復興予算、3兆円余る。未来の東北を生きるのは誰だ?


「常磐道全線開通、復興が加速」との見出しが各紙を飾った翌3月2日、会計検査院は2013年度末時点で使い残した復興予算が3兆円を越えた、と発表した。
震災から2013年度末までの3年間に組まれた復興予算は25兆1009億円、予算執行率は80.1%、翌年度以降への繰越を除いた「不用額」は3兆円に達した。とりわけ、5兆3023億円の予算を組んだ2013年度の執行率は6割に過ぎず、繰越予算も1兆7千億円を越えた。

予算が余ったことが問題ではない。10年、35年にわたって国民が負担する住民税加算、復興特別所得税を還付していただければそれでよい。そうではない。問題は被災地の再建が進んでいないことにある。

事業の遅れは資材の高騰、土木建設分野の技能者不足が背景にある。社会問題化した不適切な予算流用もあった。また、自治体と住民の合意形成の遅れも指摘される。
3.11以前に戻りたいとの想いを軽んじてはならい。既定事業の履行を急ぐ行政の立場もあろう。しかし、事業の優先順位づけ、ゴールに向けてのロードマップは妥当であったのか。いや、そもそもゴールはどこなのか。

過去を復元しても未来は閉じたままである。「政治の決め事は、常に7世代先の人々のことを念頭に行なってきた」とはアメリカ先住民(オノンダーガ族)の言葉である。外野はしばし黙っていよう。未来の東北を生きる人々のために、今そこに生きる当事者自らが選択した未来の実現を願いたい。

今週の”ひらめき”視点 03.01 – 03.05

 

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