光板市場
・CSOT TV向け偏光板市場
CSOTは「ポストSDC」陣営の先頭
CSOT・T6/T7向けにさらなる新規偏光板物量が見込まれる
(図)CSOTにおけるTV向け偏光板メーカーシェア(2020~2022年予測)
2021年よりPET系「COP/PET」、「TAC/PET」両構造の採用比率が急拡大
PET陣営の杉金、サムスンSDIが新規物量を確保
(図)CSOT TV向け 偏光板の材料構成及び使用比率(面積ベース)
・SDC TV向け偏光板市場
SDCは2021年10月までLCDパネルの生産を継続、年末まで延長される可能性も
偏光板及び部材メーカーはSDC向け販売調整を余儀なくされたが、22年以降は中国陣営を優先
(図)SDCにおけるTV向け偏光板メーカーシェア(2020~2021年予測)
「TAC/PET」の使用面積は「2枚型COP」規模と同じく全体4割へ
(図)SDC TV向け 偏光板の材料構成及び使用比率(面積ベース)
・AUO TV向け偏光板市場
住華、日東を中心に展開されるCOP系偏光板の使用比率は7割超えへ
サムスンSDIのPET系偏光板の採用は拡大せず
(図)AUOにおけるTV向け偏光板メーカーシェア(2020~2022年予測)
(図)AUO TV向け偏光板の材料構成及び使用比率(面積ベース)
・Innolux TV向け偏光板市場
「TAC/PET」や「COP/PMMA」構造を大幅に採用拡大する方針
2020年よりInnolux TV向け偏光板市場にBMCが参戦
(図)InnoluxにおけるTV向け偏光板メーカーシェア(2020~2022年予測)
(図)Innolux TV向け偏光板の材料構成及び使用比率(面積ベース)
・CEC-Panda TV向け偏光板市場
サムスンVD事業部向け物量は年々増加傾向、主力構造はPET系偏光板へシフト中
「COP/PET」、「TAC/PET」共に採用拡大も、COP不足で「TAC/PET」がやや優勢
(図)CEC-PandaにおけるTV向け偏光板メーカーシェア(2020~2022年予測)
(図)CEC-Panda TV向け偏光板の材料構成及び使用比率(面積ベース)
・HKC VA-TV向け偏光板市場
サムスン電子・VD事業部向けを展開し出したHKCでもPET系偏光板の採用が急拡大
2021年以降サムスンSDIのシェア拡大を予想
(図)HKCにおけるVA-TV向け偏光板メーカーシェア(2020~2022年予測)
(図)HKC VA-TV向け偏光板の材料構成及び使用比率(面積ベース)
・CEC-CHOT TV向け偏光板市場
「4枚TAC」の使用面積が減少、杉金、SDIが「TAC/PET」構造の展開を拡大
HMOは「COP/PMMA」構造を推進するも、量的拡大ならず
(図)CHOTにおけるTV向け偏光板メーカーシェア(2020~2022年予測)
(図)CHOT TV向け偏光板の材料構成及び使用比率(面積ベース)
・Sharp TV向け偏光板市場
SIOに搬入したRTP装置が本格稼働へ、杉金、HMOの物量拡大は確実
(図)SharpにおけるTV向け偏光板メーカーシェア(2020~2022年予測)
(図)Sharp TV向け偏光板の材料構成及び使用比率(面積ベース)
(5)IPS TV向け偏光板市場
・BOE TV向け偏光板市場
BOE向け偏光板マーケットは絶好調
BOE・B17向けは「TAC/PET」の採用が確定、PET系の使用面積はTV向け全体の70%超え
(図)BOEにおけるTV向け偏光板メーカーシェア(2020~2022年予測)
「TAC/PET」を展開する杉金とサムスンSDIは、RTP装置搬入により物量はさらに拡大傾向
東友の「TAC/PMMA」、安定的な物量を確保し変わらず堅調
(図)BOE TV向け 偏光板の材料構成及び使用比率(面積ベース)
・LGD TV向け偏光板市場
当面の間LGDの中国・広州拠点は引き続き生産を継続
(図)LGDにおけるTV向け偏光板メーカーシェア(2020~2022年予測)
LGD TV向けでは杉金、日東からの「RF Pol.」、東友の「4枚PMMA」の使用が90%以上
LGD TV向けで4割強のシェアを保有する杉金は「RF Pol.(Outer PET)」のみを展開
