東洋ゴム、免震ゴムデータ改ざん問題の最終報告書を公表。不正を覆い隠す内向き体質の是正が急務


■東洋ゴム、免震ゴムデータ改ざん問題の最終報告書を公表。不正を覆い隠す内向き体質の是正が急務

23日、東洋ゴム工業は免震ゴムの性能偽装問題について弁護士らの社外チームによる最終報告書を発表した。
当初は開発部門の担当者1人とされた不正の実行者は、調査の結果、開発部門のみならず品質保証部門も関わっていたことが判明した。また、発覚時に2015年1月末と発表された本社トップの問題把握時期も2014年夏に訂正され、更には経営陣が問題発覚を遅らせてきた経緯も明らかにされた。
そもそもデータの改ざんは1996年から繰り返され、これを子会社経営陣が認識したのが2013年夏、そして、2014年夏には本社経営陣も事態を把握した。2014年9月16日午前、本社の会議にて一度は「出荷停止」と「国交省への報告」を決定するが、午後には撤回、国交省への第1報は2015年2月9日となる。

同日、同社は経営陣の刷新とコンプライアンスの強化策を発表した。しかし、公表された「当社製免震ゴム問題について」と題された文書を見る限り再発防止に対する経営陣の覚悟は感じられない。同文書の第3章「不正の総括」の中で“不正発生箇所”と認定されているのは、技術開発部における“測定値の補正”2箇所と品質保証部による“検査報告書の作成”の計3箇所である。
確かにデータの改ざんはこれら3つの業務プロセスにおいて行われた。しかし、結果的に公表と出荷停止を遅らせた経営陣の“不正”的な行為は「判断対処の遅れ」などと区分され、“意識の甘さ”と“危機マネジメントの欠如”などと総括するに止まる。

あわせて、“経営責任を明確にするため”として代表取締役の異動が発表されたが、内容は「現代表取締役が臨時株主総会まで現職を継続、その後の役職については未定」というものである。経営に空白が生じるのは避けるべきである。しかし、直ちに後任社長を選任出来ないこと、そして、「その後の役職は未定」などという決定から同社取締役会の雰囲気が伝わってくる。長期にわたって不正を繰り返し、それが見過ごされ、更には、発覚後も出来る限り公表を先送りしたと受け止めざるを得ない同社の企業風土が、この一文に凝縮されている。

■和歌山電鉄貴志川線貴志駅の“たま”駅長兼社長代理、逝去。合掌

今週の”ひらめき”視点 06.21 – 06.25

 

~変化の予兆をつかむ、変化の本質を見抜く~
今週のWebニュースクチコミランキングはこちらからもご覧になれます。

 


コメントを残す