2014年度国際収支、4年ぶりの経常黒字。訪日旅行消費、知財使用料、海外子会社からの利子・配当が黒字を牽引、日本の稼ぐ力は変わった
1467万人(前年比+33%)に達した訪日外国人の国内消費は2兆2344億円(同+41%)、旅行収支は55年ぶりの黒字、知的財産権等使用料も過去最大の黒字となった。また、第1次所得収支(海外子会社からの利子・配当の受け取りや証券投資収益)の黒字も1985年以降最大の19兆1369億円を記録、とりわけ、海外直接投資収益は7兆1534億円(前年比+21.3%)と伸長した。
一方、貿易収支は、赤字幅は縮小したものの6兆5708億円の赤字となった。財務省は前年比4兆4479億円の赤字改善について、「海外景気の回復を背景に輸出が持ち直した」ことと「原油輸入量の減少」を理由にあげた。
そうした中、トヨタは「中長期的に300万台の国内生産体制を維持する」、日産は「前期87万台へ落ち込んだ国内生産を100万台へ回復させる」ことを相次いで発表した。
ただし、豊田社長はR&D型マザー工場としての戦略性、一方のゴーン社長はグローバル最適生産という視点からその合理性を説明した。
2014年度「貿易統計」における自動車輸出額の伸びは、円安効果の象徴的な事例として引用される。確かに為替メリットを享受している。しかし、数量ベースで前年比マイナスであることの方が本質的だ。
企業の成長を支える構造的な条件は世界レベルで変わった。味の素は、1世紀の歴史を有する社業の礎“味の素”の国内生産からの撤退を決めた。“大胆な金融政策”と“積極的な財政政策”では、もはやこの流れを止めることは出来ない、ということだ。
今週の”ひらめき”視点 05.10 – 05.14
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