(図)日東電工及び杉金のRF(Retadation Free)Pol.の構造
「4枚PMMA」の完全離れはおきず、東友からの調達比率を大幅にアップ
日東電工、搬入したRTP本数分を維持可能な販売量は維持
(図)LGD TV向け 偏光板の材料構成及び使用比率(面積ベース)
・HKC IPS-TV向け偏光板市場
2021年よりIPS TVパネルの本格生産体制へ
新規IPS TV向け市場に東友、BMC、SunnyPolが参戦、位相差は富士のZ-TACの使用が100%
(図)HKCにおけるIPS-TV向け偏光板メーカーシェア(2021~2022年予測)
(図)HKC IPS-TV向け 偏光板の材料構成及び使用比率(面積ベース)
(6)AMOLED TV向け偏光板市場
・LGD OLED TV向け偏光板市場
2021年よりOLED TV用偏光板市場は偏光板メーカーの内製液晶タイプから一転
富士フイルムがOLED TV用「1枚型液晶位相差板」市場に本格参入
2020年のOLED用偏光板市場では、出荷急減に苦しんだLG化学が大きくシェアダウン
ついに方針転換へ、LG化学は内製液晶位相差板全量を富士の「1枚液晶塗布板」に切り替え
(図)LGD AMOLED TV向け偏光板メーカーシェア(2020~2022年予測)
Middle-End TV向けで「日本ゼオンのCOP構造」の本格採用へ
反射防止のみの「OTF(PVAなし)」構造、Low-End向けでも採用ならず
(図)LGD AMOLED TV向け 偏光板の材料構成及び使用比率(面積ベース)
(7)偏光板後加工(Roll to Panel/ Roll to Sheet、AIC(Auto Inspection Cutting))
BOE・B17は杉金、SDI以外の残り3本に関してはRTP装置を導入せず、AICを選択
AICへの流れは安定かつ長期的な出荷量の確約ができず、偏光板メーカーには不利
(表)中国内RTP/RTS,AICによる偏光板後加工の導入状況(2021年Q2時点)
中国TVパネル陣営向けでは物量の奪い合いが加速、SDI、杉金、HMOの追加RTP搬入が決定
SAPOは超広幅2.5Mラインの本格稼働時期に合わせ、CSOT、SIO向けRTPビジネスを本格化
(表)各パネルメーカーにおける後加工の導入状況(全体、2021年Q2時点)
(8)各パネルメーカーにおける偏光板メーカーシェア
・BOE向け偏光板メーカーシェア
コロナ特需の恩恵を受けBOE向け偏光板サプライヤーは全用途向け出荷面積の拡大へ
BOE・B17向けは全面「TAC/PET」構造の使用が濃厚、杉金、SDIは確実に成長局面へ
(図・表)BOEにおける偏光板メーカーシェア(金額ベース)
(表)BOEにおける用途別偏光板メーカーシェア(2020~2022年予測)
・CSOT向け偏光板メーカーシェア
CSOT向けは杉金が引き続きトップ
杉金、サムスンSDIがCSOT・T6/T7向けに追加物量を確保済み
(図・表)CSOTにおける偏光板メーカーシェア(金額ベース)
(表)CSOTにおける用途別偏光板メーカーシェア(2020~2022年予測)
・SDC向け偏光板メーカーシェア
2022年よりSDC向け偏光板サプライヤーは本格的に中国顧客向けに物量をシフト
引き続き、中小型AMOLED向けは東友ファインケムと日東電工の独占市場
(図・表)SDCにおける偏光板メーカーシェア(金額ベース)
(表)SDCにおける用途別偏光板メーカーシェア(2020~2021年予測)
・LGD向け偏光板メーカーシェア
2021年よりLGD向け偏光板市場では杉金が大幅にシェアダウン
LG化学は高単価製品のOLED TVやApple MNT向けを担当し安定した売上確保へ
(図・表)LGDにおける偏光板メーカーシェア(金額ベース)
(表)LGDにおける用途別偏光板メーカーシェア(2020~2022年予測)
・AUO向け偏光板メーカーシェア
AUO TV向け主力構造「COP/PMMA」を展開する住華、日東電工のシェアは安定
「COP/PMMA」構造の開発が出遅れTV向け販売減少が響くBMCのシェアダウンが続く
(図・表)AUOにおける偏光板メーカーシェア(金額ベース)
(表)AUOにおける用途別偏光板メーカーシェア(2020~2022年予測)
