成長が鈍化した中国自動車市場、業界再編は不可避である


2014年の中国自動車販売台数※は2349万台(前年比+6.9%)、2位のアメリカ(1652万台)を大きく引き離し、6年連続で世界トップに立った。
しかし、今年に入ってから成長は明らかに鈍ってきた。1-4月の累計販売台数は前年比+2.1%、乗用車は+7.7%を維持したものの商用車は▲19.1%と前年を大きく割り込んだ。商用車の前年割れはトラック販売の極端な不振が原因であるが、中国国内の経済活動の見通しが楽観できないことを暗示する。
 ※中国汽車工業会が発表する「販売台数」とは「工場出荷台数」を指しており、
  実際の小売販売台数とは異なる点に注意する必要がある。

ドイツ勢を中心に欧米メーカーは中国を成長戦略の主戦場と位置づけてきた。2015-2016年にかけて、欧米勢の現地合弁会社の投資額は1兆数千億円に達し、増強される生産能力は500万台/年を越えるという。
市場の伸び率を鑑みると明らかに生産設備は過剰となる。需給ギャップの拡大とその長期化は、まず下位のローカル企業群の淘汰を招き、やがて産業全体の再編へと進むはずだ。果たして共産党指導部はこれをどう主導するか。ここが外資にとってのチャイナ・リスクである。

さて、この4月、トヨタは凍結していた生産投資を再開すると発表したが、中国における投資額を「過小」と評する声があった。現在の生産能力は約100万台、これを10万台増強し、110万台にするという。2014年のトヨタの中国販売台数は103万台(小売販売ベース)、シェアはわずかに4.4%である。
確かに世界一をVWグループと競うトヨタにしては何とも控え目な投資である。しかし、これがトヨタの「読み」であるとすると、その強かな戦略の背景には既に“業界再編”が捉えられているのかもしれない。

今週の”ひらめき”視点 05.17 – 05.21

 

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