日本政策金融公庫、都内で初の「青年等就農資金」による融資を実行。


「青年等就農資金」は新たに農業を始める個人、法人を対象とした37百万円を限度額とする無利子の融資制度。市町村に農業経営計画を提出し、「新規就農者」として認定されることが融資条件。今回、融資を受けるのは市の遊休農地斡旋制度を活用して農地を賃貸した脱サラの個人で、公庫からの融資200万円は種苗や資材の購入などの運転資金にあてる、という。

今、農業改革は「農協改革」にフォーカスされている。しかしながら、政治的なインパクトは別として組織改革すなわち産業強化とはならない。

227万人の農業就業者の2/3を65歳以上のシニアが占める。新規就農者も減少基調にあって、しかも年間5万人足らずの新規就農者のうち30代未満は3割にも満たない。
急速な高齢化に歯止めをかけるべく農水省は青年新規就農者を毎年2万人以上定着させ、平成35年までに40代以下の農業従事者を40万人に拡大させる、という。平成27年度は「新規就農・経営継承総合支援事業」として197,479百万円を予算化する(H26年度補正予算との合計額は21,784百万円)。就農支援制度の拡充を否定するものではない。しかし、問われているのは産業としての魅力であり、未来に向けての成長可能性である。

輸出を倍増する、食糧自給率をあげる、相反する政策目標を同時に実現してゆくための統合的な戦略ビジョンはあるのか。
耕作放棄地の問題もある。しかし、全体の8.9%である。耕作地そのものはこれ以上増やせない。とすれば、生産性の向上と生産単価の向上をどう追及するか、ということに尽きる。あわせて内需の総量を安定的に確保するために輸入の戦略的ポジションを更に高める必要がある。
食糧安全保障を盾とした強力な内向指向が、日本農業を思考停止状態に追いやっていないか。シンプルに産業競争力の強化という視点に立てば、日本農業の豊かな未来が自ずと見えてくるはずだ。就業者の高齢化、つまり事業承継機会の増大は産業活性化の最大のチャンスである。

今週の”ひらめき”視点 02.15 – 02.19

 

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