・Innolux向け偏光板メーカーシェア
2020年はTVやMNT向け出荷量が維持されるも、CMMTはシェア低下が続く
BMCはInnolux MNT市場でシェア20%強、21年よりTV向けにも5%のシェア獲得へ
(図・表)Innoluxにおける偏光板メーカーシェア(金額ベース)
(表)Innoluxにおける用途別偏光板メーカーシェア(2020~2022年予測)
・CEC-Panda向け偏光板メーカーシェア
サムスンVD事業部向け物量増加で「COP/PET」、「TAC/PET」構造の使用量が急増
PET系偏光板を担当する杉金、サムスンSDIは今後も高シェアへ
(図・表)CEC-Pandaにおける偏光板メーカーシェア(金額ベース)
(表)CEC-Pandaにおける用途別偏光板メーカーシェア(2020~2022年予測)
・HKC向け偏光板メーカーシェア
HKCではVA-TV向けでPET系偏光板の採用を拡大、サムスンSDI、杉金がシェア拡大へ
今後は動き出すIPS TV向け偏光板市場にも注目
(図・表)HKCにおける偏光板メーカーシェア(金額ベース)
(表)HKCにおける用途別偏光板メーカーシェア(2020~2022年予測)
・CEC-CHOT向け偏光板メーカーシェア
HMOは競合他社の参入によりシェアダウン傾向
PET系偏光板の採用拡大で杉金、サムスンSDIがシェア拡大
(図・表)CEC-CHOTにおける偏光板メーカーシェア(金額ベース)
・Sharp向け偏光板メーカーシェア
Sharp TV向けでは杉金のシェアが圧倒的
SIOにSAPOの新規RTP装置搬入が決定、2022年以降のシェア拡大に期待
(図・表)Sharpにおける偏光板メーカーシェア(金額ベース)
第2章:偏光板用位相差フィルム市場の動向
2.偏光板用位相差フィルム
(1)大型位相差フィルム
CSOTの他、HKC、CEC-Panda、CHOT、Sharpのパネル生産急増でVA位相差市場は絶好調
IPS MNTの需要拡大でIPS用位相差フィルム市場も勢いに乗る
(図)大型分野におけるLCDモード別位相差フィルムの構成比(VA、IPS、TFT-TN)
(図・表)大型分野におけるLCDモード別位相差フィルムの市場全体(VA、IPS、TFT-TN)
・大型VA用位相差フィルム
2020年より急拡大した需要に追い付かず、大型VA位相差フィルムの供給状況がもっともタイト
コニカの「SANUQI」はCOPフィルムの唯一の二元化先
フル生産が続くコニカの生産量に日本ゼオンが接戦
2021年からはCOP系日本ゼオンがTAC系コニカを抜きトップへ
(図)大型TFT-VA向けにおけるメーカーシェア(2020~2021年)
(表)大型TFT-VAにおけるメーカー別位相差フィルム販売量推移(シェア・前年比)
2021年以降、コニカ・VA-TACの販売量はCOPフィルムの供給能力により変動
富士フイルムのVA位相差もHKC、CEC-Panda、SIO向け販売拡大で好調が続く
(図・表)大型TFT-VAにおけるメーカー別位相差フィルム販売量推移(前年比)
COPニーズは想像以上、2021年以降日本ゼオン・新ラインのフル稼働にも供給不足は確実
2022年よりコニカのCOP系「SANUQI」の本格採用へ
(表)大型TV向けCOPフィルムの供給能力一覧(2021年Q2)
(図)大型VA位相差向けCOPフィルムのサプライチェーン(21年Q2時点)
・大型IPS用位相差フィルム
TVのみならず、コロナ需要であるIPS MNT向け出荷拡大が好材料
BOE、LGDのほか、HKCの新規IPSパネル向けは新規物量として物量拡大に期待
富士フイルムの「Z-TAC」、BOE TV、MNT向けや新規HKC IPS-TV向け販売が絶好調
コニカもBOEのほか、台湾MNT向けが増加し、IPS位相差フィルム事業は堅調
(図)大型TFT-IPS向けにおけるメーカーシェア(2020~2021年)
(図・表)大型TFT-IPSにおけるメーカー別位相差フィルム販売量推移(前年比)
東洋鋼鈑の新規PMMAフィルムラインは2021年Q1より量産開始
2022年より龍華(LONGHUA)が本格参戦、HMOは内製PMMAフィルム生産に踏み切る?
