ベネッセ、こども向け英会話事業を強化、ミネルバを買収


今週の”ひらめき”視点 10.19 – 10.23

個人情報流出問題もあって主力の通信教育事業が苦戦するベネッセが、こども向け英会話教室を展開するミネルバの買収を発表した。
確かにベルリッツやサイマル・ブランドで展開する130億円規模の語学事業にとっては、ミネルバの30億円は小さくない。また、こども向けの語学市場は堅調に成長しており、2014年は前年比3%増の980億円となる見通しである(当社調べ)。
しかしながら、連結売上4500億円、営業利益380億円を越えるベネッセにとって、ミネルバの買収が事業再構築の本命ではないだろう。
ベネッセは中高生向け通信教育「進研ゼミ」にはじまり、就学前の子供を対象にした「こどもチャレンジ」へと事業ドメインを発展させてきた。これらはもちろん「こどもたち」を対象とした教育事業であるが、その便益をもっとも享受したのは母親たちであって、それゆえ妊娠、出産、育児期の女性を対象とした「たまごクラブ」「ひよこクラブ」、そして、女性の負担が大きい親世代の介護をサポートする介護事業という展開がなされてきた。今、ベネッセの事業セグメントは教育、語学、生活、介護と区分されているが、マーケティングの視点からは女性のライフステージごとの事業セグメントという見方も出来る。2000年台に入って以降、ベルリッツ、お茶の水ゼミナール、東京個別指導学院と「教室型教育事業」会社の買収で成長を維持してきたが、むしろ、「女性の生涯をサポートする」ことを経営ミッションと位置づけた方が未来に向けて大きな可能性を拓くことが出来るのではないか。
いずれにせよ5年、10年先を見据えた企業の根本を問い直す骨太の改革に期待したい。


コメントを残す