(表)偏光板用PMMAフィルムの供給能力一覧(2021年Q2)
PETだけでは追い付かず、必然的にOuter PMMAフィルムへのニーズは高まると予想
実際の供給能力が向上しない限り、22年以降PMMAフィルムの供給体制も万全ではない
(図)大型IPS位相差向けPMMAフィルムのサプライチェーン(21年Q2時点)
(表)大型TFT-IPSにおけるメーカー別位相差フィルム販売量推移(シェア・前年比)
・大型TN-TFT用位相差フィルム
MNT市場でのIPS化は富士フイルムの「WV」販売量にも影響
(表)大型TN-TFTにおける「WV」の販売量推移
(表)大型分野におけるLCDモード別位相差フィルムの販売量推移
(表)大型分野における位相差フィルムメーカー別販売量推移
(図)大型分野における位相差フィルム材料別需要量推移(構成比)
(図)大型分野における位相差フィルム材料別需要量推移(前年比)
(2)中小型分野
中小型OLED用位相差市場は「液晶塗布型位相差板」の歩留まりが影響し、
市場規模は中小型OLEDパネルの出荷面積とは一致せず、大きく膨大した結果に
(図・表)中小型分野における位相差フィルムモード別需要量推移(前年比)
・中小型AMOLED用位相差フィルム
日東電工が再び「iPhone」サプライヤーに復帰
「偏光板レス」の動きはFoldable向けに限定、「iPhone」や「GalaxyS」には円偏光板が必須
(図)「iPhone」向け偏光板構造及び材料構成
(図)「GalaxyS」、「Galaxy Fold」シリーズ向け偏光板構造及び材料構成
(図)その他Middle-Low End AMOLED向け偏光板構造及び材料構成
(表)中小型AM-OLED用位相差フィルム販売量推移(シェア・前年比)
High-End用SmartPhone向けでは「液晶塗布型」がスタンダード
21年より既存最高品位スマホ向けで富士フイルムの新規開発品「1枚液晶塗布型」の採用が濃厚
(図)中小型AM-OLED用位相差フィルムの市場シェア推移
(図・表)中小型AM-OLEDにおけるメーカー別位相差フィルム販売量推移(前年比)
・中小型IPS位相差フィルム
中小型IPS位相差フィルム市場を牽引するのは、もはや「iPhone」向け物量ではない
2020年より中国マーケット向け中小型IPSパネルの需要が急拡大
(図・表)中小型TFT-IPSにおけるメーカー別位相差フィルム販売量推移(前年比)
(表)中小型TFT-IPSにおけるメーカー別位相差フィルム販売量推移(シェア・前年比)
・中小型TN-TFT位相差フィルム
中国マーケットで展開されるTNモードSmartPhone向けでWV出荷量は低位安定
(表)中小型TFT-TNにおける「WV」の販売量推移
・中小型VA位相差フィルム
中小型VA位相差市場は2020年にゼロへ
(表)中小型TFT-VAにおけるメーカー別位相差フィルム販売量推移
(表)中小型分野における位相差フィルムモード別需要量推移(構成比)
(表)中小型分野における位相差フィルム材料別需要量推移
(表)位相差フィルム(大型+中小型)市場規模及び材料別需要量推移と予測
第3章:偏光板用PVAフィルム(保護側:Outer側)市場の動向
3.偏光板用PVA保護フィルム(Outer側)
東洋紡の「SRF®」は、旺盛な市場需要に応えられる供給体制の構築へ
(図)PVA保護フィルム(保護側:Outer側)の材料別の構成比(2020~2022年予測)
(図・表)PVA保護フィルム(保護側:Outer)材料別需要量推移(TAC,PET,PMMA系)
2.5M超広幅対応の犬山・2号機は本格稼働へ、PETフィルムのタイトな供給状況は解消気味
(表)PVA保護側向けPETフィルムの供給能力一覧(2021年Q2)
(表)PVA保護フィルム(保護側:Outer側)の市場規模及びメーカー販売量推移(前年比)
・TAC系
IT系パネルの需要拡大でP-TAC市場は減少せず維持
コロナ特需の恩恵はHYOSUNGとTAC Brightへ
(図・表)PVA保護側(Outer)向けP-TACフィルム市場及びメーカー販売量推移(前年比)
・PMMA系
BOEや台湾TVパネル陣営向けOuter PMMA構造の販売が堅調な住友の「Wolf」は生産拡大へ
21年より東洋鋼鈑は中国偏光板顧客向け2.3M~超広幅PMMAフィルムの販売増加を予想
(図・表)PVA保護側(Outer)向けPMMAフィルム市場及びメーカー販売量推移(前年比)
・PET系
コロナ特需と関係なく、PETフィルムの販売は絶好調
大口既存顧客のほか、生産能力の拡大と共に中・台顧客向け出荷物量が急拡大
(図・表)PVA保護側(Outer)向けPETフィルム市場及びメーカー販売量推移(前年比)
(図)PVA保護用 PETフィルムのサプライチェーン(21年Q2時点)
勢いは止まらず、東洋紡はPVA保護Outerフィルム市場でシェア25%強を確保
(図)PVA保護フィルム(保護側:Outer側)市場のメーカーシェア(2020~2021年)
(表)PVA保護フィルム(保護側:Outer側)の市場規模及びメーカー販売量推移(シェア)
P-TACまでもが不足気味、VA位相差フィルムはギリギリでショーテージ回避
全偏光板部材フィルムのタイトな供給状況下では単価は安定
(表)PVA保護フィルム(位相差・保護)の材料別平均価格動向(2021年Q2)
(図)材料別需要量推移と予測(PVA保護フィルム+位相差フィルム、2020~2022年予測)
(図)位相差フィルムの材料別需要量推移と予測(2020~2022年予測)
(表)PVA保護フィルムと位相差フィルムの材料別需要量推移と予測
(図・表)材料別需要量推移と予測(PVA保護フィルム+位相差フィルム)
第4章:偏光板用表面処理フィルム市場の動向
4.表面処理フィルム
偏光板市場の急拡大に表面処理フィルムの生産能力は追い付かず
(図・表)偏光板用表面処理フィルム市場規模(タイプ別・前年比)
(図・表)偏光板用表面処理フィルム市場規模(タイプ別・構成比)
(図)偏光板用表面処理別市場構成比(2020年)
(図)偏光板用表面処理別市場構成比(2021~2022年予測)
・AG市場
DNP・三原4号機や凸版・Youlchonラインの本格稼働もAGの供給はかなりタイト
杉金以外の多数の中国偏光板顧客を確保、LG化学はさらに表面処理事業を強化
(図)偏光板用AG市場メーカーシェア(2020~2021年)
(図・表)偏光板用AG市場規模(メーカー別・前年比)
・AG・LR市場
LGD LCD-TVパネルの生産減少が大きく響き、AG・LR市場は縮小へ
新規物量としてOLED TV向け「COP構造」用AG・LRの販売拡大がプラス材料
(図)偏光板用AG・LR市場メーカーシェア(2020~2021年)
(図・表)偏光板用AG・LR市場規模(メーカー別・前年比)
・クリアLR市場
クリアLRはAMOLED TVパネルの生産増強で2021年以降本格的なマーケット拡大へ
(図)偏光板用クリアLR市場メーカーシェア(2020~2021年)
(図・表)偏光板用クリアLR市場規模(メーカー別・前年比)
・CHC市場
(図)偏光板用CHC市場メーカーシェア(2020~2021年)
(図・表)偏光板用CHC市場規模(メーカー別・前年比)
・ドライAR市場
(図)偏光板用ドライAR市場メーカーシェア(2020~2021年)
(図・表)偏光板用ドライAR市場規模(メーカー別・前年比)
第5章:偏光板及び部材フィルムメーカーの展望と戦略
杉金光电有限公司 (Shanjin Optoelectronics Co.,Ltd)
LCD用偏光板事業に本気、LG化学の人材が手を引く3年後が本当の実力
オチャンからの移設2ラインのほか、張家港に計2本の新規投資を決定
南京から近い張家港拠点は広幅1,475mmがコンセプト
新規投資の完了後は、南京・広州・張家港拠点の総生産能力は2億㎡/年超えへ
目指すのはこれまでのLG化学を超える生産性・利益率の確保
中国TVパネル陣営向けが最優先、将来的にTV向け偏光板は全Outer PET構造に絞る
超広幅2.6Mラインは現在2.3M幅生産体制を継続、21年下期にかけさらなる稼働率アップへ
オチャンからの移設ラインは2021年には間に合わず、2022年より量産開始
CSOT TV向け4枚TACの展開はほぼ終了、「COP/PET」、「TAC/PET」に全量シフト中
CHOT、HKC向けでもPET系展開を加速化、MNT向けもPET使用を推進
BOE TV向けは全TV出荷のうち30%強の大口オーダー、BOE・B17向け新規物量も確保済み
LGD TV向けでPMMA系の展開はなし、PET系「RF Pol.」に全量切り替え
SAMSUNG SDI CO.,LTD. (サムスンSDI株式会社)
SDC離れが進み、大口顧客は既にCSOT、BOE、HKC
VD事業部向けを手掛けるポストSDC陣営向けに物量がシフト中
2020年段階での偏光板販売量はSDIが供給可能なほぼマックスの量
SDI・無錫ラインのスピードは群を抜いて業界トップ、ここ数年全ラインはフル稼働状態
これ以上のスピード向上は見込みにくく、コロナ特需による需要拡大には対応できず
SDC TV向け販売は2021年まで、VD事業部向けを手掛けるHKC向けに物量が拡大
CSOT、BOEに搬入した新規RTP装置は稼働間近、さらなる新規物量は確保済み
恒美光电股份有限公司(HMO) (Hengmei Optoelectronic Corporation)
TV向け偏光板事業のみで利益確保は可能か
中国TVパネルマーケットに本気、追加2ラインの投資続行を決定
2020年末にLG化学の内製PMMAフィルム製造ラインを購入
Outer用PMMAフィルムの内製化へ?
2.5M幅で生産は一部に限定、昆山・第2号機の供給能力はさらにアップできる余地あり
新規計2ラインの稼働スケジュールは装置発注後に決定、第3号機は早ければ2022年内
HMOでは「COP/PMMA」構造の販売拡大を推進し、主要部材の新規調達先探しへ
CSOT、CEC-CHOT TV向けでコニカのCOP系「SANUQI」の量産採用を推進
明基材料股份有限公司(BMC) (BenQ Materials Corporation)
新規INX TV向けの他、CSOT、CEC-Panda、HKC TV向け販売が好調
BOEシェア確保できるか、BOE TV向け全体出荷量の7割をPET系に切り替え
AUO、中国VA-TV陣営向け非TAC系構造の展開は一部に限定、4枚TACから切り替え進まず
2021年よりInnolux TV向け偏光板市場に本格参入、将来的にはPET系展開を狙う
誠美材料科技股份有限公司(CMMT) (CHENG MEI MATERIALS TECHNOLOGY CORP.)
昆山CMMT(現:HMO)とは完全分離、台湾CMMTとして事業続行
MNT向け出荷量が拡大、IT系向けコロナ需要は継続中
2021年以降、台湾CMMTとしての事業方針とは?
INXの他、SDP、CSOT、HKC TV向け販売増加も、非TAC系偏光板の展開は大きく拡大せず
限られたキャパで生産品目の最適化を図ると共にMNT向け偏光板販売を強化する方針
深圳市盛波光電科技有限公司(SAPO) (SHENZHEN SAPO PHOTOELECTRIC CO.,LTD.)
新規第7号機は2021年の供給能力アップに貢献できるか
SAPOの初超広幅2.5Mラインは、2021年Q3より量産開始のスケジュール
第7号機の稼働は遅れるも、2020年の偏光板ビジネスは絶好調
SAPOの次なる事業拡大のステージは新ラインの稼働後
第7号機はスケジュール通り2021年Q2より試運転なるか
量産初期は生産幅2Mと2.3M偏光板生産がメイン、2.5M偏光板の量産は2022年以降へ
第7号機の稼働後にはVA-TV向けでは「COP/PMMA」構造の販売拡大を狙う
PET系偏光板構造は日東のサポートはなく、SAPO自社で開発を推進
力特光電科技股份有限公司 (OPTIMAX TECHNOLOGY CORPORATION)
MNT向け出荷量が増加するも、車載用偏光板の販売縮小で売上高が減少
日本化薬株式会社
2020年は車載用染料系偏光板の需要減少、染料系トップメーカーの業績に打撃
2020年4月よりポラテクノは、日本化薬のポラテクノ事業部として再スタート
超高耐久染料系グレード「GHC」は車載向けに出荷開始
「無彩色™」は反射型の特徴を活かし、産業用や家電用途への展開を強化
富士フイルム株式会社
HKC・新規IPS生産ライン向け「Z-TAC」の需要拡大は確実
SmartPhoneに留まらず、21よりOLED-TV向け「液晶塗布型」を出荷開始
VA向け位相差フィルムでは60μm品から40μm「Rシリーズ(NR01)」に全量切り替え済み
富士フイルムのIPS位相差「Z-TAC」、完全に需要回復へ
BOEの他、HKC IPS-TV向け新規需要を獲得、IPS MNT市場の拡大も好材料
2020年のP-TAC販売は維持されたものの、コロナ特需の恩恵は受けられず
PETやPMMA等、非TAC系代替材の市場拡大の影響を受け、今後も販売拡大は見込めず
OLED搭載の最高品位SmartPhone向けでは「液晶塗布1枚型」の採用が濃厚視
2021年よりOLED TV向け「1枚型液晶位相差板」の販売も本格化
コニカミノルタ株式会社
中国VA-TV陣営でのCOP系「SANUQI」の本格採用で一気にシェア拡大なるか
ディスプレイ市場でのコロナ特需により「VA-TAC」の販売好調が続く
2020年大型VA位相差フィルムは高ニーズ、「VA-TAC」はフル生産体制にも供給がタイト
「SANUQI」はL-5で本格生産へ、生産幅は2.5M幅ラインを有する顧客の要望に応じて対応
「VA-TAC」の好調が続くも、2021年以降は最大手COPフィルムメーカーの供給能力次第
COP不足が続くなか、コニカの「SANUQI」は二元化唯一の選択肢
「Zero-TAC」はBOE TV向けのほか、2020年よりMNT向け物量も堅調に拡大
日本ゼオン株式会社
COPフィルムのタイトな供給状況は当面続く
CSOTは既に大口顧客、中国後発VA-TVパネル陣営からもCOP人気は高く
超広幅対応大型位相差用新ラインの本格稼働にも、偏光板市場ではCOP不足が続く
2.5M幅での生産は一部に限定、まずは旺盛な需要に対応すべく第7号機の稼働率向上に専念
COPフィルムの販売は絶好調、全ラインフル稼働にもCOP需要に完全には答えられず
2020年よりMiddle-Low End OLED TV向けでCOPフィルムが本格採用へ
「iPhone」向け出荷量は見込めずも、中国向け中小型IPS用COPフィルムの販売は堅調
中小型OLED向けでは「Galaxy」Middle-Low End機種向けでCOP採用が残存
東洋紡株式会社
2021年下期より犬山・2号機は本格的な稼働率アップのステージへ
既存顧客向けにさらに出荷量が急増中、中・台顧客向けも確実に物量が増加傾向
中国マーケット狙いの既存顧客向けで、今後もボリュームかつ安定的な物量を確保
「SRF®」のタイトな供給状況は解消気味、中・台湾顧客のニーズにも対応可能
2021年より光学用PETフィルム専用製造の犬山・2号機は本格稼働へ
顧客認定作業の進捗状況次第であるものの、「SRF®」は万全な供給体制の構築へ
コロナ特需とは無関係、代替部材であるPETフィルムの好調が続く
CSOT、BOE TV向けに留まらず、後発VA TV陣営でも「SRF®」の採用が本格的に動き出す
Hyosung Chemical (暁星化学株式会社)
コロナ特需の恩恵を受け、P-TAC販売が絶好調
P-TACのオーダーはHYOSUNGに集中、フル稼働にもタイトな状況が続く
2020、2021年はPET等Outer側で非TAC代替材市場の拡大影響はなし
2020年下期よりHYOSUNGのP-TACはフル生産体制が続く
達輝光電股份有限公司 (TAC Bright Optronics Corporation)
第1ラインはフル稼働、コロナ需要によりP-TACビジネスが好調に維持
コニカの生産委託第2ラインも、IPS-TV用Zero TAC生産量で稼働率アップ
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